怪獣の狩り
私は町の近くにあった森の深奥部に来ていた。強者に分類される生物は森の深奥部と相場が決まっているからだ。まぁ、私の敵にはならないが、人間からするととても強く、怖い生き物が多いのだろう。これは、人間を観察していて分かったことなのだが、人間はあまりにも無力で貧弱であることが分かった。人間はその生身の体ではとても弱い、しかし人間は、道具や魔法というものでそういう部分を補っているようだ。人間は全ての生物を支配しているわけではなく、ある程度の量を狩ることによって生態系を保っているようだ。我々とは違う価値観なのだな。とても面白い。
「ゴガァアアアアア!!」
やれやれ、また愚かな者が私を襲いに来た。全く力量差を分からないものには呆れるよ。私は自分の右腕を怪獣化させ、飛び掛かってきたところを叩き落とし脳天にエネルギー光線を当てる。今では簡単に腕を怪獣化させることができる。攻撃手段がこれだけなのでとても便利だ。
「ふむ、確か、爪と牙、毛皮が売れるのであったな。」
私はこの大狼という魔物から素材を剥ぎ取っておく。冒険者登録するためには500ギム必要らしい。私が小狼で手にいれたカネは宿代でなくなってしまったため、稼ぐ必要がある。さて、次はどこに行こうか?
[あの、そこのお方、少しよろしいか?]
「構わんが。」
この者は力量差がわかる者のようだ。
[この森から立ち去ってもらいたいのだか。]
「なぜだ?」
[そなたの気配で森の者達が怖がっている。必要な物がこの森にあるのであれば差し上げよう。]
私の気配がこの森全土に及んでいるようだ。生態系を乱す行為は好まない。立ち去るとするか。しかし、カネが、
「ふむ、それならば、何か人間にとっては貴重な物をくれないだろうか。」
[人間にとっては貴重な物か・・・。それならばこれはどうだろうか。]
と、その者が出したのは輝きを放つ岩であった。馬鹿にしているのだろうか?こんな岩ごとき人間が何に使うのだろうか?
[これは魔鉱石というものでして、人間が武具を作るときに使うレアメタルと言うものです。]
ふむ、そういうことか。これにはなかなかの魔力が秘められている。これを人間の技術で加工することで強度の高い物が作れるのだろう。
「ならばそれを頂こう。」
私はそれをもらい森を去ることにした。