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虹葉高校新聞部です。  作者: 琥珀
二章 セカンド
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小さな旅の始まり

 合宿についての連絡は想像以上に早かった。合宿日は八月一日から四日までの三泊四日で、宿泊先は多田の別荘だそうだ。毎年新聞部は合宿という名の旅行に行っていて、宿泊先は多田の別荘ということが恒例となっているらしい。交通費は部費から出費され、宿泊代も多田のおかげでかなり割引きされるとか。


 「部活の皆と合宿かぁ・・・・・・楽しみだなぁ・・・・・・」


  別荘は静岡、伊豆にあるそうだ。海か、と鈴はわくわくしたが、海はあるが遊泳場ではない海だ、と嵯峨からLINEが来て少し高ぶっていた気持ちが落ち着いた。

 "夏休み明けのファンファーレには、部活の合宿の事についての記事も書くから全部が遊びではないということを覚えておいてくれ。まあ、トップ程の内容ではないが!!"

  部活の旅行―ではなく合宿日の前までに、ある程度大量の夏季休暇課題を終わらせて鈴は少しずつ合宿の荷物の整理をした。八月の頭なんてあっという間に来てしまう。お菓子は必要だろうか?いいや、それなら奏が専門だ。合宿とはいっても、特に服装に指定は無かった。私服となると荷物が多くなるのは当たり前である。しかしこの暑い中制服を着ていくのも見た目からして蒸し暑い。

  お土産たくさん待ってるね、と家族に見送られて鈴は集合場所へ向かった。集合場所の品川駅は鈴にとっては広すぎた。


 「新幹線の乗り場の・・・・・・皆集まってるから分かるかな」


  集合場所と思われる所にやってきたが、そこには多田と香しか居なかった。


 「おはようございます」

 「おはよう、鈴」

 「おはよう神江。二番だな」


  集合時間より十分程早く到着した。その後続々と部員が集まった。奏はキャリーバッグを引きずってきていたり、市来は海に行く気満々の格好をしていた。


 「もう勝手に夏を満喫させて貰いますよ〜焼けて帰らなきゃ」

 「去年も仁は真っ黒だったよね。私も相変わらずお菓子詰めてきたらパンパンになっちゃって。キャリーバッグにしちゃった。三泊四日って女子にとっては大荷物だもんね〜」


  嵯峨もキャリーバッグを引きずってきていた為、奏は何故か二度見をしていた。最後に到着したのは隼だった。隼は軽く小走りでやってきた。


 「すみません、電車が遅延してて」

 「いや、特に問題は無い。部員ども、今年も俺の別荘・・・・・・いや俺の街・・・・・・伊豆へ行くことになるが、良いか?ではひとまず熱海へ向かおう」

 「多田ティーの別荘以外に行くとこないっしょ!!」


  新幹線は六人席。多田は熱海まで勝手に時間潰せ、とだけ言って普通席に座ってしまった。

  熱海までは三十分くらいで着いてしまい、そこから少し長い電車の旅となった。熱海で昼食をとった後は、約一時間伊東線に揺られて目的地へと向かう。伊東線は窓に向かって設置している座席がいくつかあった。幸運なことにその変わった座席は空いていた。その座席からは一面に綺麗な海を眺めることが出来た。鈴は持ってきたカメラを構えて、海の写真を何枚も撮った。目的の駅に到着するとタクシーが既に二台待っていた。多田と同じタクシーには後部座席に女子三人が頑張って乗った。目的地に着くまでやたらに時間がかかり、鈴は思わずため息が出た。


 「今日から三日間ほど、よろしくね。鈴ちゃん、香ちゃん」

 「あっそうか、奏先輩と同じ部屋ですもんね」

 「宜しくお願いします」


  多田の別荘は少し高台にあった。後ろには大きめな森があり、別荘の窓から海も見ることが出来た。森の方からは煩いくらいに蝉の声が聞こえた。泊まる部屋は伽藍としていた。ソファ、テーブル、それからテレビが置いてある和室だ。タンスを開けると洗濯された布団が三人分入っていた。香も奏も荷物を広げ始めたので、鈴もそれに続いて荷物を解いた。


 「何だかんだでもう夕方になっちゃったね」


  時刻は四時を回っていたが、外はまだまだ明るい。スマホを出し、母にメールを打とうと思ったが圏外だった。鈴は意味も無くスマホを振りながら部屋内をウロウロとした。


 「鈴、どうしたの?」

 「電波が・・・・・・ちょっと悪いみたいなの」


  あらら、と香は困ったように言った。香はタンスから布団を取り出し、準備していた。


 「鈴ちゃん、電波ならロビーのところが立つよ。私も使いたいから一緒に行こう」

 「あ、はい行きます」

 「二人とも行ってらっしゃいです」


  一つ下の階のロビーに行くと、多田と嵯峨、それから別荘の管理人であろう夫婦が居た。多田は二人に気がつくと声をかけてきた。


 「ああ、二人とも。こちらがしばらく世話になる多田夫妻だ」

 「親戚さん?」

 「そんなところだ。ああ、お前ら暇だろ。ちょうど良い、タバコ買ってきてくれないか」

 「タバコって・・・・・・どこまで買いに行くんですか」

 「下まで降りて海岸の方へ行けば、コンビニが一軒ある。というかいちばん近くてそこしかない。金多めにやるから、ジュースでも何か適当に買え。・・・・・・嵯峨、皆川だと心配だからついてってやれ」


  嵯峨は一瞬面倒くさそうな顔を見せたが、多田に頼まれた為仕方なくついてきた。奏は鈴の方を振り向き言った。


 「鈴ちゃんも行く?散歩がてら」

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