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第一王子は出番がほしい!  作者: いとなつきみ
11/21

笑顔の効果

 ジャックリーズは、伺うような探るような目をこちらに向けている。


 僕がピンピンしているのが意外だったのか、次にサッとお茶の入れ物に視線を向けた。


 それを見た時、最後まで残っていた、もしかしたら人形の勘違いかもというジャックリーズへの最後の信頼がついえた。


 「こいつよ、こいつ!ブレント気を付けて!」


 案の定、人形が騒いでいる。


 しかしジャックリーズには聞こえてないようで全く変化がない。


 僕は怒りや落胆を押し殺して無邪気な顔を装い、にっこりと笑いかけてやる。


 僕の笑顔を見たジャックリーズの顔が、一瞬引きつったように見えたが気のせいだろう。


 「入ってくれ」


 いつもと違い、ジャックリーズはノロノロと部屋に入って来る。


 僕は無邪気な笑顔をキープしつつ、


 「いや何て用事はないんだが、僕の為にいつも頑張ってくれている君を労ったことがないなぁ、と不意に思ってね、僕は主失格だね。 君が用意してくれた物になるが、このお茶を一緒に飲みながら、ゆっくり君の今後の話でもしようかと思ってね」


 そう言いながらも彼をジッと観察していると、部屋に来た時から悪かった顔色が、更に青ざめた。


 そして扉の方に少しずつ後ずさりながら、


 「有難うございます。ですがお気持ちだけで十分です。カップも有りませんので!」


 素早く固辞した。


 「このカップ、まだ口付けてないから使っていいよ」


 僕は尚もにっこり笑って畳み掛ける。


 「いえ!私みたいな者には勿体ないです!」


 必死に固辞するジャックリーズ。


 僕はとどめを刺すように満面の笑みで、


 「そうかい?しかしそんなに必死に断ると、お茶に毒でも入っているのかと疑ってしまうよ?」


 「ひゃっ!そ、それは・・・」


 途端に挙動不審になるジャックリーズ。


 「ははは冗談だよ、冗談。今日はいきなりだったからね、又今度にしよう。すまないがこのお茶は下げてくれるかい?」


 「わかりました!失礼します!」


 ジャックリーズはあたふたとお茶を下げ、またたく間に出て行ってしまった。


 バタン!と扉が閉まった後、人形の呆れたような声が室内に響いた。


 「はぁー笑顔が怖いよ!ブレントーあなた、子供らしい可愛い無邪気な笑顔はどこにやったの?」

 

 笑顔が怖い?


 「その笑顔じゃ、永遠に味方は来ないわ」


 おかしい・・ジャックリーズへの不信感を欠片も見せない、かわいい8才児の無邪気な笑顔だったはずだが?

 

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