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『まもの使い』、ゴッドハンドを志す~限界女医、異世界に召喚されたら何をする?~  作者: wag


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「おーい!妖精王、いませんかー!」


「出てきやがれ、

 この性悪妖精の親玉-!」


原っぱのど真ん中で、キラーヤとルカリアは叫んだ。


探すのが面倒だし、周りにこれだけ妖精がいるのだ、誰かそれなりに連絡を付けるだろう。



「人質を取るなんて、なんて悪どいの・・・!」


縛られたままの妖精はぶつぶつ悪態をついている。



「悪いわねえ、こちとら被害者なもんで」


悪い笑顔で呼びかけ続けるキラーヤに、ルカリアが問いかけた。


「そういや、さっきのあれは何だ?」


「スキルに『捕獲』と『捕縛』ってのがあったのよ。

 なんか起動動作の設定とかがあったから、

 手順通りやってみたら発動したって訳。

 

 でも強度とか持続時間とか、詳細はわかんないわ」


「お前、それ初動で成功させたのか?!

 やっぱ度胸あるよなあ・・・」


腕を組んで天を仰ぐルカリア。


しばらく呼びかけ続けると、


周りでふわふわハラハラしていた草花の妖精たちが急に地に伏した。


「お?」


さわさわと風が吹き、草原が鳴く。


「なんだあれ?」


ルカリアの声のほうを見ると一筋、何かを引きずったように不自然に草が倒れている。その筋は徐々にこちらへ近づいてきて、間近で止まった。


そしてふわりと、掌大の大きな綿毛がどこからか飛んできて、キラーヤの目の前に滞空している。


『うちの子がごめんなさい』


「おっ、もしかしてあなたは」


『あなたが呼んでいた存在よ』


「おお、妖精王!」


『人間はそう呼ぶわね、

 実際は王っていう感じでもないんだけど』


「でも会えて良かった。

 で、本題なんだけど、

 このいたずらっ子どうにかしてくれる?」


「ご、ごめんなさあい・・・!」


スズランの妖精は先ほどの演技とは違い、真に迫った様子で謝罪している。


『スズラン、やりすぎたわね』


「ごめんなさあい・・・!」


『その人間の言うことはもっともよ、

 過ぎた悪戯は嫌がらせになるわ』


「はい・・・」


『そうなったら妖精みんなが嫌われちゃうわよ』


「はい、すみません」


『以降慎むように』


「はい・・・ねえ、人間に話しかけるのは駄目・・・?

 遊んで欲しいの」


『どう?人間さん』


「そうねえ、話しをするのは嫌じゃないよ。

 道案内とかしてくれたり、

 その先で何かトラブルが起きたら、

 教えてくれるとなお嬉しい」


『だってさ』


「や、やってみる。

 だからまた、遊んでほしい・・・」


『ごめんね、妖精はさみしがり屋なの。

 ちょっと構ってあげて貰えると嬉しいわ。

 私からも迷惑なことはしないように伝えるから』


「元締めがキッチリ締めてくれるなら、

 こちらとしては問題ないわ」


「な、なあ、妖精王」


ルカリアが口を挟む。


「こいつ、『まもの使い』なんだ」


『知っているわ』


「あんた、以前のまもの使いを知ってるか?」


『ええ、知っているわよ』


「以前そいつの仲間だった?」


『・・・ええ、仲間、という関係かは分からないけど』


「今、こいつは仲間を増やす旅をしてるんだ。

 目的は人間と魔物の間の傷つけ合いを防ぐため。

 なぁ、力を貸してくれないか?

 仲間になって欲しいんだ」



ルカリアが恐る恐る聞いている。

頼もしくて何よりだが、

これ妖精王が「舐めんな小童がー!」とか切れだしたらどうすんのよ?



『まもの使いの仲間に?

 ・・・ああ、その手があったのね!』


「ん?手?」


『実は私、ちょっと色々あって今弱体化しているの。

 この姿でしかご挨拶できないのも不本意なのよ。

 でも、まもの使いの魔力を貰えば回復できるかも』


「そういうものなの?

 私実はまもの使いビギナーで、よく分かってないの」


『そういうものなのよ!

 ねえ、今後ゆっくりでいいから、

 私の実体に会いに来てくれない?

 このままじゃ仲間にもなれないわ』


「いいけど、どこにいるの?」


『どこかに封印されてる!』


「どこかって、どこ?」


『わからない!私も探してるのよ。

 ちょっと喧嘩に負けちゃって、

 気を失ってる間に実体だけ封印されちゃってね』


「は・・・はぁ、それは難儀な・・・」


『だから、またゆっくりでいいから。

 考えてみてね』


じゃ、と言って、綿毛はぽんと音を残して消えた。


「え、今クエスト増えた?」


「妖精王探し、か・・・何か大変そうだな」


「後回しにしていい・・・?」


「い、いいんじゃねえか・・・?」




スズランの妖精を解放し、


「もうオイタすんじゃないわよ」


と念を押して歩き始めた二人の背中で、再度綿毛が揺れていた。



『まもの使い、か。

 今度の子はいったいどんな子なのかしら。


 ・・・ついて行っちゃおっと』



またぽん、と綿毛は消えたが、

草は二人の背を追うように波を打った。








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