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虹葉高校新聞部です。  作者: 琥珀
四章 編集後記
45/66

何とかしましょうか

最終章・・・・・・四章が始まります。季節観は真逆ですが、長くて寒い冬がやってきます。

 市民館までの道のりは長い。市来と香は特に話すこともなく約三十分電車に揺られていた。市来は今朝のことを考えてはやめ、考えてはやめを繰り返していた。これから取材に行くのだ。ヘマをしたら嵯峨にも怒られる。


 「今日の市来先輩、何だか口数少ないですね」

 「まあ、久々の遠出取材に緊張しちゃって」

 「緊張、ですか・・・・・・。話変わりますけど、朝に何かあったんですか?」

 「別に何も無いよ?」

 「朝早く部室に居ましたよね」

 「いつもだよ、部室落ち着くんだ」


  市来は淡々と香の質問に答える。へえ、と香は気のないような反応を返した。香を最近元気がないというか、そっけなく感じていた。早く目的地に着かないだろうか、とつくづく市来は思ったくらいだ。

  市民館に到着すると、受付に向かった。


 「虹葉高校新聞部の市来と今福です。担当の大宮さんはいらっしゃいますか」


  大宮と言う人が取材に応じてくれる、と嵯峨は言っていた。大宮は二人の姿を見ると、事務室へどうぞ、と中へ通した。向かい合う形にそれぞれソファに座り、二人はすぐにメモ帳とペンを取り出した。大宮は穏やかな顔で二人の様子を眺めていた。優しそうなおじさん。そんな第一印象を持った。


 「お忙しい中取材に応じていただきありがとうございます」

 「いえいえ。まあ取材には応じたんですけどね、君達は虹葉高校といったね?うちにもう何回か生徒が来てるんだが、それと同じような用かい?」

 「いいえ、私達は新聞部としてお尋ねしたいことがあって訪れました。市民館の体育館を利用させてもらうことができない理由について、教えてもらうことはできますか?」


  ハキハキと香が大宮に尋ねると、大宮は少し溜息をついた。何かに参っている、とでも言いたいような様子だ。


 「市民館の利用の仕方があまりにも悪いんですよ。ルールが全く守れていない。まあ、おそらく虹葉高校の生徒さんではないと思います。ここには小学生から高齢の方まで、様々な年齢層の方が来ます。もちろん中高生も来ます。ですが私達はその一人一人がどこの学校で誰なのかまで判断することはできません。前は入る時に名前を書かせるということもしました。でもそんなもの書かない人だって普通にいますから」


  そこでまたはぁ、と大宮は溜息をついた。こちらは何も尋ねていないがその後も大宮は一方的に話を続けた。もはや仕事の愚痴のようなものである。


 「体育館は利用しようと思えば、開いている曜日はありますから貸すことは不可能ではないんです。でもそんなマナーの悪い中高生が来ている中に、部活の部員が何十人と来てトラブルが起きたり活動の妨げになるようなことをされたら嫌でしょう。ですから今は中高生の団体利用はお断りしているのです」

 「マナーの悪い利用者には注意などはしているのですか?」

 「ええ、気付いた時にその都度。こちらも良い気持ちはしませんが。できればそんなに大きな事にはしたくないので」

 「具体的にどんなことに困っているのでしょうか?」

 「うーん・・・・・・ゴミを捨てずにそのままにしたり、体育館利用後にちゃんと片付けていなかったり、図書室で騒いでいたり・・・・・・あげたらキリがありませんけど」

 「・・・・・・俺達で何とかしましょうか」


  いきなり市来が発した言葉に香は驚いた。大宮も目をパチくりさせていた。


 「何とかするって・・・・・・言っても、何をする気なのかい?」

 「その守っていないルールって本当に常識中の常識ですよね。その利用者の年齢層はまずもって大学生以上じゃないはずです。俺達は高校生です。学生が学生に注意した方が説得力あるかもしれません」


  勝手に一人で話を進めてしまった。帰ったら嵯峨に怒られるか?そんなくだらない不安が頭の中をよぎったが、この時の市来の行動が後になってから全てを握ることになるのだった。大宮は微笑んでうなずいた。


 「わかりました。また後日ご連絡ください。市来くん・・・・・・と言いましたね?」

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