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68話 集会(1)

 ジークの話をした翌日、テオバルトは一足先にヴァイデンライヒ領へと向かっていった。


 更に翌週には通常業務に当てるための最低限の人数を残して、教会直属騎士団を含む全師団の騎士たちが城へと集められた。

 蒼を含む教会直属騎士団は広場の端のほうで固まり、他の師団も同じように師団ごとに固まりながら、始まりを待つ。


 やがて蒼達の前に第1師団副師団長が立った。

 本来であれば緊急時にすべての師団をまとめ上げる役割を持つのは第1師団師団長だが、テオバルトが不在の今は第1師団副師団長が代わりを務める。その少し後ろには第2~5師団の師団長と副師団長が控えていた。

 

 公の場に顔を出すところを見たことがない第4師団師団長のギルベルトも、今回ばかりは他の師団長と同じ場所に立っていた。尤も、元々出る気がなかったのか急いできたのか定かではないが、上着が土埃で汚れていたりタイが曲がっている。いつも以上にくたびれた格好をしていながらも、色眼鏡と4年間で伸びた髪をまとめる紫の石が付いたきれいな髪留めを付けており、それが逆に目立っている。

 他の師団長らがピシッとしているので、離れたところにいる蒼から見てもかなり浮いて見えた。

 

「皆集まったか。本来であれば副師団長の私ではなく師団長であるテオバルトがここに立つべきなのだが、彼はヴァイデンライヒ領主代理としてヴァイデンライヒ領へと先に向かって貰った。皆、既に直属の長から話は聞いていると思うが、改めて私のほうからも説明する。我が帝国領地であるヴァイデンライヒ領が襲撃を受けた。賊はヴァイデンライヒ領に隣接するヴィクルンド連邦国家所属のアーネルから来たと判明している。国境付近の村が複数襲われおり、更には領主館も何者かによって爆破された結果、領主が怪我を負う事態となった。幸い領主の命に別状はなかったが足に後遺症が残り、領主として領主軍の指揮を取ることは不可能だろうという現場の治療師の判断があったため、テオバルトが先に向かうことになった。帝国はこれらを宣戦布告と受け取り、停戦協定を破棄の上アーネルに攻め入る事とした。協定を無視して先に仕掛けてきたのはあちらである以上、こちらも黙ってはいられない。基本的にはアーネル国のみに攻め入るが、他の連邦国家所属国がアーネルに味方するのであれば、そちらも標的となる。詳しい作戦は部隊分け後、それぞれの隊長から指示が行く。ここまでは問題ないか」


 あくまで形式的に聞いただけなのだろう、騎士達の中に声を上げるものはなかった。


「続けるぞ。部隊は大きく2つに分ける。一つは帝国内及び帝都内の警備。もう一つは前線部隊となる。主な戦場はヴァイデンライヒ領となるため、それ以外の第5師団が通常対応している魔獣討伐などは、負担をかけてしまうが各領主軍に任せる事となる。国内警備は主に第2師団と第1師団の一部の者に担当してもらう。その他の者は所属師団に関係なく前線部隊に割り振られるため、そのつもりでいるように。部隊分けは既に各師団の師団長と副師団長に相談して決めてある。この後直ぐに各部隊で集まってもらうのでこの場で待機するように。第1陣の出発は明後日の予定だ。それまでに皆準備を済ませておけ。私からの話はこれで終わりだが、最後に皇帝陛下よりお言葉がある。陛下、よろしくお願い致します」


 副師団長が頭を下げながら横へ移動すると、そこにはいつの間にか皇帝エンゲルベルトが立っていた。それに気付いた騎士たちはいっせいに片膝を付き跪く。

 蒼もそれに倣い跪いた。騎士団に入り、皇帝には何度かお目通りしたことはあったが、4年がたった今でもエンゲルベルトから放たれる重圧感に慣れる事はない。顔を上げる許可を貰った際も、一切の感情が見えない薄い藤色の瞳に見つめられると恐ろしさを感じた。

 


「副師団長が話した通りだ。我がアイヒベルク神聖帝国はアーネル国を敵とみなす。アーネルには帝国を傷付けた報いを受けて貰う。数では劣るだろうが、例えヴィクルンド連邦国家の所属国全てが敵となっても、我が帝国の優秀なる騎士達であれば勝てる。存分に力を発揮せよ」


 淡々と静かに話すエンゲルベルトの言葉は拡声器など使用していないにもかかわらず、不思議とその場にいたすべての騎士達に届いた。

 皇帝から直接言葉を頂いたとあり、騎士達の士気は上がりやる気に満ち溢れる。蒼も例にもれず、アーネルに報いを、ジークの仇を取るのだとそんな気持ちでいっぱいだった。



 エンゲルベルトは話が終わると直ぐに立ち去り、副師団長から追加の話もなく部隊ごとに集まる事となった。

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