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虹葉高校新聞部です。  作者: 琥珀
三章 タタミ・カコミ
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久しぶりだね

 

  翌日。鈴も隼も午前中はずっとクラスにいたため、部活の手伝いには行けなかった。急いで弁当を食べ部室へと向かった。きっと市来ももう来ているはずだ。鈴が部室のドアを開けると、先輩達は部室で昼食をとっているところだった。市来も呑気に地べたに座って菓子パンをくわえていた。いつもの風景だ。奏が途端に驚いたような声を上げた。


 「来るの早っ!!鈴ちゃんご飯は?ちゃんと食べた?もしかして忘れた?」

 「いや、食べましたけど!・・・・・・私が一番ですか?」

 「一番も何も、私達もさっき昼ごはん食べ始めたばっかりよ」


  鈴はこのまま教室に戻ってもすることが無かったのもあり、先輩達と共に床に座って時間を過ごすことにした。


 「市来先輩、何か久しぶりですね」

 「久しぶりだね。鈴ちゃん、俺に早く会いたくてご飯かっこんできたんしょ」

 「ちが!・・・・・・くは無いですけど、元から食べるの早いんです」

 「ふーん。てかさ、壁新聞の内容俺ってまじ?」


  嵯峨も奏ももちろん鈴も同時にうなずいた。


 「しかもそれ提案したの栞先輩ってまじ?」


  また三人は同時にうなずいた。その途中でいきなり嵯峨が声を上げて笑いだした。奏と鈴も二人で笑った。


 「何でそんなにウケてるの、嵯峨っち」

 「だってなんか、面白く感じてきてさ。だってお前あんなにあの時暗い顔してたのに、謹慎してる間に自分の事件ネタにされて壁新聞張り出されるとか、面白くないか?!こんな面白いこともう無いんじゃないかってくらい面白い」

 「あの新聞で俺の良さがみんなに伝われば良いけどね。第一印象悪いけど、実は優しい人とかってさ、結構人気出るじゃん?だからワンチャンあるかな」

 「相変わらずアホなことしか考えないなお前は。謹慎中に何をしてたんだ全く」

 「え、 何をしてたかって?喧嘩」

 「本当にアホなんじゃないのか」

 「あの張り紙してきた人が特定できたから、呼び寄せてボコってリーダー格捕まえて警察に脅迫罪でつき出した。そしたらそのリーダー格さ、良いとこのお坊っちゃんだったらしくて、公にしたくないからとかで俺に金払ってきて。何か解決した」


  市来は面白おかしく貼り紙事件のその後について話してくれたが、事件そのものは解決してもまだきちんと解決していないところがある。

  それは学校のみんなの市来に対するイメージだ。それがなかなか解決できないことを、相手も知っていて今回やってきたのだから。

  ようやく香と隼がやってきて、嵯峨はシフトについて説明した。掲示だけの為、基本シフトは無し。ちょくちょく覗きに来て説明をしてやるのも良い、と言っていた。簡単に言うと自由にしろ、ということだ。学園祭での本業はカメラマンになること、だからである。


 「嵯峨っち、俺がずっと新聞部の仕事やっとくよ」

 「え、お前クラスの方は?」

 「良いよ別に。俺入れるような雰囲気じゃないし。一回も準備に参加してないしさ。それに"リケジョカフェ"とかいう名前で女装しなきゃいけないらしいから行きたくない」


  ああそう、と嵯峨は軽く流してうなずいた。それぞれ学園祭楽しめよ、と言ってその日新聞部は解散した。




  学園祭当日。一日目はほぼクラスのシフトに追われていた。シフトが終わった後は茜と一緒に他クラスを回った。香のクラスにも行き、一年生の有志はほぼ回った。写真を撮るために軽音の公演も覗きに行った。時間はあっという間に来て、一日目はすぐに終わった。

  二日目はスタートから二時間のシフトのみでクラスの仕事は終わった。茜はダンス部の公演があるから見に来い、と五回くらい言ってきた。


 「私はもうダンスの練習に行っちゃうけど・・・・・・鈴、来てよ!絶対!市来先輩連れてきて!」

 「どんだけ市来先輩好きなの・・・・・・」


  頑張って、と応援の言葉をかけて茜と別れた。鈴は一眼レフを手に持ち、どうしようかと考えた。よくよく考えてみたら、二年の有志にはほとんど行っていなかった。


 「そういや奏先輩のクラス、焼きそばとか言ってたな・・・・・・」


  鈴は奏のクラスを覗きに行くと、ちょうど奏が売り子をしているところだった。ラッキーと鈴は思って焼きそばを買いに行った。


 「あ、鈴ちゃん!来てくれたの?ありがとう!いくつ?」

 「・・・・・・えっと、二つください」

 「ああ、友達の分ね。はい、どうぞ」

 「ついでに写真撮りに来ました!」


  そう言って鈴がカメラを構えると、近くにいた二年の先輩達がすぐに集まってきた。一枚写真を撮り、お礼を言って鈴は教室を後にした。鈴はそのまま人通りの少ない部室の方へ走っていった。新聞部の前にも、人が何人かいて壁新聞を読んでいた。


 「来てくれてありがとうございます!ゆっくり読んでいってくださいね」


  新聞を読んでいる生徒達に鈴は明るく声をかけ、部室のドアに手をかけた。ドアを開けると、窓からグラウンドを眺めている市来の後ろ姿があった。グラウンドでは今、サッカーの招待試合をやっているはずだ。


 「市来先輩」

 「・・・・・・わっ、鈴ちゃん?!どうしたの?」

 「お昼、食べましたか?」


  市来は首を振った。背中に隠していた焼きそばを二つ鈴は得意げに見せた。


 「一緒に食べませんか?」

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