16デートは異国の香り
R15。ぼかしてありますが、性交渉ありで下世話です。ご注意ください。
「そう言えばデートが無しになってしまっていたな」
「は?あぁ、そうですねぇ」
例の宰相補佐官様襲撃事件の所為で、噂の湖デートは無しになっていた。では、湖にいってみますか?と求婚されて、結納前の婚約者一歩手前の彼に言ってみる
もう少し、甘酸っぱい恋人気分を味わってみたい私
いろいろ、すっ飛ばしてしまいましたから……主に宰相補佐官様の所為で
「宰相閣下から、オススメのデートスポットを聞いたのだが、見習いが良ければ連れていこう」
「もう見習いではないのですけれど」
「私の嫁見習いだから、見習いでいい。早く見習いを卒業できるように精進せねばな」
なんでしょうか、そのこだわりは?まぁ、ずっと見習いと呼ばれていたので、私もつい返事をしてしまうので強くは言えません
「それにしても、宰相閣下のオススメ……ですか」
「まぁ、不安しか残らないが……第2王女殿下も知っている場所だそうだ。殿下の感想を聞いてからでいいぞ」
という訳で、第2王女殿下にお話を伺う事にした。晩餐が終わり寝る前の一時にお時間をいただき、例のデートスポットとやらの話を聞きます。殿下は非常に嫌な顔をしたので、宰相閣下にとってはすごく楽しい場所だったのだと察してしまいました
「あのような場所に未成年を連れていくなど、あやつの神経を疑うような場所であった。いや、元々おかしいやつだとは知っていたが。まぁ、食事は美味かったと言っておこう。……いや、お前達には良い場所やもしれぬ。……そうだな、どうせ私ではないし……」
「あの、聞いていてとても不安になる場所なんですが?」
「いや、雰囲気のある個室で異国の飯を食うのだ。美味かったぞ、飯は。ただ……のぅ……」
やはり不安しか残らないのだった……
そこは異国風の建物、落ち着いた品のいい感じを醸し出し、ほんのりと良い香りが漂ってきています。正直、嫌な予感しかしていなかったのですが、料理は美味しいらしいですし。……では何がよくなかったのか?
女主人だと思われるご婦人に、いらっしゃいませと共に店内へと導かれる。そして……
「ななななんですか、黒くて太くてぬるぬるですよ!!生き物ですか!?」
「本日のメイン料理の原料だ、卑猥な表現は感心しないぞ見習い」
料理人から見せられたものは、たらいの中に入っている黒くてにょろにょろした物体
「えぇぇぇぇ!!た、食べるんですか?これ食べられるのですか?……あの、どこかに入れられるとかですか?しょ、触手はちょっと専門外なので」
巨根ならともかく……いや、それもどうかとは思うのですがね!!宰相補佐官様の後ろに隠れ、そっと覗く……やっぱり不気味な生き物だった。にょろにょろしていて、宰相閣下は好きそうですね(偏見)。第2王女殿下はコレでナニをされたのだろうか、お労しくて涙が出てしまいます
いえいえ、今は自分の身が大事です。無理無理無理無理。こっそりと宰相補佐官様に耳打ちします
「あんなにょろにょろより、宰相補佐官様ご自身の方がいいですぅ……」
「……まぁ、そっちの意味でアレの方がいいと言われたら、私の立場が無いな」
涙目になりながら、宰相補佐官様の服を引っ張り、さりげなく店の外へ誘導しようとしても微動だにしない宰相補佐官様。貴方は文官、私は騎士なのですけどね
彼は私を抱きしめ持ち上げ、私の頭を鷲掴み、己の肩へ押し付け口を塞ぎ店の奥へと移動し始めた。う、動けない。唯一自由になる足をばたつかせ、蹴りまくるのですが……まったくダメージを与えられませんでした
お店の方に「合意なんですよね?」と小声で聞かれた宰相補佐官様は
「当たり前だ、どうみても仲睦まじい恋人同士に見えるだろうが」
と大きな声で答えた。見えないから聞いているんですよ。誘拐してきた子供を、無理矢理手籠めにしようとしている極悪犯っぽいです。……いえ、とても格好いい素敵な紳士なのは知っていますよ、恋人ですから。ただ他人が見てどう思うかは……だから、そんな凶悪な顔で睨まないでくださいッ!!
「ここでは、食材を自ら選んで調理してくれるのだ。触手代わりに使う訳ではない。どんな料理店だと思っていたのだ?」
「第2王女殿下は非常に嫌な顔をしていましたもので、てっきり宰相閣下に触手プレイをされたのかと思いましたのです、はい」
「……まぁ、あの方ならやりそうだが。私までそのような不埒な事をすると思っているのか、見習いは」
「え、…………………イイエ」
まだ恋人未満だったのに肉体関係結んでしまった人が何を言う、と思いましたが言いません。どうせばれていますから。宰相閣下も、あいもかわらず卑猥ですね。婚約者である第2王女殿下はまだ未成年なので、契りを結ぶことが出来ない代わりに、卑猥な悪戯を仕掛けまくっているそうです。あぁ、お労しや殿下
さて、この店は来店してから食材を選び調理をしてくれるそうだ。目打ちで押さえて背を開き、内臓を出して背骨を取り除き、蒸してから串を差し、炭火でタレを塗りながらじっくりあぶっていくという調理法で
「それって大分時間がかかりませんか?出来るまで何をしていればいいんですか」
「ナニをすればいいのだ、見習い」
その個室は、畳と言う草で編んだ床でできていて、重厚な背の低い机と平べったいクッションが置かれていた。宰相補佐官様は紙で作られた壁に手をかけ横へ移動させると、薄暗い中ほのかに灯されたランタンを置いた次の間が見え、そこには……
「あ~、薄いマットレスが2枚くっつけて敷いてありますね。枕的なものが2つ置いてありますし、毛布も2枚ですね。確認いたしました、すぐそのドアを閉めてください!!」
「ドアではなく、ふすまと言うのだ。《4の国》のある地方の建築様式を真似て作っているのだそうだ」
「では、ふすまを閉めていいですよ~。お料理が来るまで、のんびり待ちましょう!!あ、先程見たお庭もその建築様式なんですかね、わぁ、きょうみしんしん~!!」
「嘘をつけ」
時間はゆっくりとある、我々は同衾しながら料理を待つとしよう。そう言って宰相補佐官様に捕獲され、料理の前に美味しく頂かれてしまいました。まぁ、ノーマルプレイでしたので良かったですよ。何時、黒いにょろにょろを出されるか、ちょっとだけ疑っていましたので……
ちなみにうな重と言う異国の料理はとても美味しかったです
「おぉう、にょろにょろもですがこの下にある穀物は何なんでしょう?初めてです……」
「ん、見習いは食べたことが無いのか?これは米と言って、《4の国》のある地方の主食だ。《3の国》ではかなり高価な穀物だったのだが、農業国の王家に『稲穂の姫』がお産まれになられ、栽培されるようになってからは大分手に入りやすくなったのだ」
「姫って言うと『始まりのギフト』!!女神様からの祝福で、種を抱いてお生まれになる乙女ですね」
なんて輝かしい守護女神のギフトなんだろう……、私のギフトとは大違いだわ。まぁ、それは仕方ないので気にしない気にしない。それよりも、ごめんねにょろにょろ、君を疑って……食わず嫌いは駄目だと思った私でしたが
「やはり触手プレイも経験しておいた方が良かったか?」
「それは、いりませんッ!!」
「喰わず嫌いかもしれないぞ、次はそうしよう……」
「うな重は美味しかったけど、もう来ません。お店の方、もうしわけありませんッ!!」
デートってもう少し、うれしはずかし成分が多いのかと思っていました。あの日訪れたお店は、普通に料理を提供しているのですが、『予約』を取るとこのような特別なコース料理がいただけるそうだ。コースの意味が違うと思うけどね。普通に食事をする分には、入り口からして違うらしい……そちらで良かったのに
「へ~、面白~い。私はいつもご飯を食べてからイタダイテいたから、逆パターンは新鮮かもしれない。でも、その『予約』って高いんでしょう?」
後日、事のあらましを侍女様に話したところ、羨ましがられました。勿論、部屋のリザーブ代・守秘義務があるので、やはり良いお値段だったらしい。宰相補佐官様が払ってくれたのですが、領収書を見て度肝を抜かれましたよ
そう話していると第2王女殿下は暗いお顔で私を見ながら、おずおずと口を開きました
「で、見習いは……アレを入れられたのか?……口か、言えないような場所へと……憐れな……くッ。宰相補佐官めッ!!」
なんだか殿下のご想像が偉い事になっていますので、すかさずフォローを入れます。普通に食べただけですからね。触手駄目、私は無理!!
だって触手の方が宰相補佐官様のモノより小さいだろうから、絶対痛いと思います
「口には入れましたけど、言えない場所へは入れていませんから、ご安心(?)下さいませ」
「口には入れたのかッ!?……なんと言うプレイをッ、口にアレを入れながら下に別のモノをなど……。宰相補佐官を呼び出せ、私が自ら成敗してくれるぞ。お前には指一本ふれさせぬ、安心せい!!」
「うわぁ、違います!!料理として食べました、うな重美味しかったですッ」
危ない危ない、誤解で宰相補佐官様が成敗されてしまうところだった……
それよりも、何故に第2王女殿下はそんな誤解を?と思ったのですが、どうせ宰相閣下が何か卑猥な事でも言って、殿下を追い詰めたのだろうなぁと、新しいお茶を淹れるため席を立ったのだった。
月版ブクマ100越え御礼記念で、ついでにこちらにもアップ。
読んでくださってありがとうございました。いつの時代のうなぎ屋をイメージしたんだ、中世ヨーロッパ風ファンタジーランド(笑)と言う感じで。




