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虹葉高校新聞部です。  作者: 琥珀
一章 トップ
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廃部なんて聞いてないっ!!

このサイトでは初めての投稿作品となります。

元気で一生懸命な部活コメディー小説です。作者は新聞部に所属した経験はありません。

 虹葉高校に晴れて入学して早三日目。男子生徒がネクタイを締めている様子にだいぶ慣れてきた頃、神江鈴は大きな絶望感に浸っていた。部活動は全生徒強制参加、文武両道のレッテルが掲げられているこの高校には、あるはずの部活が無いのだ。―文芸部が無い。

  鈴は虹葉高校の文芸部に入部する予定だった。中学時代ずっと一人で我慢していたものを、この素晴らしい部活で発揮できることができる―そう夢に見ていたのだ。おかしい。高校の説明会の時には確かに文芸部という文字があったはずだ。私が見間違える訳が無い。

  しかしたった今、新入生歓迎会の部活動紹介は文芸部の名を言うことなく終了した。高校一年生には退場の放送が流れ、生徒達はクラスごとに並びながら体育館を後にしていく。

  私は一体何部に入れば良いんだ。そんな悩みが頭の中を駆け巡りながら、前の人に続いて歩く。後ろから肩を叩かれ振り向くと、クラスメイトの小長井 茜が声をかけてきた。


 「ねえねえ、部活何にするかもう決めた?」

 「・・・あると思ってた部活が無くて、悩んでる」

 「あると思ってた部活って?」

 「・・・文芸部」


  そう答えても茜はいまいちピンと来ないようで、うーんと首を傾げるだけだった。興味の無い人には興味の無い部活であろう。長くくるくると巻かれた髪の毛をいじりながら、茜は言った。


 「うーんと、お話書く部活?」

 「そうだよ。中学の時に文芸部無かったから、高校で絶対入る気でいたの。しかも説明会の資料でも見たし」

 「・・・廃部したって可能性は」


  残念ながら十分有り得る話だと鈴は直感した。文芸部は部員が多いなんて話は一度も耳にしたことは無いし、活動日数も極端に少ない。それを考えると部というよりも同好会のようなものである。しかし、この高校にはそのような同好会は求めていないのだ。

  この高校が求めている文化部は、吹奏楽、軽音、競技歌留多と言った情熱的な部活だろう。それは鈴も承知の上である。


 「まじでどうしよう部活・・・参ったぜこりゃあ」

 「明日から部活見学始まるしさ、実際観に行けばまた何か変わると思うよ?絶対!」

 「茜は何部に見学行く気でいるの?」

 「よくぞ聞いてくれた鈴ちゃん・・・私はね、ダンス部に入ろうって既に決めているのだよ」


  茜は鈴と違ってどこかキラキラとしていた。いわゆる女子高生感、というものがあったのだ。スカートは何回折っているのかわからないくらい膝上で、黒のハイソックスもハイソックスではない長さを履いている。当たり前だが第一ボタンは留めていなく、軽く着崩したような感じでリボンをつけている。おまけにまつ毛もしっかりビューラーでカールしていて、髪の毛もさっき言ったようにくるくるとしている。


 「鈴もダンス部一緒に見に行く?さっきの公演、めっちゃかっこよかったじゃーん」

 「うん、かっこよかった、みんなキレッキレで。私には無理だよあんなハードな動きは」

 「何だよハードな動きって。でも部活強制ってなかなか辛いよね。もう本当部活選び慎重にしないと、やばい事になりそう」

 「合わなかったら辞める・・・だけで済まないもんね、転部って感じになるのかな」


  そうだね、と茜はうなるように答えた。しかし部活は本当に何にしようか。部活に入部したら簡単には休めなくなるし、それなりに雰囲気の良い所が良い。部活で出会う同級生の友達だってなかなか重要だ。後輩はまだ居ないから、先輩だって重要だ。

  中学時代はソフトテニス部に何となく所属していた。部活の種類が少ないということもあったが、テニス部は部員が五十人を超えていて、欠席してもそこまで目立たないことから案外楽な部活であったと思っている。中三の引退時まで、退部せずに続けていた。じゃあまたテニス部に入る?しかし高校は硬式だ。それにそこまでテニスをやりたい訳でもない。

  クラスでホームルームが終わり、まだ友達が少なかった鈴は茜と共に駅まで帰ることになった。校舎から出て歩くと、校門付近に生徒が何人か立っていて、何かを配っていた。不審そうな顔をしつつも、一年生は皆それを受け取っていた。


 「何配ってんだろ、あれ」

 「さぁ」

読んでいただきありがとうございました。

更新は遅れるかもしれませんが、これからよろしくお願い致します。

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