12護衛騎士のお姉さま
午後は護衛騎士としての訓練に出かけます。練兵場で素振りやら手合わせやら、見習い卒業を目指し、指導を受けます。本日は第1王女殿下の護衛騎士様たちも訓練に参加しています。護衛騎士としての苦労話なども聞かせてもらいました
「私は騎士の物語が好きなのよね~、超萌える」
「私はやっぱり王子様の話がいいな。乙女の夢じゃない?」
「あら、じゃあ次は騎士様スキ~のお姉様が喜んじゃうかなぁ~」
第1王女殿下の護衛騎士様は双子の騎士様たちともう1人年嵩の騎士様
「なになに、お義姉様は新作執筆中なの~?私知らないんだけど~」
「この前、家に帰った時~ちょっと聞いちゃったのよ~」
「いいな~、楽しみ~。ねぇ、見習いちゃんはどういうのが好き?」
凄く乙女な会話をしながらも、剣筋は鋭く、私の隙を狙って踏み込んできます。短剣で受け流して、小剣で牽制をかけるもわずかな動きでかわしてしまいます
「どういうの……と……は!!」
「王子様との恋!騎士様との恋!高位貴族様との恋!まさか禁断の兄との恋!!とか」
『恋』のところに合わせて剣を振るってきます、何故に普通にしゃべれるんですかね?騎士様、半端無い……
「私、実の兄が……いるんでっ、兄弟モノ、は、萌えませんねっ!!」
「あ~、それはわかるわぁ。うちも兄と弟がいるから無理~」
「うんうん、特に兄上ってばカノジョ孕ませちゃったし~、無理~」
のんびりとしたしゃべり方の双子騎士様たちですが、打ち合いは目にも止まらない早業です
なんだか以前にも、兄が彼女を孕ませるネタがあったなぁ?……そう言えば宰相補佐官様も兄か、気を付けよう。いや、そもそもまだお付き合いもしていないのに、友達以上恋人未満!友達以上恋人未満!
「見習いちゃん、考え事しているとさっくりやられちゃうぞ!!」
そういって年嵩の騎士様は、わざと受け流し用の短剣のみを払います。弾き飛ばされた短剣が地面にサックリ突き刺さり、改めて小剣を構え仕切り直しです。何度か打ち合った後、終了の合図がならされます。負けた方は腕立て300回、もちろん私です……
「で、見習いちゃんはどういうのが好み?」
訓練終了後、身だしなみを整え夕食を共にします。年嵩の騎士様は夕食後すぐに夜勤があるそうで、お仕着せを纏っています。双子騎士様たちと私は休みとなるので、騎士服のまま食事中
「好みですか……、好きになった人が好みですかね?」
「やだ~、無難~。現実じゃなくて虚構の話よ~」
「そうそう、現実の騎士様なんていまいち萌えないし~、虚構だから萌えるのよ~」
双子騎士様たちは、お父上と弟君が騎士なのだそうです
「現実の話をしたら、私たち何も言えないのよね~」
「彼氏募集中だけど~、護衛騎士やっていたら、出会いが無い~全然まったく~」
「そうそう~、侍女ならまだましかなぁ~」
「うんうん、お母様も侍女なのよ~。侍女の血より騎士の血の方が勝っちゃったワケ~」
色々あるんですねぇ、とまたもや無難な受け答えをしながらロールキャベツを食す。すると食堂が少しざわつきだしたので、そちらに目を向けてみると、なんと宰相閣下と宰相補佐官様がいらっしゃっていた。宰相閣下が来るなんて珍しいなぁ……なんて思っていると、宰相補佐官様が私に気付きこちらへ来てくれた……ちょっと赤くなりつつドキドキしてしまう私、う~ん現実
「見習いと双子姉さんたちではないか。……あぁ、護衛騎士だからか。姉さんたち、あまり見習いをいじめるなよ」
「3つ子兄じゃない、見習いちゃんをいじめてなんかいませんよ~だ」
「そうよ~、私たち仲間だも~ん」
お知り合いの様です。宰相閣下の気まぐれで食堂へ来たという宰相補佐官様、宰相閣下をほったらかしにしていいのでしょうか?注文の仕方がわからないようで、ウロウロしながらこちらをチラチラ見ています。年嵩の騎士様は時間らしく立ち上がり、宰相補佐官様に席を譲りました……私の隣ですね。礼を言って着席する宰相補佐官様、私の頭を撫でてから双子騎士様たちと向かい合います
そしてウロウロする宰相閣下、近くの人教えてあげてください
「どうです、見習いの様子は」
「まだまだね~」
「でも、体さばきは良くなったわ~。素早さで攪乱できるから、もう一押しって感じ~」
双子騎士様たちは褒めて下さったけど、周りがハイスペックすぎて実力がいまいち把握できなかったりする。少しは上達していると思いたい。護衛騎士は王族の盾、倒すことよりも守ることを優先させなければいけないのはわかっているけど
「補佐官!!お前、俺の補佐官なのにほっぽらかしておくなよ。寂しいだろうがっ!!」
とうとうしびれを切らした宰相閣下も乱入してきたのだった。




