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虹葉高校新聞部です。  作者: 琥珀
三章 タタミ・カコミ
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栞大先輩の企み

 学園祭に掲示する内容は、ファンファーレができるまで、というものになった。要するに壁新聞は没という流れになったのだ。鈴達が掲示物の作業をしていると、部室のドアが叩かれた。入ってきたのは、栞だった。すぐに嵯峨が声を上げた。


 「布良先輩」

 「久しぶり・・・・・・体育祭のリレー、凄かったね。仁くんとは・・・・・・連絡とってる?」

 「はい。文字だけだと元気そうな感じですけどね。あいつ、気持ち抑え込むから」

 「そう・・・・・・。あ、今年はまた新しいことやるのね。壁新聞はやめたの?」


  栞は作業の様子を覗きながら嵯峨に尋ねた。嵯峨は黙ってうなずいた。壁新聞を作ることもできた。しかし新聞は部員みんなで作りたかった。市来の謹慎が終わるのは学園祭の前日だったのだ。だから、嵯峨達は壁新聞を作ることを諦めた。

  すると栞がいきなり口を開いた。


 「ねえ。私ね、ただ遊びに来た訳じゃないのよ。みんなに提案をしようと思って」

 「提案、ですか?」

 「ええ。壁新聞も作ってみたらどうかな?自虐ネタになるかもしれないけど・・・・・・壁新聞に、仁くんのことを書くの。わかっている人はわかっているけど、仁くんに反感を抱いている人ももちろんいる。だからその誤解を解くのよ」


  栞の後輩達はそれぞれ互いに顔を見合わせた。そしてまた前部長の方に視線をやった。


 「みんなに読んでもらえるもの・・・・・・それはこの学校ではファンファーレでしょう?ちょっとぶっ飛んでいるような気もするけど、その方がきっとファンファーレを好きになってくれる人も増えるし誤解も解けるかもしれない。仁くんの貼り紙事件、としてそのまま取り上げちゃうの、本人がいない間に。もし本人に何か言われたら私のせいにしていいから」

 「布良先輩、本気ですか?」

 「本気よ。今こそ新聞っていう機能を利用すべきだと思うもの」


  部員の返事は待たずに栞は帰っていってしまった。やる?と奏が嵯峨に聞いた。しばらく黙りこくって考え込むと、嵯峨は叫んだ。


 「壁新聞作るぞ!!」




  学園祭準備日はあっという間にやってきた。鈴はクラスのお化け屋敷の作業を行ったり、作業風景の写真を撮りにクラスを方方回ったり、時には新聞部部室に行ったりとした。クラスの有志が一番忙しかった。

  しかし新聞部も部員が一人居ないだけでなかなか大変だった。模擬店で売り出す食品審査が通り、簡単な掲示物しか作らない二年軍団はずっと部活の方の準備をしてくれていた。一年はほとんどと言っていいほど部活の方へは行けなかった。それでも鈴は隼と交代交代で部活の手伝いをしに行った。

  二日目、鈴が部活の手伝いをしている時に奏はつぶやいていた。


 「やっぱり後輩一人来るだけで全然違うね。仁が居なくなっただけで、凄く静かなんだもん。あ、気にしないで、私と嵯峨さんはずっとここ居れるから鈴ちゃん達は有志優先で大丈夫だからね」

 「部活の方も少しでもお手伝いに来ますよ。ところで、先輩達は有志何作るんですか?」

 「私のところは焼きそばよ。安いから来てね」

 「俺のところはメイド喫茶だ。安いが来るな」

 「嵯峨先輩メイドやるんですか?」


  鈴は軽く吹き出しながら嵯峨に聞いた。嵯峨は勝手に決まってた、とめんどくさそうに答える。絶対に行こう、と鈴は心の中で思った。

  新聞は徐々に完成に近づいている。今のところ掲示物は全て奏がライターの手書きである。明日は三日目。市来が復帰する日だった。


 「仁が戻ってくる前にこれ完成させて、廊下に貼り出さないとね」

 「新聞部は廊下だけですよね、掲示するの」

 「ええ。こんな散らかった部室、流石に人様に見せられないもの」


  市来先輩驚くだろうなあ。感動して泣いちゃうかな。それとも流石に怒る?いや、いつも通り笑ってありがとう、と言うんだろうか。

  明日市来に会うのが何だか楽しみだった。鈴が部室を出ようとした時、嵯峨が追いかけるように鈴の背中に言ってきた。


 「明日昼飯食べたら部室に来いって、隼と今福に伝えておいてくれないか!」

 「了解しましたー!」


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