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第3章1

星火(シンフォ)は見つけるのがうまいのう」

「うん!」

 元気よく答える。

 すでに季節は秋。

 森にはたくさんのきのこやら木の実やらであふれている。

 星火の持つ籠の中も、あっという間にそういったものであふれかえった。

 こういった森の恵みを見つけることは、きつねだったころに得意だったことだ。

 それがまさかこんなところで役立つとは思っても見なかったかれど、こうしておばあとおじいに喜んでもらえることが、何よりも嬉しい。

 ふと、遠くで鳴くきつねの声が聞こえた。

 星火は顔を上げて耳を澄ます。

 きつねからひとになってから、まだ1年も経っていない。けれど、とても懐かしい気がした。

 鳴いているのはもしかしたら、かつての自分の仲間かもしれない。そう思うと余計に胸がいっぱいになった。

「星火はきつねがすきか」

「うん」

 おばあの問いに元気よく答える。

「おばあとおじいは、きつねはすき?」

 星火の問いに、二人は顔を見合わせて、困ったように笑った。

「そうさのう……。どうじゃろうなあ」

「きらい?」

「そうさ…のう……」

 老婆は星火の身体を招き寄せ、ぎゅっと抱きしめる。

「おばあ?」

「星火のことはすきじゃよう」

「泣いてるの?」

 星火は老婆の顔を覗き込む。

 おばあの優しい瞳からは涙がこぼれていた。

「悲しいの? 何が悲しいの?」

 おばあは何も答えずに、ただぎゅっと星火を抱きしめた。

 星火はなぜおばあが突然涙を流したのか理解できず、小さな手でおばあの涙をぬぐった。

 そうして、ぎゅっとおばあを抱き返した。

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