表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/19

episode7

目が覚めて、背中を触る。

よし、傷はない。

いつもあいつら私の首ばっかり狙うから、首切りワンパターンかと思ったけど背中ぶっ刺しもあるらしい。


突然の事って正直びっくりするし、やめてほしい。


だいたい遠目から見ただけでセイラに声かけてすらないのに。


はあ、とため息をついて、私は変わらない毎日を過ごす。

カレンダーは『セイラの誕生日の翌日』を表している。



前回の3ヶ月で理解した。

私は貴族になれないのだ。

平民の血の私は、魔法が使えないから。


貴族学院なんて、壊れちゃえばいいのに。



「うー…どうしようかしら…」


ベッドでゴロゴロしながら、本を読む。

気晴らしにたまに枕を蹴り飛ばす。


もう、魔法書なんか読まない。

平民の私が、いくら読んでも無意味なのだ。

無駄に色々覚えてばかみたいじゃない。


だからもう魔法書は読まない。

暇つぶしになりそうな物語を読む。


手に取った本は、勇者と魔王が戦う話で、娯楽小説らしくわかりやすく王道的で、面白かった。



「そうだわ!」



やっと気がついた。

ああ、私ってほんとに天才。

可愛いだけじゃなく、頭も良いなんて。



「まず私が魔王になって、貴族学院を壊せばいいのよ!」


そうだ。それがいい。


貴族学院が無くなれば、セイラの乙女ゲームイベントもきっと潰れる。私が入れない貴族学院なんて壊れるべきだ、


セイラなんかに、ヒロインの立場は似合わない。ヒロインがふさわしいのは、この私。


だって、私はセイラより、だれより、可愛いんだから。


私はさっそく、魔物の森へと向かった。

魔王というのは、やっぱりたくさんの魔物を従えてこそだろう。



魔物のいる森は、孤児院から20分ほど歩いた場所にある。

立ち入り禁止なので入ったこともないし、魔物を見たこともないが大丈夫だろう。


私は魔物の森に辿り着き、足を踏み入れた。

とりあえず進めばいい気がする。

そしてたくさんの魔物を手下にして貴族学院を壊すのだ。


明るい未来が見えてきた。

楽しくて、つい鼻歌が出てしまう。


「あはっ!たの…」


突然。


舌が溶けて、声が出ない。


目の前がなにも見えない。


燃えるように熱い。


私は魔物の酸にやられて、死んだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ