表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹葉高校新聞部です。  作者: 琥珀
二章 セカンド
22/66

遭難疑惑?

 またしばらく行く宛もなく市来と二人で海岸沿いを歩いた。歩道の脇に黒い車が停まっていた。二人はその横を通っていく。特に意味もなく車内に視線を送った時、鈴はどこかで見覚えのある人達だと思った。


 「うーん・・・・・・」

 「鈴ちゃん、どうしたの」

 「いや、変な感覚なんですけどね。さっき後ろに停まってた車に乗ってた人達、どこかで見覚えがあって」

 「何、鈴ちゃんもここら辺出身だったとか言っちゃう感じ?」

 「私は生まれから東京ですから。でも何でだろう、こんな所で見覚えがあるなんて」

 「変な感じだね。女の子?」

 「いいや、男の人」

 「ふーん・・・・・・見て見て、船だ」


  市来は話題を変えるかのように海の方を指さした。確かに船が一艘浮かんでいる。また少し歩くと小さな港があり、カモメが頭上を飛びまくっていた。さっき見かけた船も港に向かっているようだった。二人の足は自然と港へ向かう。港の近くには市場もあった。


 「・・・・・・うおっ美味そう」

 「そろそろお肉が食べたいところですね」

 「今夜はバーベキューって嵯峨っちが言ってたよー。良かったねん」

 「まじですか、やったぁ!―って嵯峨先輩?!」


  先ほど見かけた船から、見覚えのある男子二人が降りた。お礼を言っているのかお辞儀をしている隼と、死んだような顔の嵯峨だった。嵯峨はこちらには全く気づかずに、隼が戻ってくるのを待っていた。市来が走っていってしまった。それでも先に気付いたのは隼だった。


 「あ、市来先輩と神江」

 「良いなぁ。隼、船に乗ってきたの?俺も乗りたかった。嵯峨さんどったの?」

 「ああ・・・・・・市来か。いや、もう船には乗らん・・・・・・もうこりごりだ・・・・・・非常に気分が悪い、ああ」

 「大丈夫ですか?嵯峨先輩めっちゃ顔色悪いですよ、真っ白ですけど」

  隼は苦笑いをすると、市来と鈴に向かって言った。

 「結構穏やかな乗り心地の船に見えたので、頼んで乗せてもらったんですよ。もうすっごい絶景で。写真後で見せます!そしたら嵯峨先輩が」

 「穏やかな乗り心地に見えただけってことだったんだ。全く、情けないよ嵯峨っち。まさか船上でリバースしてないだろうね」

 「そんな失態は犯していない・・・・・・」


  とりあえずどこか座ったらどうですか、と隼が提案をし歩道にあったベンチまで三人は連れていった。すると不意に嵯峨のスマホの着信音が鳴った。


 「嵯峨っち電話鳴ってるよ」

 「悪い、お前出てくれ」

 「しょうがないな・・・・・・もしもし、あ、奏?熊にでも襲われたの?・・・・・・え、迷子?道に迷った?ええ・・・・・・それは困ったねぇ。嵯峨っちならね、今船酔いで死亡してるとこ。そう、一緒にいるよ、俺達四人とも。えー、迎えに来いってどうやって行けばいいわけ?何か目印とかないの?海が見えるとかさ・・・・・・森?森にいるの?」

 「・・・・・・本当に遭難しやがった、皆川の奴・・・・・・。今福がいるから大丈夫だと思っていたんだが・・・・・・何で森になんか入ったんだ、あいつらは・・・・・・」


  隼がスクープは何をとった、と尋ねてきた。暇を持て余し始めた後輩は適当に話を始めた。鈴が市来の母校を見つけた、と言うと隼は驚いた顔をして市来のことを見た。嵯峨も偶然にも程がある、と呟いた。

  市来は電話を切ると、こちらに向き直った。


 「森の入口の名前はわかったよ。ここから歩いて一時間かかるらしいけど、どうする嵯峨っち」

 「一時間・・・・・・俺達の足でそこを探しに行くのも無理がある、タクシーでも拾おう」


  結局タクシーを拾うというよりも、タクシーを呼ぶことになった。何分待っても一台も走ってこない為、嵯峨は痺れを切らして多田に連絡をした。すると多田はタクシー会社の番号を教えてくれたのだ。

  電話するとすぐにタクシーはやってきた。助手席に嵯峨が座り、後部座席は鈴、隼、市来という順番で座った。


 「もうすぐ夕方になるぞ」

 「でも何で森の中なんて入ったんですかね」


  隼が不思議そうに聞くと、嵯峨は知ったことか、とため息をついた。


 「皆川の考えていることは謎だ。・・・・・・どのくらいで着きますか」

 「ええと、道はすいてますから、三十分くらいで着くと思いますよ」


  嵯峨はため息をついて、目を閉じて眠ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ