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Exceed  作者: 中年
3/5

おっさん大ピンチ

謎の森林で一人きり。

持ち物は役に立ちそうもなく、携帯も圏外。

あれ・・・?俺って終わってるよね?


携帯が圏外となった今、自分が出来ることは少ない。

地方育ちとはいえ、サバイバル経験があるわけでもない。

山で遭難したら上に登れとは聞いたことがあるが、残念ながらここは平地の森。

四方に森の切れ目は無く、どこかの映画で見た神様の森みたいな雰囲気。

デカイ猪か、犬神でも出そうだなと、現実逃避気味に考える。


そのままどれくらい突っ立ていただろう。

腕時計を見たわけではないが、そんなに経っていなかったと思う。




―――ガサガサ




そんな音が後方から聞こえてきた。

その音が聞こえた瞬間、俺は何故か助けが来たと思った。

あぁ、これで助かったと。

後から考えれば、現実逃避の妄想みたいなものだが、この時は真剣にそう思っていた。

なので俺は、何の疑問も抱かずに振り返り、


「すいませーん!・・・道に迷ったので助けてください!」


と、叫んだ。

そしてその返事は、木の切り倒される音と、「キシャー」とまるで出来の悪い怪物映画の音声を発する、大きなカマキリみたいなのからもたらされた。


「・・・・・・・・・」



まったくもって想定外の事態だ。一瞬で思考はパニック。


でか過ぎるだろ!

何のゲームだよ!

カマキリって肉食だったような?

革靴じゃ逃げれなさそうだな

これ俺死んだんじゃね?


すっかり逃げだす機会を失い、そのカマキリが目の前に来るまでただ突っ立ていた。

目の前で所謂、カマキリポーズをする3メートルはありそうなヤツ。

鎌は鋭そうだし、木を苦もなく切り倒した様子から頑丈そうでもある。

中年の素手のおっさんが戦っても、間違いなく勝てないだろう。

逃げるにしたとしても、スーツに革靴、ましてや営業職とはいえ、運動をしっかりしている訳でもないおっさんでは、逃げる速度も距離もたかが知れてる。


「あー、こりゃ詰んだわ」


あっという間に諦めの境地に達して、ぽつりと呟く。

訳も分からず、こんな森にいきなり放り出されて、デカイ昆虫に殺されて終わりとは、俺の人生一体何だったんだろうか。

涙が出そうになり、上を向く。

木々の隙間から見える空は、地球と変わりなく見えた。

でも、ここは地球じゃない。こんな化け物がいるなんてありえない。

謎の世界で人知れず死ぬ。こんな理不尽があるだろうか。


「恨むぜ神様・・・」


カマキリが鎌を大きく振りかぶる。

俺は、目を閉じその瞬間を待った。せめて痛くなければいいなと思いながら。

カマキリが動く気配。

ヒュっと鎌が振り下ろされる音がした。

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