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虹葉高校新聞部です。  作者: 琥珀
三章 タタミ・カコミ
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白雪姫とお化けとメイド

 「えっど、どこどこ?!」


  ちょうど廊下に出てきた栞に二人は突撃した。栞はさっき公演を終えたばかりで、白雪姫のドレスを着てメイクも軽くほどこしていた。控えめに言って綺麗である。栞はすぐに二人に気づいて手を振ってきた。


 「仁くん、鈴ちゃん、もうちょっと早く来てくれたら見れたのに。白雪姫」

 「栞先輩・・・・・・めちゃくちゃ綺麗です。惚れそうです」

 「うんー、俺も惚れそうっす先輩」

 「どうもありがとう、とっても嬉しい!二人でいるなんて珍しいわね、デート?」

 「そうデートですよ~、鈴ちゃんに誘われちゃって」

 「調子良いこと言うのね仁くんは。さっきは私に惚れそうとか言ってたくせに」

 「デートじゃないですよ、ダンスの公演まで時間を潰してるんです」


  超絶綺麗で可愛い栞と一緒に写真を撮ってもらうと、栞は市来のカメラを取ってこちらに向けてきた。


 「珍しい組み合わせだから、ツーショット撮ってあげる」

 「市来先輩とツーショットなんていつでも撮れますよ?でもありがとうございます!栞先輩が撮ってくださるなら」


  実は市来とのツーショットは初めてだったということを後になってから知ることになる。

 その後、何故か市来の提案で香のクラスのお化け屋敷にも入った。お化け屋敷に入る前に、フラッシュって大丈夫ですか、と市来が聞くと一年にダメだと即答をされた。変なとこ触らないでくださいね、と口うるさく鈴が言ってお化け屋敷に入った。

  香のクラスの有志は怖すぎて、二人はその日来た客の中で最も悲鳴が凄かったという。


 「ああ・・・・・・怖かった・・・・・・」

 「変なとこ触るな触るな言って、結局鈴ちゃんがめっちゃ触ってきたじゃーん。もうどういうわけー」


  思い返せば、鈴は反射的に市来の腰にずっと抱きついていた。今度は嵯峨のメイド喫茶へと向かう。


 「俺さぁデートでお化け屋敷って結構行ったことあるけど、鈴ちゃんみたいにもろ腰に抱きついてくる人は初めてだわ」

 「そんな大きい声で言わないでくださいよ!恥ずかしいじゃないですか!」

 「・・・・・・あっはっ、嵯峨っちじゃんっ、んふふ」


  いきなり市来が前方を指さして笑い出した。指さす先には出会ってバツの悪そうな顔をしている嵯峨が立っていた。メイドのエプロンを着て、女子にやってもらったのか、頬がピンクで唇もカラーリップを塗っているようだった。


 「来るなと言ったろ神江!しかも市来を・・・・・・こんなタチの悪いやつを・・・・・・」

 「匠ちゃん、ジュース一杯奢ってよ俺と鈴ちゃんに」

 「それだと一杯じゃなくて二杯だろうが」

 「奢ってくれたら写真撮らないからさ」

 「あ、ああ・・・・・・それなら仕方な―おいおいおいっ!!神江今撮っただろう!カメラ貸せ!!」

 「やめてくださいー!カメラ壊れますから!」


  こっそりと撮影した鈴は嬉しくて自然と口元が緩んだ。教室に入ると、本当に嵯峨は二人に飲み物を奢ってくれた。鈴と市来は椅子に座って飲み物をすすりながら、嵯峨の方をずっと見ていた。視線が気になって仕方が無いのか嵯峨はこちらへやってきた。


 「ねえ匠ちゃん指名したいんだけどできないの?」

 「ここはキャバじゃない!」

 「匠ちゃん聞いてよ、さっき鈴ちゃんとお化け屋敷行ったらね、鈴ちゃんずっと俺の―」

 「やめて!広めないでください!!」


  鈴がいきなり声を上げて遮ると、わかったわかった、と市来は笑って話を止めた。それほど鈴の顔が本気だったに違いない。


 「何でお前らが二人で居るんだ?神江は、友達居ないのか?」

 「何で私ぼっちみたいな感じになっているんですか?!」

 「その聞き方逆に俺に失礼じゃない?!まあ謹慎だったけど昨日まで!・・・・・・察してよ、匠ちゃん。匠ちゃんも先輩には会ったのかい?この姿見られたのかい?」

 「察してって・・・・・・え?そうなのか、神江」

 「そんなガチな顔で私の方見ないでくださいよ!違います!違いますから!」


  嵯峨と鈴のやり取りがそんなにも面白いのか、市来はいつになく声を上げて笑っていた。こんなに笑っている人が悪い人ではない、という内容が部室前に大々的に掲示されていると思うと、何だかおかしな気分になってくる。


 「先輩には昨日会った。こんな格好をしていない時にな!布良先輩の劇を一緒に観に行ったんだ」

 「うわあ何それ。随分だね、嵯峨っち。まあ昨日栞先輩から聞いてたから知ってるけどさ」

 「何なんだお前は・・・・・・てか布良先輩とどうやってそんな情報のやり取りしてるんだよ」

 「え、LINE」

 「市来、あの布良先輩とLINEなんかしてるのか。つい昨日まで」

 「うん、何かずっと続いちゃって。スタンプしたらスタンプで返ってくるというか。何だよ、栞パイセンとLINEしてて悪いか?嵯峨っちは彼女いるだろ~」


  しばらく男先輩二人が会話を始めたので、鈴は黙って話を聞いていた。ジュースを飲みつつ今日撮ったカメラの写真を一通り眺めた。


 「布良先輩ってお前のこと結構気に入ってるよな」

 「まあこんな俺を新聞部に拾ってくれたのは栞先輩だからね。可愛がってもらえるうちは存分に可愛がってもらわせていただきますー」

 「お前の内容壁新聞にしろって言ってきたのも布良先輩だったしな。お前アレだな、男子に嫌われる運命だ」

 「良いよ、男子になんかモテたって良いこと無いもん。女子にモテれば・・・・・・って今回人気度もガタ落ちしたんだけど」

 「そんなガタ落ちしたってわけじゃないと思いますよ。市来先輩の良さ、知ってる人は知ってますからね」


  いきなり鈴が真面目なことを言って、嵯峨と市来は唖然として鈴のことを見た。それで会話が途切れてしまい、え、と鈴も二人の顔を見る。


 「・・・・・・っあ!!もう二時になりますよ!市来先輩、ダンス部観に行かなくちゃ!嵯峨先輩も行きますか?」

 「こんな格好で誰が行くか。それに俺はシフト入ったばかりなんだ。まあ、楽しんでこい」


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