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虹葉高校新聞部です。  作者: 琥珀
一章 トップ
3/66

自己紹介はアンカーで

 部室にいた先輩達が一斉にこちらを見た。部員は四人いた。やはり昨日配っていた人達だ。


 「新入生?!」

 「しかも二人もじゃんか!栞先輩やっぱりぱねぇっす!」


  あの綺麗な先輩も椅子に座っていて、鈴は胸がわくわくとした。入って入って、ともう一人の女子生徒が中へ誘導した。すると先輩はドアを閉めようとした時に言った。


 「あら、君も?」

 「見学会、もう始まってますか」

 「いいえ、大丈夫よ」


  鈴達の他に一人の男子生徒が入ってきた。見覚えがある顔だった。この人は確か鈴と同じクラスだった。

 「新聞部を選んでくれてとっても嬉しい!」

  もう入部せざるを得ない状況だ。鈴達三人は椅子に座らされて、先輩達の話を聞くことになった。綺麗な先輩が進行役として話が進んでいく。


 「まず簡単に自己紹介をするわね。私は布良 栞。新聞部の元部長。今は高三なんだけど、新聞部のお手伝いをしているの」

  次に口を開いたのは、ハキハキと喋り眼力の強い先輩だった。

 「私は現部長、嵯峨 匠。新聞部は体力的にも精神的にも鍛えられる部活だと思っている。新入生諸君、初めはついてくるのが大変だとは思うが精一杯ついてきてほしいと思う」

  その次は、ほんわかとしてのんびりした口調の女の先輩だった。

 「私は皆川 奏。今は二年。部活では見出しのレタリング、それから見出しのキャッチコピーの担当をしているの。変な先輩が多いと思うけど、だんだん楽しくなっていくと思うからよろしくね!」

  最後に自己紹介をしたのは、頭にタオルを巻いたいかにも熱血新聞部といった感じの先輩だった。ばりばりの体育会系に見えた。

 「俺は市来 仁。読者コーナー担当をしてるんだ。新聞部はぶっちゃけ体力勝負だ。自分の限界の限界まで追い込むことになると思うが、まあ俺達が何とかしてサポートしてやっから安心せい」


  うわあ、何だか濃い先輩達だなぁ。というか、この布良先輩は三年生・・・・・・ということはほぼ引退をしたも同じということ?!鈴が考え事をしている間、腕を組みながら嵯峨が三人に尋ねてきた。


 「俺は一つ聞きたいことがあるのだが・・・・・・数ある部活の中でここを選んだ理由は何かあるのか?・・・・・・あ、ついでに自己紹介も頼むぞ、諸君」


  ええ、と鈴が挙動不審になっている間に、一番右側の席に座っていた男子生徒がすっくと立ち上がった。

 「立石 隼です。僕は中学時代からずっと新聞作成や編集することにとても興味がありました。将来はメディアやマスコミ関係の仕事に就くことが夢です。だから新聞部への入部を希望しています」

  鈴はひたすら焦っていた。何を言えば良いのかわからない。こんな完璧な理由を話すような奴が他にいたら私の立場はどうなるというのだ。次は隣に座る女子生徒の番だった。

 「今福 香です。私は中学時代も新聞部として活動していました。その経験を高校でも生かそうと思って、新聞部を希望しています。私の中学の新聞部は特に力を入れていて、コンクールの全国大会にも出場した事があります」

 「ちなみに中学はどちら?」

 「光ヶ丘です」


  その名前を香が口にした途端、先輩達は顔を見合わせた。誰もが驚いたような顔をしている。正直鈴には分からなかった。光ヶ丘という名前は聞いたことがあるが、鈴の中学に新聞部は無かったし、連文祭というものの存在も実はあまり知らなかった。気付いた時には鈴の番になっていた。とりあえず立ち上がり、自己紹介を始める。


 「神江 鈴です・・・・・・。私は始めは文芸部に入部する予定でしたが・・・・・・その、文章を書くことが好きです。それから、布良先輩から昨日ファンファーレの最新号を頂いて、その時に一緒に部活で活動したいなと思いました・・・・・・だから、新聞部を希望しています」


  私だけ飛び抜けて理由が何だか間抜けだ。しかし、予想外の発言だったのか、先輩達は笑っていた。市来が栞に向かって言った。


 「栞先輩の作戦大成功じゃないっすか!!流石ですっ」


  鈴はほっとして席に座り直した。よし、と嵯峨も新入生に向き直った。そして得意のハキハキとした口調で言った。


 「新入生には入部試験を与える!!」


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