アンナの話
幹部、嫉妬のアンナの話
ドールって知っていますか?
あなたの心を癒す、あなたのパートナー。
完璧な理想像を持っていながら、意思感情を持たない人形。通称ドール。
大手企業が協力して作ったこの人形は、見て楽しむものでした。見て、愛でて、可愛がって、癒される。
決して依存しないように。あくまで心を癒すために。いつかあなたが社会の一員となれる日まで...。
そんな不完全なドールに出会った1人の天才がいました。彼の名前はパーンといいました。
大きな目と、2本のギザギザした角を持った彼は、誰からも愛されませんでした。(それはこの国に古くから伝わる悪魔の特徴が原因なのですが、ここでは省略したいと思います。)
友達も出来ず、実の家族からも見放され、彼はひとりぼっちでした。
愛してほしい。誰かに、愛してほしい。
そんな彼は、あるドールを見つけました。
彼の理想を詰め込んだドールに感動した彼は、そのドールの事が好きになりました。
ただ物として好きなのではなく、恋愛感情に近い物を抱くようになりました。大好きになりました。
ある日彼は、ドールにも自分のことを愛してほしいと思いました。自分の大好きなこのドールに、自分のことを愛するようなまじないをかけました。それは難しい事ではありませんでした。だって彼も愛していたから!
そうして彼、悪魔パーンの愛の力によって、違法ドール『アンナ』が生まれたのです。
彼女が自分の存在意義を問い、彼の事を思うこの気持ちについて強く考え、世の中の不条に怒り、愛を知る全てのモノに『嫉妬』するのは、もう少し先の話。