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7生誕祭の襲撃

戦闘シーンの為、残酷な表現あり。人死にあり。

国王陛下の生誕祭当日、護衛騎士見習いの私も忙しかった。第2王女殿下の護衛として、普段のお仕着せではなく祭事用騎士服を纏っていた。腰には頂いた小剣と愛用の短剣、いつもはひとまとめにして後ろにひっ詰めている髪を、丁寧に編んでぐるぐると巻き付けしっかりと止める。見た目は立派な女騎士……小さい体格の所為でお芝居感が溢れていますが


そして隣には宰相補佐官様……同じく騎士服に身を包み、本日は普通の大剣を腰に佩き紋章付盾を持っている。ちらりと見ると盾の後にはいつも下げている鉈(本人的にはナイフ)を設置している。重くなるだけだろうに


「どうして宰相補佐官様が、護衛を?」

「人員が足らないそうだ。やっと休めると思ったのにな……、休めると思ったのにな……」


2回言った!!余程悔しかったのだろう、お疲れ様です。第2王女殿下はまだ成人していないため、参加する式典も少ない。すでにメインである生誕式は終了し、あとは夜の舞踏会のみ、それも途中までで早めに部屋に下がることになっている


現在、上級騎士と推薦された中級騎士が御前試合中の為、人員不足中。その試合をボックス席で観戦中、民から離れているのでつい砕けた話し方になってしまう。そういうのは生誕祭ではなく別の日にやればいいのに、と思うが言わない。経費削減で宰相府が言い出したことなので、ね


「宰相府が言い出したのであろう、民への娯楽を提供するのにけちな事を申すからじゃ」

「私が言ったのではありません、宰相閣下が言ったのです。面倒だから一回に済ませようと……結果1回激烈に忙しいより、2回適度に忙しい方が楽という結論に」

「……アホだ、宰相。あれが私の婚約者とは、正直気が滅入るわ……」

「君たち、本人目の前にして酷くない?もう少し優しさを持ってよ」


ボックス席には宰相閣下も同席していました、騎士服を着て





「元帥んトコの長男を護衛の助っ人にしようとしたら、嫁とイチャイチャしたいから嫌だとか言ったんだぜ!!何時だってイチャついている癖に、何言ってんだって話だよ。ムカつくから王太子殿下に付けてやった、今頃ボックス席で尻と太もも談義でもしてるんじゃねぇ?俺なんかイチャつきたくても、未成年だから駄目って言われてんだぜ。酷いよな!!」

「閣下の口の利き方のほうが酷い」

「五月蠅い、宰相。今は騎士なのであろう?隣に座るな、後ろへ立て。そして代わりに見習い座れ。補佐官がデカすぎて3人立つのは狭いだろう」

「王女殿下の方が酷くない?」


このお三方は親が親しいので、お小さい頃からの付き合いだそうです。このような場だとどうも毒舌合戦になってしまうとの事。……早く試合終ってくれないかなぁ




御前試合が終わり、ひとまずお部屋に戻ると王女殿下は言う。宰相閣下(今は護衛騎士)を先頭に、王女殿下、殿下付の侍女と私が並び、最後尾に宰相補佐官様(今は護衛騎士)がつき従い回廊を渡る。奥宮はシンと静まり返っている、外の賑わいが別世界の様に


「来た」宰相閣下は小声で告げる


「だろうな」宰相補佐官様はあっさりと告げる


「私ならまず来ないな、死にに来るようなものだしのぅ」王女殿下は右手の指輪を確認して



指でするりと石を撫で魔術を展開する。自らの周りに結界を張り、高らかに宣言する


「私の護衛騎士達よ、敵を殲滅せよ」

「殲滅は拙いよ、一人くらい残しておかなくちゃ」

「五月蠅い、行け!!」



なんちゃって騎士(ほぼ文官)が護衛の助っ人をしている間に、チャンスとばかりに王女を狙ってきた刺客たちとの戦闘が始まった。侍女は外宮に向かって駆け出す、2人の刺客が追って行ったが、あれは幻覚。罠の間に連れ込む用の幻。王女殿下は結界をまといながら刺客に向かって走る。向かってこられた刺客は驚いて、一瞬動きを止める、それを見て王女殿下は結界ごと体当たり。何時見てもすごい技……技と言っていいのかわからないが


宰相補佐官様は盾で刺客を吹っ飛ばす、剣はどうした剣は!?私は小剣と短剣を持ち、宰相補佐官様のデカい体の影から、ひょっこり飛び出し、斬りつけひょっこり影へと消える。せこいと言うなかれ、大人数に対する時は、ある程度人数を減らすまでこうすることが決まっているのです


宰相閣下は王女殿下の後をつけ回し(表現がアレですが)、結界に吹っ飛ばされた刺客の腕や足の腱をスパスパ切り刻んでいきます。残酷なのはわかっていますがそういう仕様なんですよ、本当です。宰相閣下がネチネチしつこい人だからではないです……多分




人数はあと5人、刺客もそろそろ逃げる姿勢を見せています。宰相補佐官様は盾を放り出し、鉈を握りしめます。剣はどうした剣は!?ホラー感マシマシの宰相補佐官様は近くの刺客に、鉈を振り下ろす。うわぁ、即死ッ!!あと4人


宰相閣下が刺客の喉を切り裂き、文字通り首の皮一枚繋がった状態で倒れます、残り3人。王女殿下が結界タックルからの、指輪した手で拳を入れふらついたところに、鉄板を仕込んだヒールでこめかみにハイキック、脳漿でてますよ!!で残り2人。そうしている間に宰相補佐官様がもう1人潰す(文字通りに)、残り1人!!


無駄に凄惨だ


え?私ですか?私は宰相閣下が腱をスパスパして動けない刺客を、特製紐で拘束中。本当にこういう役割分担なんですよ!!護衛騎士見習いはッ!!


残りの1人はもたもたする私に向かってきた、ですよね~、1番弱そうですものね~。未成年の王女殿下より弱そうに見える護衛騎士って意味あるのかって?ありますよ


「うちの嫁に何をするんだ、刺客風情がっ」

「嫁じゃありません、囮です」


走りこんで来て残りの1人を華麗にぶった斬る、練兵訓練隊長閣下。ちゃんと連携は取れたかと聞いてくる隊長閣下に、ばっちりよと答える王女殿下。私が潰すつもりだったのにと宰相補佐官様。やっぱり生誕祭と御前試合は別の日にやろうと宰相閣下


そうして下さい。

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