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虹葉高校新聞部です。  作者: 琥珀
四章 編集後記
56/66

二十五日がやって来る

 翌日月曜日の活動は休みとなり、次の活動は水曜日だった。


 「・・・・・・大きな山は超えたわけで・・・後やることは年内に一号発行することだけだ。それから、冬休みの間は年明けの一号発行の準備を行うだけで、活動日はほとんど無いと考えられる」


  おまけに来週は期末考査一週間前で、部活の活動も停止となる。久々に部活から解放されるということだ。簡単に編集会議を済ませ、それぞれが記事の取り掛かりの支度を始めた。すると突然、奏がねぇー、と声をかけた。


 「誰かデザイン展に行きたい人いない?」

 「デザイン展って名前通りの展覧会ですか?」


  鈴が尋ねると、奏はそうそう、とうなずいた。日にちは、と何故か嵯峨が顔を上げて聞いた。


 「それがクリスマスなのよぉ。というか私がクリスマスに行きたいだけなんだけどねぇ」

 「クリスマス以外は全部埋まってるのか?旅行でも行くのか?」

 「えー、嵯峨さん行きたい感じなの?」

 「いや別に。聞いてるだけだ、悪いか?」

 「クリスマスに行きたい理由なんて一つに決まってるじゃない。クリスマスにデザイン展・・・・・・それからロゴマーク達を見に行けることほど、幸せなことは無いでしょう!!でもチケットは二枚しか無いの」

 「一人で行くのが一番楽しめそうな感じもするが」

 「嵯峨さんはさっきから何なの?!行く気ないんだから口出してこないで!せっかくもう一枚あるんだから、興味ある人いれば一緒に行こうかなって思っただけよ」


  後輩達は苦笑いをしてやり取りを流した。行きたい、と名乗り出る人は居ない。それもそのはず、クリスマスという日付けに問題があるのだ。


 「俺一緒に行っても良いですか」


  そう言ったのは隼だった。鈴は一瞬小突いてやろうかとも思った。


 「隼くんこういうの好きだったっけ?でも一緒に行ってくれるの?!嬉しい!私方向音痴だからさ、隼くんが来てくれると頼もしいわあ」

 「わ、わか、わかりました、頑張ってご案内します」

 「え、もしかして行ったことあるの?デザイン展」

 「いや無いです、初見ですっ、いや初めてです」

 「よしっじゃあ決まり!嵯峨さん、クリスマス部活無いよね?」

 「曜日的に部活はある・・・・・・でも俺もクリスマスは来れない。だから休みにする」


  もう少しで冬休みだと明るい声が飛び交う中、市来と香は何も言葉を発さない。まるで壁か何かが隔てているようにテンションが全く違っている。

  特に市来は、これといって活動をしているという訳でもなくぼーっとしていた。この前の香とのことが忘れられないのだった。何だかあのまま香は消えてしまいそうな気がした。嵯峨にはまだ転部のことを話したような雰囲気は無かった。今日だって普通に来ているわけだし。認めてもらうって何だ?俺はそんなに香を突き放すような態度をしていたのか?いいや、記事の文章が整っていて褒めたことだって何回もある。認めてもらうってそういう事じゃない?というか俺だけに限ったことではない?嵯峨や奏もに対してもそう?それから。


 "好きでした、私。先輩のこと"


  あれはそのままの意味なのか?どうして泣いていたんだ?香は、鈴と俺のことを知っているのだろうか。思わずため息が漏れる。誰かにこのことを話したくて仕方がない。しかし話せるような相手はいるもののタイミングは掴めない。―話せるのは嵯峨しかいない。考えすぎて頭痛までしてきた。


 「・・・・・・仁?何か体調悪そうだけど大丈夫?」

 「・・・・・・ちょっと頭痛くてさ。悪い、今日もう俺帰っていい?」


  ああ、と嵯峨はうなずいた。やけに重たく感じるカバンを肩にかけて、市来は何も言わずに一人部室から出ていった。

  冬休みは全員集まれないかもしれないということで、良いお年を、と言ってその日は解散した。その後、鈴はもしかしたらまだ学校にいるかもしれないと校舎内を探したが、誰も居なかった。

  冬休みに入るまで部活は無かった。鈴も記事を書き終えてしまい、個別で奏に提出済みだった。冬休みの活動はほとんどない、というのは本当に言葉の通りで、年内は一度も無かった(担当が終わっていない人が来る、という感じだった)。鈴もまた、冬休みに入ってすぐ遠くに住む祖父母の家に遊びに行くなどおもいおもいに休暇を満喫した。

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