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No.32 放送事故

作者: 夜行 千尋

出されたお題を元に、一週間で書き上げてみよう企画第三十二弾!

今回のお題は「車」「なまり」「水着」


3/30 お題出される

4/3  プロットを何とかしてまとめる

4/5  思ったほど作業が進まず悪戦苦闘

4/6  そして安定の締切ブッチ……


思ったほど書けてない……

 ××事務所所属タレント

 蟹江田かにえだ 順子じゅんこ 年齢 39歳

 職業 グラビアアイドル 兼 TVタレント


 彼女は昨今、売れていない。

 その年齢に合わないぶりっ子キャラを今なお押し通そうとするのが見えており、不人気の理由と思われる。あとセクシー系肌色職業なのに年齢が高めであること。もちろん未婚……が、事務所からは結婚しても良いといわれている。どちらかというと厄介払いの勢い。だが彼女はそれでも事務所を止めずにグラビアアイドルとして、TVタレントとして邁進している……しかし仕事は減る一方。このままでは、彼女は数年後「あの人は今!?」的な番組に出演することになるだろう……!





 かにみえた……






「クイズ! カタクリダービー!!」


 その掛け声とともに、路上にトラックがやってくる。トラックの荷台は水槽になっており、その水槽の方一面が透明なアクリル板で作られ、中が見えるようになっている。水槽の中身は白い液体で満たされている。

 そして、蝶ネクタイにスーツ姿のタレントの男と女子アナが司会を務める中、テレビ23.3時間テレビのクイズコーナーの一企画がスタートした。これはグラビアアイドルとか清純派女優が白い液体を跳ね散らかしながら水着で豊満な二つの果実を揺らすという名物コーナーである。……要するに大量の片栗粉を混ぜた水の上を、片栗の凝固能力を利用してダッシュで向うまで行く時間を図る競技であり、このレースの順位を予想するのがこのクイズの本来の目的……のはずである。

 参加者は4人。

 18歳のグラビアアイドル、皆重みなしげ ミリアは若さと天然な性格とハーフ特有の整った顔立ち、片言の日本語を武器とする売り出し中の新人である。

 20歳の清純派女優、飯豊いいで 真琴まことは塚宝歌劇団出身の清楚な外見の細身の女優であり、主に殿方の欲望の対象として注目のカードである。

 22歳のレスリング選手、永富ながとみ 早百合さゆりは肉体系の選手でありながら整った顔立ちで人気の選手であり、普通の競争なら間違いなく勝つであろうクイズの難易度調整のためのカードである。

 で、39歳お局グラビアアイドル、蟹江田 順子……まさかの御笑い枠である。

 昔はそのセックスシンボルともいえるナイスなバディーでぶいぶい言わせ、様々なところからの男性の目線をほしいままにしてきたアイドルも、もはや女芸人が間に合わなかった時の為の穴埋め役である。そしてこのことに対して……彼女は激怒した。その怒りは沸々と、片栗のプールの水を沸騰させ(るかの様な錯覚を覚えるほど煮えたぎった怒りを持って)彼女はこのレースに挑んだ。

 レース前、彼女は笑顔で、レースの予想をする回答者たちに答えた。


「私ガチでええよな? ええよな?」


 思わずマネージャー、ADが、カメラの死角から、腕でバツを作り否定するが彼女は聞こうとしない。そして、この時のことを視界の男は後にこう語る。


『あれ、拒否したら殺されてました……蟹さんが方言出してくる時ってのは、撃おこも良いとこなんで……あ、マネージャーさんはお気の毒です。はい』


 レースは走者が走っている最中、他の者は待機している。はずである。もちろん、彼女はただ静かに待っていなかった……


「私これ勝つで。ええな? なんで私が芸人枠なん? おどれら覚えとれよ!」


 そして、これが一番目の走者、皆重の走行中にバックで音声として拾われていたのを、満場一致で笑って誤魔化した。これでもかと言わんばかりにみなで誤魔化した。

 なお、危機を察したのか皆重は、序盤でこそワザと足を取られたりしていたが、レース中盤に本気で片栗の海から抜け出し、レースを途中棄権してダッシュで楽屋へと引き籠もった。その様に可愛げなどかけらもなく、流ちょうな日本語で侮蔑の言葉を吐くという、彼女の天然、片言日本語のハーフタレントのイメージがぶち壊されたのは言うまでもない。


 こうなると他の走者の時ももちろんトラブルが起きる。

 第二走者、飯豊の時には蟹江田のマネージャーと番組ADがひたすら謝り続ける声が入り、これに対して清純派であるはずの飯豊がキレて取っ組み合いになり、口汚く蟹江田を罵る場面が全国放送された。結果彼女は怒り心頭で走らずにレース、番組を辞退した。

 第三走者永富の頃には逆に両名が蟹江田に励まされているという謎の光景を移す別のドキュメンタリー状態に変更。これに永富が感動して足を止め、片栗の海に沈んだ。生放送ってコワイ。

 そして、若きマネージャーとADが立ち直り、その背中を優しくさするお局(元凶)という謎の絵で締めに向かおうという時、蟹江田は言った。


「あ、私走ってないわ」


 この時、このコーナーに残された時間はあと3分。彼女がどんなに急いでも1分で支度、男性スタッフが本気で走ったとしても1分、クイズとして行うには5分は残り欲しい。要するにもう無理なのだが……お局は番組構成すら圧して走行準備をするという事態になった。

 抗議の電話は殺到、すでにディレクターは胃痛で倒れた。肝心のADは……


「蟹江田さんに走らせましょう!」


 洗脳済みだった。

 もはや番組は、水着の美女がエロティックに走る競技ではなく、順位もなくただ棄権者ばかりのアラフォー女性が水着で走る姿を見るとかいうよくわからん番組となっていた。

 そして彼女は、歳ゆえの運動能力の低さで、片栗の海に頭から倒れ込んで沈み、全身を白くして引き揚げられた。途中棄権である。つまり、全員棄権したのだ。



 このトラブル以降、蟹江田は芸能界から仕事がなくなった。ついに、元々途切れかけていた蟹江田の芸能界人生はたたれてしまった。
























 蟹みえた



 数日後……

 とある撮影現場では、学園物を撮影していた。十代の子役の女子生徒が友人に呼び出され、トラブルに巻き込まれるシーンに、蟹江田は居た。


「何しとるんじゃぁ!! はよ教室いかんかい!!」


 まるで女性レスラーのヒール役のごとき厚化粧にパーマの姿で竹刀を持ってドラマの教師役を熱演。


「で、でも先生! 私は……」

「口答えすんな! ええよな!?」


 『3年K組、悪役先生』というこの学園番組で主役に抜擢。

 番組の監督曰く「例の映像を見て彼女しか居ないと思った!」とのこと。そう、彼女の芸能人生命は新たな道を進み始めたのだ!

 そして彼女の新たな戦いが、ここから続くのだ! 続くったら続くのだ!!



続きません、続かせません(断言)


最初はもうちょっとギャグ多めで、姉御が沈むところも描写として入れたかったのですが……

諸事情によりカットしました


ちなみに他の走者の方はだいたい芸能人としての生命は断ち切られましたハイ

(一人はレスリング選手だから問題ないね!)


ここまで読んでいただき、ありがとうございました

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