episode4
目が覚める。
両手で首に触る。
きちんと繋がってる。
「二回も首切られるとか最悪…」
ベッドから起き上がってすぐに鏡を床に叩きつける。
鏡は叩きつけられた衝動でバラバラに割れた。
死に戻りとか、この際どうでもいい。
私はヒロインにならなきゃ。
前回も前々回も、私は兵士に首を切られた。
だから兵士が来る前にセイラを殺さなきゃ。
私がその破片を手に伸ばした時。
「だめ!エウ!危ないよ!」
部屋に入ってきたセイラに手首を掴まれた。
「なにするのよセイラ!ばか!はなして!」
「私が片付けるから、エウは触っちゃだめ」
私が暴れても10歳と15歳の体力差は歴然だ。
セイラは私を抱き抱えて、ベッドの上に乗せる。
そして、器用にほうきとちりとりを使って鏡の破片を片付けてしまった。
「ばかぁ!私それ使うのに!!それがないとセイラが倒せないでしょ!?」
枕をセイラに投げ飛ばす。
セイラは難なく枕をキャッチして、私にひょいと投げ返す。
「ちがう!!私、枕投げしたいなんて言ってないわよ!」
「ふふっ、エウったら今日も元気ね」
ニコニコ笑って頭を撫でられる。
ほんといつもこれだからむかつく。
「頭撫でないでよね。だいっきらい」
「私はエウのこと大好きだよ」
頭に乗ってる手は止まらない。
全然話が通じない。
セイラは「今日は起きる?」と聞いて、私が頷くと、私の布団を畳んで、髪をくしでといた。
そしてバケツを持って「井戸に水汲みに行ってくるね」と言った。
「待って!」
私はセイラのスカートの裾を掴む。
このままじゃだめ。なんとかセイラを殺さなきゃ。
セイラはなぜか嬉しそうにしてる。
「あの、エウ、そんなに寂しがらなくてもすぐに私は帰ってくるから」
「ちがうわよ、ばか!いーい?井戸に私も行くから!」
セイラは「いい子!自分からお手伝いしたがるなんて、おっきくなったね。私がなんでも教えてあげるから」と何故だか機嫌が良くなった。
孤児院を出て、10分ほど歩いた頃。
私とセイラは井戸にたどり着いた。
ばかのセイラはなにも警戒せずに呑気に「あのね、バケツをここにひっかけてから…」と説明をしだした。
私は思いっきり、勢いをつけて、セイラをドン、と体当たりで突き飛ばした。
おちろ。
おちろ。
おちてしまえ。
ヒロインは私。
私がヒロインになるの。
けれど、いつまでたってもセイラが井戸に落ちる音はしない。
私の身体にあるセイラの感触も消えない。
「エウ…どうしたの?かわいい…」
ぎゅううっと抱きしめられる。
ちがう。私はハグをねだったわけじゃない。