規格外
人間の勇者がかろうじて倒すことができる魔人族の軍隊をたった一発のエネルギー光線で吹き飛ばしたその者は、町に向かっていた。
「確かこちらの方向に町があると、言っていたな。」
その者は人間とはどういう者かに興味を持った。もちろん自身が人間になってしまったことも人間に興味を持った理由の一つだが、今の時代の生態系の頂点がどういう風に他の生物を従えているのか見てみたかったからだ。
「グルルルルル。」
「む?」
コボルトがその者に敵意を向けてきた。またしてもその者は疑問を持った。
(何故だ?生態系の頂点であるはずの種族がその下の階級の者に敵意を向けられるはずがないはず。)
「ゴガアアアア!!」
コボルトが噛みついてきた。しかし、その者の肌には傷一つつかず、牙すらも通ってすらいない。
「こんなものか?」
「グア?」
チュン!!
一つの光線が放たれた。すると、コボルトの頭が跡形もなく吹き飛んでいた。コボルトはこの世界では上位の魔物である。それをたった一発のそれも極細にまでに制限した光線で殺したのだ。さぁ、ここで読者の皆様はお気づきだろう。その者は人間の体をしていながら、レギアの時と同じ強度、同じ攻撃、同じ力を持ち、同じくこの世界の王なのだ。さらに、
「む?なんだ?この腕は?あのときと同じ腕になっている。」
そう、その者は、人間になったのではない。人間の体の形になっただけであり、その者はレギアなのであり、人間の状態からレギアの、怪獣の体へと戻ることができるのだ。
「む~、この状態では町に入ることができないのではないか?」
だてに二万年間生態系の頂点だったわけではない。弱き者は形の違う相手に恐怖を感じ、排除しようとする。それが弱き者達の特徴である。
「どうすれば、人間の手に戻る?」
取り敢えず、人間の手の形を思い浮かべる。すると、
「お、戻ったか。」
簡単に人間の手の形に戻った。
「行くか。」
彼は何事もなかったかのように歩き出した。