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23話 第4師団(1)

 琥珀と出かけたり、クリスティアーネにのお茶に付き合ったり、テオバルトと手合わせをしたり……入団前と同じような生活を送っていると、あっという間に5日が過ぎる。

 今日からは第4師団で訓練を受ける事になる。魔法に特化したこの師団で、2カ月という短い期間で基礎から応用までみっちり叩き込まれるらしい。この国の大半の人は独学で魔法を扱うため、専門的に教えて貰えることは殆どないそうだ。


 簡単な身体強化の魔法しか扱えなかった蒼は、いよいよ本格的に魔法が扱えるとあってこの日を楽しみにしていた。

 ただ、食事帰りの別れ際にハグをされたことが頭から離れず、ジークと顔を合わせるのが気まずかった。しかし、顔を合わせてもジークは覚えていないのか、あの日のことを一切口に出さなかったので、蒼は内心ほっとする。


 

「いやぁ、楽しみだねぇ」


「ジークは今でもかなり魔法が使えるのに楽しみなのか」


「いや、俺の魔法は基本的に自己流だから、ちゃんとしたものには興味があるよ」


「ヴェンツェルも?」


「私は元の世界で一通り魔法を習ってきているから、ここでも割と使いこなせてる自信はあるよ。まあ、この世界独自の考え方もあるだろうから興味はあるけどね」


 薄々気づいてはいたが、魔法が全然使えないのは蒼だけのようだ。この機会に出来るだけ多くを学ぼうと蒼は決意を固める。



「よく来きました、新人の諸君。副師団長のラウラ=ニーチェです」


 広めの部屋に集められ、前に立った人物からそう紹介を受ける。

 副師団長は中性的な声をしており装いも男性に見えるが、名前からして女性のようだ。瞳は薄めの黄色で、明るい茶髪を肩の辺りで切りそろえており、20代前半くらいに見える。正直、副師団長と名乗られなければ、そうとは考えられない見た目をしていた。

 

 

 第4師団の訓練は副師団長直々の座学から始まった。

 副師団長が舐められているのか、座学に慣れていないからか定かではないが、副師団長が話し始めても雑談等で騒がしさが目立つ。


 ―ドカン―

 

 突然、後方に座っていた訓練生の机が爆ぜた。


「わざわざ君達のために時間を割いてあげてるんですよ。黙って聞きなさい」


 ラウラの顔は笑顔だが、彼女の周りではバチバチと火花が散っている。雷を落とされたであろう訓練生は白目を剥き、気絶していた。

 

「別に僕としては訓練生の一人や二人、減っても構わないんですよ。机ももったいないし」


 副団長にとっては机>訓練生なのだろうか。蒼が周りを見渡せば、皆顔色が悪くなっていた。ヴェンツェルだけは涼しげな顔をしていたが。

 

 第4師団の他の騎士により、気絶した訓練生と木くずと化した机が片付けられていく。妙に手慣れた感じがあるのは気のせいだと思いたい。


「これ以上無駄な時間を過ごすのもどうかと思うので続けますね」


 これ以降、部屋で私語する者はいなかった。

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