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虹葉高校新聞部です。  作者: 琥珀
二章 セカンド
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無事でいてくれ

 「結構かぶってますね、ホコリ・・・・・・」


  人生ゲームの表面に触れて手に付着したホコリを見ながら隼は言った。ふふふ、と市来は楽しげに笑った。


 「多田ティーもやるってさ」

 「というよりもお前がしつこく言い寄ったのが原因だろう」

 「でもせっかくの思い出の品、多田ティーにもやってもらいたいもんね。女子軍もやるよね、というか俺は寝かせないよ」

 「お前一体何回ゲームやるつもりだよ・・・・・・」


  隼は五百円札を見ながらつぶやいた。今の人生ゲームでは見かけない黄色の五百円札だ。やはり年代物で独特の紙の匂いを漂わせていた。


 「でもこの五百円札増えるだけでちょっと面倒くさそうですね、銀行係の人は」

 「良いよ、銀行係は俺が務めてやる」


  時計に目をやると時刻はいつの間にか五時半を迎えるところだった。他のやつらは、と嵯峨が思い立ったように尋ねた。


 「鈴ちゃんならさっきロビーに居たよ。奏達は知らないけど」

 「・・・・・・ロビーなんて誰も居ないぞ」

 「じゃあ俺お部屋を訪ねてきまーす」


  市来は女子の部屋の戸をノックした。しかし返答は無い。おそるおそる戸を開いて中を覗いてみるが、誰も居なかった。


 「またコンビニでも行ったのかな・・・・・・」


  嵯峨はいつの間にかコンビニへも探しに行ったらしく、市来を見かけると首を振った。市来は奏のスマホに電話もかけてみたが、気づいていないのか誰も出ない。


 「コンビニの人は、皆川達は一時間くらい前に来て帰っていったと言っていた」

 「・・・・・・今度こそガチもんの遭難じゃないの?」

 「散歩してるとか・・・・・・?」


  隼がそう言うと散歩にしては遅すぎる、と嵯峨がかぶりを振った。日が落ちるとこの辺りは真っ暗になってしまう。仕方なく嵯峨達は手分けして女子達を捜索することになった。


 「隼、悪いんだが別荘で待機していてくれないか。もしあいつらが戻ってきてすれ違いになったら困るからな」


  多田は、おそらくどこかで迷子になっているのだろう、と言って警察に届けを出すのはもう少し待つことになった。市来と嵯峨はそれぞれ別れて名前を呼びながら捜索を続けた。


 「奏ーっ!鈴ちゃーん!香ちゃーん!」


  怪我でもして倒れていない限り、返事は返ってくるはずだ。別荘の背後に広がる森を市来は覗いたが、こんな薄暗い中入っていったら自分が戻ってこれない可能性がある。森に向かっても名を呼んだ。

  なおも走り続けていると、市来は嵯峨とはち合わせた。


 「俺が見てきた方も居なかった」

 「ねえ、嵯峨っち。ここへ来てから、鈴ちゃん誰か・・・・・・男の集団に会ってたりしなかった?」

 「男の集団・・・・・・?ああ、確か一日目初めて皆川と神江と俺でコンビニに行った時に、その人達も新聞部で奇遇だ何だって話した記憶はあるが」

 「その人達さ、黒いバンに乗ってなかった?」

 「そこまではわからん。でも車なんか近くには停まっていなかったぞ」

 「もしかしたら、その人達新聞部じゃないかもよ。てか大学生とかかも」

 「・・・・・・警察に通報する?」


  嵯峨が珍しく選択を市来に任せた。警察が見つけるよりも先に見つけた方が事は大きくならないことは目に見えている。


 「場所を見つけてからにしようか、嵯峨っち」


  その時尻のポケットに入れていたスマホのバイブが鳴った。市来はスマホを取り出すと、LINEの通知だった。


 「鈴ちゃんからだ」


 "たすけて"

 "くろいばんのおとこ"

 "どこかのへや"


 「やっぱり黒いバンだ」

 「――ばらまけるもんならばらまいてみなさいよ!!」


  どこかから奏の怒鳴るような声が聞こえた。この付近に彼女達は居る。そして必ず、黒いバンもあるはずだ。

  日が落ち始めて辺りが暗くなり始めた。薄暗く人通りの少ない道に差しかかった時、市来は見覚えのある黒いバンをようやく見つけた。


 「あった!嵯峨っち、通報して。男集団に女の子が拉致されたって。場所はここの住所、あの茶色の建物だ。警察に電話したら、多田ティーにも。それまでは俺が時間を稼ぐから、連絡終わったら嵯峨っちも加勢してくれ」

 「じ、時間を稼ぐって・・・・・・」


  市来は走ってその茶色の建物のドアを開けて入っていってしまった。嵯峨は向こうにバレないように建物の陰に念のために隠れると、警察それから多田に連絡をした。

  どうか、無事でいてくれ。

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