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64話 告げられる思い(1)

 その日、蒼はジークに誘われ、街に足を運んでいた。

 

 蒼が騎士団に入団してから今に至るまで、ジークは度々こういった街歩きや食事に誘い出してくれる。毎回二人きりという訳ではなく、ヴェンツェルや琥珀、極稀にハルトマンが居たりするので、蒼は純粋に友人との交流を楽しんでいた。


 

 最近は騎士団の仕事が忙しく、中々時間を取ることが出来なかったのだが、今日は久しぶりに2人の休日が合ったため、出かける事になった。


 

「久しぶりだねー、アオイちゃん。そんで、いつにも増して可愛い」


「そ、そうか」


 屈託のない笑顔で言われ、思わず目を背けてしまう。いつも通りといえばいつも通りなのだが、こうも真っ直ぐに好意を向けられると恥ずかしさが勝ってしまう。

 

 仕事終わりに食事へ行く時などは騎士服のままの事が多いが、今日は蒼もジークも共に私服を纏っていた。


 本日の蒼は、フリルの付いたグレーのブラウスに、フィッシュテールの黒いスカート。肩にはラベンダー色のショールを羽織っている。足元は少しかかとが高いブーツを履いているので、慣れていない蒼には少し歩き辛く感じる。髪もいつものポニーテールではなく、編み込みを入れたハーフアップとなっており、どうも落ち着かない。

 いつも以上に気合の入った琥珀とクリスティアーネ監修のもと、やたら可愛らしく仕上げられそうになるので、どうにか蒼が許せる範囲に妥協してもらうのにだいぶ苦労した。


 一方ジークはというと、白いシャツの上にネイビーのベスト。下は黒いスラックスと仕事の時にも履いている編み上げブーツと、少し余裕のある町民といったようなシンプルな恰好をしている。

 

 

「それじゃあ行こっか」


「ああ」


 そのまま二人は横に並び、談笑しながら帝都内の商業地区を歩いていく。戦争前とあって、ちらほら閉まっている店もあるが、殆どの店は変わらずに営業を続けている。

 いつもであれば仕事に関する装備品や戦闘に特化した魔法具を打っている店にいったりもするのだが、今日に限ってはそれがない。平和な時が少ないことを意識している為か、いつもなら共通の話題としてよく上がる仕事や情勢についても、お互いに触れなかった。


 服飾店や雑貨屋などを中心に商業地区を巡ったあと、ジークに連れられカフェへと入る。そこはこの世界に来たばかりのころに、クリスティアーネとユーリに連れてきてもらった半個室のあるカフェだった。

 懐かしさを感じながら、案内された席へと着く。茶とそれに合わせた茶菓子を口にしながら、他愛のない会話を楽しむ。久しぶりに息を吐いてのんびりとできた気がした。

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