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13善は急げと言うけれど

双子騎士様たちは、「もう眠いから帰る~、おやすみ~」と言って食堂から去って行った。正直私も部屋に帰りたいのだが、宰相閣下に捕まってしまった。宰相閣下は、宰相補佐官様に教えてもらいながら食事を注文。現金を持っていなかったらしく、危うく無銭飲食になるところだった……宰相なのに


「普通タダじゃねぇの?金払わせるなんて、ケチな城の食堂だよな!!」

「勤務についているものには、給料に食券がプラスされて支給されています。ケチではありません」

「俺、もらっていないぞ?」

「宰相のような高級官僚には支給されません、金持ちなんだから金払いなさい」


あぁ、そうなんだと宰相閣下。高級官僚は取りあえず部下にお金を借りてお支払、料理を乗せたトレーを持って私の座っている机にやってきた、これは、そこにいろフラグ?


「見習いちゃん、ケーキやるからお話し相手になってよ」

「金は私が出したのですけどね」

「後で返すから!!」


食事をしながら最近の王女殿下のご様子を聞かれましたが、守秘義務があるので主の話はできませんと断る。すると宰相様は非常に残念な顔をして言います


「ちょっとした話題作りだよ、わが婚約者様は元気かな~って」

「元気です」

「だろうね、さっき会ったし……」



じゃあ聞くなよ、ちょっと非難の目で見てしまいました





「見習い、またどこかに出かけるか?」

「お食事ですか?」

「食事以外でも構わない、……ただ食事以外だと何をしていいのか、まったくわからないが」

「……私もわかりません、宰相閣下は何処へ行きますか」

「ん、守秘義務あるし」


さっきのお返しですね、まぁ守秘義務は本当のことですので諦めます。しかし、食事以外で行きたいところなんて、本当にないです……凄く考え出した私たちに、呆れた視線を向ける宰相閣下。しょうがないと言うようにため息を吐いて


「見習いちゃんは騎士だから、馬乗れるよね?」

「乗れますよ」


ただ自分の馬はいません貧乏だから、そう言うと貸してやるからと言われました。宰相閣下いわく王都から少し外れたところにある湖が、今人気のデートスポットになっているそうだ。丁度今の季節なら、花が満開に咲いていてお洒落レストランもあるらしい


「勿論俺は行った事ないから、あくまで情報だけね。良かったら教えてよ、殿下と行くからさ」

「湖なら昔行った事がある……、確か15年前に」

「参考にならないよ、補佐官君」


そういう事なら、姉上が詳しいかもしれないと屋敷に戻って聞いてくると言った宰相補佐官様。まさか今から行くつもりなのでしょうか?もう夜遅いのに、そう声をかけると笑って頭をなでてくれた


「大丈夫だ、私を襲う輩などいないからな」

「でも……」


止める私の頬を撫でて、食堂から出て行った宰相補佐官様。……本当に大丈夫でしょうか


そして本当に大丈夫ではなかったのだ



宰相補佐官様は夜襲を受けて、応戦したが矢を受けてしまったと言う。宰相閣下がわざわざ私のところまで知らせに来てくれ、王女殿下はそれを聞き、すぐさま伯爵家屋敷に行くよう命じてくれた。殿下の護衛騎士なのに、申し訳ありません。今回ばかりはお言葉に甘え、同じく連絡を受けた弟君の軍馬に同乗させてもらい、お屋敷へと向かった


「弟の馬に乗ったのか、見習い。……気安く男と同乗なんてするものではない」


屋敷に飛び込んだ私を迎えてくれたのは、不機嫌な宰相補佐官様。普通に立ってのしのし歩いていたところを、無我夢中で抱き付いたのはいいのだけれども、何故か怒られた。理不尽だ


「兄上、そこじゃないでしょう。わざわざ見習いちゃんは見舞いに来てくれたのだから、少しぐらい包帯巻くとか、ベッドに横になっているとか、せめて安静にしてましょうよ?」

「ケガなどしていないのに、包帯なんて巻くわけないだろう。邪魔だ」


抱き付いた私を抱え上げ、ギュッと抱きしめてくれながら弟君と口論中。矢を受けたのでは?ケガ……無いんだ、よかった。私もギュッとしがみつきます。話に聞くところ個人的に狙われた訳ではなく『文官』が狙われたらしい。宰相補佐官様を見て文官だと思った人がいるんだと、失礼な事を考えながら続きを聞く


「金を持っていると思われたのだろうが、生憎、宰相閣下に貸した金が最後だったからな。無一文だった。『有り金全部おいていけ』なんて言われたのは初めてだったから、新鮮だったぞ」

「強盗が、かわいそうですわ……」


姉君が強盗に同情する、まぁわからないでもないですけど。現在尋問中だそうですけど、おそらく背後はないだろうとの意見。しかし最近の強盗は矢を使うんですか……。矢を射掛けられ、夜遅くと言ってもまだ民が多くいたため、避けると危険と判断し、自ら矢を受けたらしいんですけど、刺さらなかったらしい。あんなヘボい矢尻が刺さるような鍛え方はしていないとの事、どういう事だ


「いけません、宰相補佐官様は文官でしょう?護るのは私の仕事なのですよ……」

「まだ見習いだろう……しかし、心配をかけてしまったようだ、今度からは手でつかむことにしよう」


本気なのか冗談なのかよくわからない事を言う宰相補佐官様。抱き上げている所為でいつもより顔が近いです、吸い寄せられる様に宰相補佐官様の唇に、自分のものを押し当てました。ちょっとかさついている、お疲れなのかと思って舌を使って湿らせてあげました……早い話が舐めたのですが


「大胆だねぇ、見習いさんは」とお父上様

「なんで父上の血を引く男は、受けなんでしょうね?」と姉君

「俺は否定しないけど、兄上は違うと思う」と弟君


思いのほか心地よく夢中で唇を合わせていたので、ご家族がそのように話していたのが耳に入り、我にかえる。おぉう……恥ずかしいっ。急に顔をそらしたのがいけなかったのか、宰相補佐官様はムッとしてさらに口づけを仕掛けてきた。ご、ご家族がイマスヨ~!!


ひとしきり貪られ、くったりした私を当主の執務室へと案内されます。ソファーでは宰相補佐官様の隣に座らされ、がっちり腰を抱かれました


「見習い」

「はい、何でしょう」

「見習いが正騎士になったら、私はお前に交際を申し込もうと思う」

「こ、交際ですか!!」


だから早く一人前になれ、目標があったほうが上達も早そうだしなと言いながら、またもや口づけを仕掛けてきて。完全に順番が逆だと思うのですけれど、と言う言葉は差し込んできた舌に翻弄されて飲みこんでしまった


順番が狂うのも父上の血の所為でしょうね?俺は順番通りだったよ?と誰かの声が聞こえる……。

実はデートに浮かれていた宰相補佐官様。

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