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虹葉高校新聞部です。  作者: 琥珀
三章 タタミ・カコミ
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部活危機再来

  大量に印刷された写真を見極めて選ぶのは大変だった。もはやオーディションのようなものだ。学園祭明けのファンファーレの発行後は、友達の写真があったら適当に持っていけ、と嵯峨は言った。鈴は急いであの写真を探した。市来とのツーショットだ。隼に見つかる前に先に取らなくちゃ。と、集中して鈴が探していた努力は市来の何気ない一言で崩壊した。


 「そういや栞先輩に、鈴ちゃんとのツーショット撮ってもらったんだよねーどこかなぁ。あ、鈴ちゃん見つけた?え?鈴ちゃんどうしたの?」

 「・・・・・・何でも・・・・・・ないです・・・・・・」

 「ああそう」


  流石に後ろの方にいる隼の方を向く勇気までは持っていなかった。写真が片付くと、嵯峨はホワイトボードにまた大きく文字を書いた。今度は"連文祭"だ。とうとう連文祭に発表するファンファーレの編集会議が始まった。


 「そろそろ連文祭だな!今年のコンクールは全国出場を目標にしている!」

 「何それそんな目標聞いてないよ私!いつそんなぶっ飛んだ目標決めたのよ!」


  そうだ、この目標は確かサイゼでノリで決めた目標だった。懐かしいね、と香が鈴に向かって言った。


 「春にサイゼで皆川と隼が居ない時に決めた」

 「そうなの?!てかサイゼなんか行ったの?!」

 「行った時もあった。・・・・・・サイゼはどうでもいい!俺達虹葉高校新聞部は去年と大きく違うことが一つある」

 「何ですかい」

 「それは・・・・・・あの夏の事件のせいで変に知名度が高くなっていることだ!」

 「ああ、でもそれって主に嵯峨さんと仁だけじゃん」

 「ワンチャンある・・・・・・全国出場っ!!」


  おおお、と部員達はそれぞれパチパチと手をたたいた。得意の腕組みをしながら、嵯峨は言った。


 「全国出場するレベルに到達するには、かなり頑張らなければいけない。そして内容もだ。・・・・・・今回トップにする予定の内容はこれだ。"南グラが消える"」

 「南グラウンドってあれですよね、校舎裏にある仮説的な小さなグラウンド。バスケ部とかバレー部が使用しているっていう」

 「そうだ。あれは今月末に取り壊されるらしい。というか既に工事は始まっていて使えない状態にあるが」

 「ということは・・・・・・」


  市来がうなりながら、自分の推測を発言した。


 「部活危機再来ってこと?」

 「そうだ!勘が鋭いな、市来!」


  その会話を聞きながら鈴は疑問に思ったことがあった。あの、と挙手をする。


 「南グラが使えない分、練習は全部筋トレとかにあててるんですか?」

 「まあ、そうだろうな。春頃に活動日数を無理やり増やしていた時と全く同じような内容に戻ってしまったようなものだ」

 「何かその、南グラの代わりとかそういうの無いんですか」

 「運動部じゃないからそんな詳しいことはわからない。というかこれからそれを俺達が調べるんだ!」

 「嵯峨先輩、そういえば俺バスケ部の友達から聞いたんですけど、なんか虹葉市民館?ってところに交渉に行ってるとか何とか」


  虹葉市民館、と嵯峨は大きな文字でホワイトボードに書いた。そして市来と香の方を見る。調査に行け、という合図だ。


 「虹葉市民館ってちょっとここから遠くない?電車で三十分くらいかかるよ、多分。もっと近いとこないの」

 「近い遠いは関係ないだろ?交渉に行ってるのは市民館なんだ、だから市民館に取材に行け。アポは俺が取る」

 「へーい」


  市来と香は明後日、金曜の部活の時に市民館へ取材をしに向かうことになった。二人が出張へ行っている間は、鈴と隼がバスケ部とバレー部に取材をしに行くことになった。そのため、何の質問をしに行くのか、嵯峨と奏も加わって話し合った。

  虹葉市民館は虹葉高校から電車で片道三十分のところにある。最寄り駅からは徒歩五分程で到着する。部活の度に電車で通うのも少し大変なような気もするが、学校側でまた施設の利用表を改めるか、市来の言うとおり近い外の施設を借りるしか方法はない。どちらかが達成するまでは市民館で我慢するしかないのだ。

  市民館には大きな体育館があり、バスケもバレーも同時に利用できるほど広いという。市民館ということで利用者の年齢は広く、小学生もよく遊びに来るらしい。

  南グラウンドが撤去されることは四月の時点で確定されていた。四月頃から市民館に交渉へ何度か訪れているらしいが、承諾を得ることが未だできていないという。

  というのがこの数時間で調べたことだ。


 「ここを借りることができればだいぶ楽なんだろうな」

 「まあ広いし、同じ日にバスケとバレーが行くようにすれば利用日数も最低限に減らせるしね」


  嵯峨と奏がそう言うと市来が口をはさんできた。


 「何で利用許可取れないの?」

 「それを調べるのがお前と今福の役目だろ!!」

 「香ちゃん、金曜は長い旅になりそうだねえ」

 「そ、そうですね・・・・・・」

 「でもさぁ、虹葉の奴が交渉に行ってるんでしょ?俺達だって虹葉の奴だからさ、追い返されたりしない?何か虹葉に恨みでもあるとか」


  俺がちゃんとアポを取った、と嵯峨は言い切った。

  虹葉に恨み?いいや、調べた感じだと虹葉が学校として市民館を定期的に利用するのは、体育館利用が承諾されたら初めてのこととなる。

  しかし市民館に行く生徒達は必ずしも制服を着ていたり、学校のユニフォームを着ているとは限らない。不特定多数の人が利用しているのだから。

  承諾されない理由は直接取材するのが一番手っ取り早い。こればっかりは市来と香に期待するしかなかった。


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