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26話 魔法訓練補習編(1)

 翌日、蒼はラウラと約束した通り、訓練場に足を運んだ。

 訓練場には既に人影あり、ラウラの他にもう一人いるのが見える。この世界では珍しく、色眼鏡を掛けたその男性に蒼は見覚えがあった。

 

「私のためにお時間を使わせてしまい、申し訳ありません」


「謝る必要はありません。こちらとしてもアオイの魔力に大変興味があるので。それにアオイ位の魔力量があると大体一番最初の訓練で躓きます。あの魔力量で難なくこなしているあの二人がおかしいのです」


「そう言って頂けると少し気が楽になります。そちらの方は第4師団長ですか」

 

 蒼が尋ねると、ラウラは嫌そうな顔をしながら、隣の人物の紹介をしてくれる。

 

「そういえば忘れていました。紹介します。第4師団師団長のギルベルト=レーヴェです」


「ララ、忘れるなんてひどいじゃあないか。アオイ君は1度しか会っていないのに、覚えてくれていて嬉しいよ。話はララから聞いている。ララが言う通り、僕らに時間を使わせてしまったと気にする必要は無いよ。僕は平日だろうが休日だろうが、魔法の研究をしたい時にしているだけだからね。今日はその魔法の研究をしたい日ってわけさ。氷の魔力を持っている者は僕が知っている限りいないから、生で見られるなんてむしろ大歓迎だよ。君は教会騎士団を目指しているらしいけど、今からでも志望を変えて第4師団に入らないかい?とても手厚く歓迎させてもらうよ」


「いや……私は……」

 

「師団長、アオイが困っています。それと、その呼び方で呼ばないでください」

 

 ギルベルトはラウラの忠告が耳に入っていないようで、まくしたてるように間髪入れずにしゃべり続ける。


「ダメかい?ダメならダメで、第4師団に入らなくても、たまにこちらに顔を出してくれると嬉しいな。氷の魔力を持っていると聞いた時から、色々考えていることがあるんだ。そういえば、君の義父である第1師団長にも同じことを言っているのだけれど、全然来てくれなくてさ。君からも言ってくれると助かるよ」


「ギル」


 ラウラが苛立ちを見せ、空気がピリピリし始める。文字通り、ラウラの周りの空気が電気を帯びている。


「すまないすまない。つい我を忘れてしまったよ」


 ギルベルトに悪びれた様子はないが、謝罪の言葉を口にする。ラウラの周りのピリピリはいまだ収まりきっていない。第4師団ではこれが平常運転なのだろうか。

 

「というわけで、アオイ君。今日は僕が一日付き合うから存分に頼ってくれ。僕はあまり魔法が使えないけれど、教えるのは得意なんだよ。正直なところ、僕はララより教えるのがうまいからね」


 そういってギルベルトはどんと胸を張る。

 これ以上ラウラを刺激しないでくれと思いながら、とりあえず蒼はぎこちない笑みを浮かべるしかなかった。

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