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“命”  作者: IAN
1/1

著者の好みは、

東京喰種、進撃の巨人、NO.6,

アニメは

ハマトラ、暁のヨナ 等…

(関係ないwww)


「さっさとしろォ! クズ共ォ!」

老若男女問わず、冬の冷たい水に故意に濡らされた鞭が振るわれる。

少し先では、弟のイアンが体に不相応な荷を背負わされ細い足でふらついている。

その痛々しい様子から、自分以外の周囲の人間が目をそらす。

骨だけの様な足には大きすぎる足枷がはめられ、傷ついたのに手当されなかった傷の幾つかは化膿している。

「クッソォ…。」

口の中で毒ずく。

(僕に、もっと…もっと力があれば…。)

何度も思うことだ。

この光の差さない地獄から抜け出して、たった一人の弟の小さな手を引いて。

まだ弟が見たことが無い“草原”を走りぬけ、“空”を見る。


何度蹴飛ばされても、何度焼けた鉄を押し付けられても。

イアンは笑う。

声は立てず、ただ薄い唇に笑みを浮かべるのだ。

過労で千鳥足になっているイアンを、“兵士”達は蹴飛ばしながら周りのテントとは隔離された小さな四角形の“部屋”に入れる。

鉄の重い扉が閉じられる。

(また…)

また弟を助けられずに、一日が過ぎた。

なんであいつだけがあんな目に遭わないといけないのか。

誰に尋ねても、応えてくれない。

誰も、助けてくれない。

二度と。

永遠に。

誰も。








相手の剣の力を、木刀で受け流す。

そのまま後方に引きつけ、組み伏せる。

「痛たたたた!! 降参っ! 降参ってば!」

僕に組み伏せられた金髪の少年が悲鳴を上げる。

伸ばされた手を掴み、少年を引き起こす。

「ったく。なんでお前はそう強ェーんだよ、イラ」

「力に頼りすぎてる。型の練習をさぼるから、お前は僕より弱い。違いはそれだけだよ。リク。」

「そんなこと、座学から実技まで全部トップの“イラ様”に言われても、実感わかないんですけどォ…」

「いつも遊んでばっかいる奴に抜かされたら、こっちも堪らないさ」

と言って、僕は苦笑する。

戦闘訓練兵 一等兵。 リク・アクロイド 

かれこれ10年。コイツと組んでいるが、昔と全く変わらない。

貴族出身にもかかわらず、奴隷出身の僕にも気安く話しかけてくる。

いわば、【腐れ縁】というヤツだ。


「そういえばさぁ、お前知ってるか?」

訓練着についた土埃を払いながらリクが言う。

「何を?」

おっ! よくぞ聞いてくれたとばかりに、リクがニヤリとする。

「最近、ここに殺人鬼が出るって話だよ」

「さっ、殺人鬼!?」

怪談物にめっぽう弱い僕には、十分効果的である。

血相を変えた僕を見てリクは、してやったり。とばかりに、続きを話す。

「“イグダナの悲劇”に当時関わっていた、今の軍の幹部達が、次々殺られてるって話だ」

「マジかよ…」

「しかも、その殺害方法がエゲつなくってさぁ。月の光に反射する、よく研がれた両刃ナイフで、幹部達のよ~くお太りになった首を、こうやってスッ…と…」

「ギャァァァァ!! もういい。もうそこからは言うなぁぁ!!」

と、リクの話を強制的に中断させる。

「なんだよ。イラって本物の死体とかにはビビらないのに、こっち系にはホント、弱いよなぁ」

「…非現実的なものに拒絶反応が出るんだ」

うぅ、寒気が…と、みの腕をさする。

「だから、現実的な戦争とか死体とかには免疫があるってことか?」

コクリと頷く。

「お前なぁ…」

と、何故かリクが溜息をつく。

「“夢”とか無いワケ?」

「は?」

「だから…“夢”とか…無いのかって聞いてるんだよ…」

恥ずかしいのか、赤面しながら、ボソボソとリクが言う。

“夢”

考えた事なんてなかった。

しいて言えば…

誰かの手を引いて、どこかを走りたかった…


…ような気がする


…………思い出せない


思慮深げに考える僕を見て、リクが苦笑する。

「ま、いいさ。そのうちお前にも見つかるだろ。それより飯食いに行こうぜ! マジ腹減って仕方ねーんだよ」

と言って、僕の背中を叩く。

「もう夕食の時間か。短いなぁ、今日」

と、リクはぼやき、暗くなり始めている空を見上げる。

「いかに、“充実した生活を送っていないか”だね」

「うっせーww」

くだらない会話だが、こうしてリクと居られることは、僕にとって幸せだ。

「何ニヤついてんだよ」

「なんでもない」

「キモ……いつもの事だが……」

「一言多い」

そう言って、僕は親友の頭を軽く叩いた。







どうしようもない怒りが込み上げてくる。

自分が、何に対して。誰に対して怒っているのかはわからない。

クソ……チクショウ……

と、口から怨嗟が漏れる。

(どうして…)

どうして***ばっかり…

どうしてあんな目に遭わないといけないんだ…

誰か。

誰か助けて。

誰も来ない。助けてくれない。

誰もが***から。***が“兵士”にされていることから目をそらすだけ。

僕が助けなきゃ。

もっともっと力が欲しい。

***を助け出せるくらいの力が欲しい。

この“地獄”から抜け出して…



目の前で、***が倒れている。

それを僕は半分停止した思考の先で捉えている。

***の下には、***の血で出来た水たまりがある。

***の声が頭の中で反響する。

「逃げて」


「お兄ちゃん、お願い」


「***のこと…僕の事…」


………忘れないで








またいつか投稿しますww

閲覧感謝<m(__)m>

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