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第一王子は出番がほしい!  作者: いとなつきみ
15/21

次は火⁉

 人形に言われるまでもなく、早急に脱出する方法を考えないと・・。


 外からの助けは? だがこの騒音にも誰も来る気配がない。扉の外にも何か仕掛けが有るのか?


 外からの救助は期待できないなと考えていると、予兆もなく、いきなり本棚が横にスライドし始めた!


 誰かがこの部屋に入ろうとしている!


 王妃が放った新手の刺客か⁉ 僕は緊張し身構える。


 何事もなく本棚のスライドが終わると、半分ほど外に開いた扉が現れた。その先にあるはずの隠し通路は暗くて見えない。


 突然!火の点いた松明を持つ手がヌッと現れた。


 その手の先が見えない所をみると只者ではないな。人形が言ってたナンチャッテニンジャか?


 いつでも対抗出来るように、その手をジッと見ていると、手はポイッと松明をベッドに放り投げた。


 「「なっ⁉」」


 人形と僕が呆気に取られている内に、扉は空になった手によってバタンと閉じられてしまった。夢かと思う程一瞬の出来事。


 しかし現実だと思い知らせるように、本棚がまた音もなくスライドし始め、元の場所に戻っていった。


 又も閉じ込められてしまった。


 その上、あっという間に布だらけのベッドは火の海だ。


 ジャックリーズが失敗したから第2弾か・・・いや、最初っからこうする予定だったのかもしれない。


 火事は大精霊様による第一王子とその従者への粛清だった、と後日噂を流す。なんか王妃達の考えそうな事だ。


 これですべての逃げ道は断たれた。そしてもうすぐ部屋は火の海になる。もはやこれまで、打つ手はない。


 「これで終わりか」


 ポツリと言葉が突いて出た。


 これで全部終わるのか・・・。


 望みもしない王太子の座を奪取しようとしていると疑われ、命を狙われた日々。


 政治の駒としてしか自分を見なかった周囲の者達。


 父は僕の中に母の面影だけを見ていた。


 自分が今ここで殺されてしまっても、誰も気にもしな・・


 「何終わったなんて腑抜けた事言ってんのよ、このヘタレ王子‼」


 相変わらずうるさい人形の声が、僕の諦めムードをバッサリとたたっ切った。


 「何だと⁉」


 ヘタレが何だか知らないが、腑抜けに続くのだから誉め言葉ではないはずだ!


 「だってそうでしょう?ヘタレてるから、ちょっとピンチになった位で諦めちゃうのよ!そんなんだからゲームにも出番がないのよ!」


 「おいっ!今この状況でゲームは関係ないし、ヘタレなんて者でもないぞ!」


 「なら、王家御用達だか知らないけど、そんな扉、吹き飛ばしちゃいなさい!じゃないと、ずっと出番なしヘタレ王子のままよ!」


 何か人形の言う″ヘタレ″が最低な称号に思えてきた。


「よーし分かった!前言撤回させてやる。見てろよ!」


 「風よ吹け!」ドォーン!


 さっきより強かったが、扉がミシミシ音を立てただけで終わった。


 「そうそう!頑張れば出番があるわよ~もう一回!」


 「出番なんて(ちょっとしか)気にしてないぞ!風よ‼」ドォォーン‼


 さっきよりガタガタ揺れてる。よし!もう少しで扉を吹き飛ばせそう―

 

 ドサッ!


 いきなりめまいがして、前のめりに倒れた。


 どうにか意識は保っているが、体に力が入らない。魔力切れか・・


 


 



 




 


 


 


読んで頂きありがとうございます


明日から 1日2話投稿×3日 で完結の予定です


最後までよろしくお願いします

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