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10逢引は両親と共に

「高度なプレイをしているのね」

「していません」


夜、私と侍女様、宰相補佐官様と弟君はまたもや4人で食事中


「取りあえず兄上と休日に出かけてみたら?ちょっと豪華なところで食事してとか定番だと思うな」

「定番の割には私は誘われた事ないわね」


弟君はそう提案してくれますが、すかさず侍女様は拗ねます。お2人は幼馴染のようなものなので、豪華なところで食事ではなく弟君のご実家で食事がほとんどだったそうですよ。だって寮母閣下(練兵訓練隊長閣下の事)のご飯美味しいんだもの……とは侍女様のお言葉


「ついでに弟を喰って帰るという、まるで母上のような女なのだ」

「俺、『ついで』だったんだ……」

「デザートよ」


私はロールキャベツを食べながら、お三方を観察します。仲の良い幼馴染たち、宰相補佐官様は弟君と侍女様がお付き合いするのをどう思っていたのでしょうか……、三角関係とか定番ですが萌えますね。ちょっと心が痛いですけど、昔の事なのですからしかたありません……って、宰相補佐官様が侍女様を好きだったと決めつけているな、私


「出かけるか。しかしあまり外で食事をしたことがなかったからな……、店に詳しくない。見習いはどこか行ってみたい店はあるか?連れて行ってやるぞ?」

「え、私ですか?」

「お前以外に誰がいる」

「おぉう、そうですね」


馬鹿みたいな返しをしてしまった。しかし私は貧乏子爵家出身、そのようなお店思い浮かびません。困った時の侍女様頼み、助けを求めて見つめると、呆れたような顔で笑われてしまいました


「兄上様、他力本願は駄目ですよ、自分で調べて計画されてこそデートと言うものでしょう」

「そうだろうか、押し付けるよりも行きたいところに連れて行ってやる方が、楽しいのではないか?」

「まぁ、人に寄りますけどねぇ。この子は思い浮かばないようですから、どこでもいいんじゃないですか。…………あ」


良いことを思いついたと侍女様、ニヤリと笑って


「お屋敷にお招きしたら?……『ついで』に喰っちゃえばいいんじゃない?」

「デザートか」

「待ってください、友達以上恋人未満!友達以上恋人未満!早すぎますよ!!」


ちょっと油断するとすぐ下ネタの方にいきますね、いや油断しなくてもそうでしたけど






「で、オススメはないかと王宮の外へ出歩くことのない、第2王女である私に聞くのだな」

「そ、そうですね……申し訳ありません。親しい同僚が侍女様しかいないもので、つい」

「うむ。先日宰相とお忍びで行った店はなかなか美味かったぞ」

「出歩いている!!」





という訳で王女殿下オススメのお店に行き、食事です。美味しいうえに値段も手ごろという事で、すごく混んでいました。宰相補佐官様は事前に宰相閣下から聞いていたらしく、なんと予約をしてくれていたのです。店員さんに案内されリザーブ席へ、少し奥まっているゆったりとしたスペース、隣にはどこかで見たような紳士淑女……。あ


「お父様にお母様……何故に外食なんてかましているんですかね」

「た、たまには妻孝行をしないとな」

「嘘です、結婚記念日を忘れていたので、罰として小遣いを没収しました」


しょうがないですね、親子の会話で忘れていましたが私には連れが居たんでした……あ、ヤバい


「……どちらさまでしょうか?」

「ご挨拶が遅れてしまって申し訳ありません、ご令嬢の同僚であります。本日はお礼に食事に誘ったところ同意を得ての来店です。もしよろしければ同席しても構いませんでしょうか?」

「はぁ……」


父親は怒涛の勢いで話す宰相補佐官様に圧倒され、同席を許す。店員に頼んでテーブルをくっつけてもらい、『私の家族』対『宰相補佐官様』の闘いが始まる(言い過ぎだ)


宰相補佐官様はそのデカい手に鉈……ではなくナイフを持ち、鮮やかな手つきで肉を切り私たちに取り分けてくれた。ソースはお好みでどうぞと、気の利く男アピールだ。実際気の利く人なんですけどね。それを見るにつけ父親の残念加減が透けて見えてしまう、わかっていますよ体格がデカすぎると視線が語っています。舐めるように上から下、下から上へと視線が動く……見定めています状態、そういう事はわからない様にやってくださいよ、一応貴族なんだから


「同僚と言っていたようですが……、騎士様なのですか?」

「いいえ、しがない文官の末席を賜っています」


嘘吐け、宰相府のエリートではないですか。実家だってうちと家格は一緒の子爵ですが、将軍を2人も輩出している名門。……そう考えると、私がお付き合いできるような人ではないのかもしれませんね。なんだかしょんぼりしてしまいました、元気なくもそもそと肉を食べる私に気付いた宰相補佐官様は、そっとマッシュポテトを皿の上に乗せてくれた


「家格を伺っても?」

「私自身は子爵位を賜っています、家は伯爵位を……」

「「「え?はくしゃく?」」」


見事に私たち家族の声はそろった。子爵家ではなかったのですかと尋ねたところ、つい先日お祖父様が伯爵位を賜ったそうです。というか元々賜るはずが、蹴っていたものを改めて賜ったそうで……


「家を継ぐのかはまだ決まっておりません。伯爵位以上ならば姉にも継承権がありますので……元々持っていた子爵位はご存知のように男しか継ぐことが出来ませんので、私が賜ったのです」

「い、いつのまに」

「昨日だ。国家に貢献している家が未だ子爵位なのが、他に示しがつかないというらしい。元々お祖父様が周りのやっかみにキレて伯爵位を蹴っていたからな」


この方はさらに遠くなってしまった。そう考えた時、びっくりするほど目から涙が出てきた、近年まれにみるほどボロボロと。両親はびっくりして目を見開き、宰相補佐官様は私を優しく抱きしめてくれた


マスタード(からし)がそんなに効いたのか……、マッシュポテトでは中和できなかったのだな」

「違いますよ!!」


心読めるくせに(正しくは違うけど)何故こんな時に読まないんですか!!


私はみっともなく、ビエーと泣いた。宰相補佐官様は私を膝の上に抱え、抱きしめる。背中をポンポンと叩いてくれたけど、その優しさに余計に泣いた。そして父はアワアワしながら甘くて冷たいクリームを注文してくれて、これで冷やしなさいと言ってくれた。的外れだけど、嬉しくてまた泣いてしまって宰相補佐官様に食べさせてもらったりして。

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