≪おさけをのもうよ≫
≪おさけをのもうよ≫
「兵っ!(※ヘイ!) 肝パ~~イっ!!」「かんぱーい」
いまは夜だが、ピケといっしょに食堂で話している。
食堂は兵舎に併設された施設で、たくさんのテーブルとイスがならんだ広間だ。料理を提供しているカウンターがあって、じぶんで注文しにいき代金をはらって料理を受け取ってくる。
兵士はだいたいここで食事をしている。もちろん外や自分の部屋で食べてもいい。が、街中の店とくらべたら近いしまあ安いので、大体のやつはここで食べるんじゃないだろうか。とくに入隊したばかりのやつは。
そして夜間に任務のある兵士もいるので食堂は24時間開放されている。さすがに深夜は料理を提供したりはしていないが。売店があるので買ったものを食べたりはできる。パンとか。
まあ、今はそこまでおそい時間ではないので、まだやっているな。21時すぎか。まあまあ人もいる。
「夜なのに、げんきだなあ。ピケは」
「ヤヤっ! バスターくん。はね。もう。ねむい脳かな? これからデハ内科!
ってことデ。お仮死をっ。チョウチョっと。味診(※あじみ)してくれるかー? 今日、ボクがえーせー部隊でつくったんだよお。
これ。はね。お酒にあうようにつくったからだー・だからー。お酒とたべるとさらにたのしくなるはずやー!
デハ。コレヨリ。シショクをカイシすル!!」
「(かわいいな。ぴけは)」
そして、俺たちは。飲んでいる。
──お酒を。だ。
「(だいじょうぶかな? さいきんのんでないけど…)」
じつは。
ノルエアには。
──飲酒の年齢制限がない。
つまり。こどもでも、あかごでものめるのだ。酒が。
よっぱらうのだ。だれでも。
俺も16さいだけど、のんでいる。いま。のんでいる。ふつうに。ピケはまだ15さいだ。誕生日まだだから。
でも、のんでいる。ふつうに。しかも俺よりもおおく。
飲酒のねんれい制限はない。
こういうものなのだ。らしい。もう、昔から。
ノルエア国民たちの民度がやばいくらい高く、国の決まりでとりきめなくても大丈夫だろう。いわずとも各自で判断できるだろう、と厚く信頼されている。のかな。くわしくはしらないけど。
そんななので。
酒をのめるのがおとなかとかこどもかには、関連しない。ノルエアでは。なにせめちゃくちゃちいさいこどもでものめるのだから、な。そして「やっちゃいけないこと」じゃないからな。
この国は、そういうくになのだ。
まあ。各自で用法容量をまもる。ちゃんとしてるおやなら、ちいさいこどもにはのまさない。というのが、だいたいの国民の。とらえかた、みたいなのかな。
やっぱり、酔っぱらうと意識がもうろうとして人にからんだり、あぶないところに転落したり、馬車にひかれそうになったりなどの、危険なことはあるかもしれないからな。
だいたいの家ではこどもの手の届くところにはおかないし、のまさないだろう。だいたいのひとは。でもこどもがかってにのんだりすることはある。俺もちいさい頃のんだことある。怒られたけどな。
そういうの気にしない、こどものころから飲んでいいよって親もいるだろうけれど。異常はない。国の決まりでのんでいいことになってるからな。
◇
なのでいまの俺も、たまにのむ。
もう16さいだし。べつだん問題のある年齢じゃないだろう。このくらいになるとも飲むやつもけっこういる。なんならかよっていた兵士学校でものんでるやつはわりといた。
まあ、このくらいが、親とか厳しいやつも大体解禁する年齢なんじゃないかな? といっても兵士学校も寮だったから、親のいいつけもじっさい関係なかったりするけれど……。
「すごいな、ピケは。これならいけるんじゃないか」
「まあっ。いけるかな~~っ? お城のウラの森でとったやくそうとか木の実とか。もね。いれてみたんだけどお。
ボクはみんな元気になるお仮死がつくりたいやー。〝たいオう〟みたいな・ねっ! 早薬(※はやく)みんなに食べてほし胃ナ~~っ!!」
ピケのつくったお菓子はおいしいのでめずらしく俺もけっこう飲んでいる。なにがはいってるのかはよくわからないが。
衛生部隊は自分の開発したメニューを食堂でだせるようなのだが、それには上のひと…まあ、おそらく隊長とかの審査をとおらないといけないらしく、ピケはこうして味見させてくれる。
「(そろそろやめといたほうがいいか? ……う─ん)」
俺は酒は……。つよくはない。そんなすきってわけでもないんだけど。まわりがのんでると、じゃあのむか。くらいの。しょうじきそこまで感情はない。
で、ピケものむ。そして、意外と、強い。こいつは。
あんまよっぱらわない。というかぜんぜん意識を保っている。というか意識が混濁したのを見たことない。すごいなとおもう。〝やばいくらいちいさい〟なのに。
そしてテンションはいつもたかいので普段とあまり変わらない。飲んでも。かわらない なにも。つねに酒を飲んでる状態と変わらないって、すこしおそろしいが。
(『酒を飲むと人格が変わる』ときくけど……。どうなのだろう? 俺はわからない。自覚はない。…まあ、つよくないので、あまり飲まないようにしているけれど)
そしてピケはじょーほーしゅーしゅーがシュミでさまざまなウワサにくわしいので、すこし気になることをはなすとなにかしらの関連じょーほーがかえってくる。なので。ずっとはなしている。いまも。
「──…そー・サ。胴にも。ナントっ! ね。王女サマのためだ・からだー! って、ウワサが。あるよーダ。いヤ~いっ! カラフルだー。
だーからだからっ! バスターくんも空イロ・そのイロ・しっかりキるやー!」
「うーん……、ぴけ。もうやめておけよ。そのくらいで、な。ん─……。……ていうか、おまえのほうが。しっかり着てな──」
「ボク。はね。まあまだいけるっ! まあまあまだー。あまいっ!
バスターくんのほーが酔ってるやー。薬ッパリ。おくすりいりゅーじょん。ダ」
まあ。たしかに。そしておくすりはいらん。だ。けんこうだからな、俺は。
酒は、すきらしい。ピケは。料理つくるのがすきなので、それにつかったりもするからな。すきなものがとくいっていうのはいいな。
なんか、あまいのとかがすきだな。くだものとかの。こいつっぽいとおもう。
(ぴけはちいさいので色々しんぱいだけど。これだけ意識がしっかりしてるなら─。いや、でも心配だな………、うーん)
──でも。
タイケは のまない。
タイケは 酒がきらい。
それもかなりだ。だいきらい。ほんとうにきらい。のんだのみたことない。
(……。ちょっと意外なんだよな)
無気力なかんじで、よくだるそうにしているんだけど。
こんないいかたはあれだが、なんならちょっとすきそうにみえる雰囲気すら、あるんだけれど。
「なんか、すきじゃない」らしい。「よくわからない」ともいっていた……いや。『よくわかりたくない』だったか。
(なんか、ちゃんとしてるのかそうじゃないのか、よくわからないよな)
いや。ちゃんとしてるか、近衛兵になれるくらい成績が優秀だし。…でも、やっぱりちょっとマイペースだからなあ。
俺もいやだというやつにはのましたくないし、まあ。ふうんってかんじだが。
なので、今みたいに酒を飲むときにはタイケは誘わないし、あいつとふたりのときは俺ものまない。俺もべつに好きってわけではないし。
たまに。もってきたりするけど、タイケは。俺に。自分は飲まないけど。なんなんだ。
◇
まあ、だけど。
正直、あそこまでのまない。酒きらってるやつはちょっとめずらしい。くらいになっているな。ノルエアでは。
でも、のまないならそれにこしたことはないか。と俺は思う。やっぱり事件とかもあるし。街で暴れるやつとかもいる。俺はパトロール警備隊だからそういうのもよくみるわけだが。いきなりつかみかかられたりもするし。
やはりほどほどでやめといたほうがいいだろう、よわいやつはな。……そう、……。
「──。ヤッ。薬バイっ!(※やばいっ!)
バスターくん。はね。もーやめといたほーがいいやー。イシキが心肺だー。キョーはカイサンにし・ナイト・だー。
ショチをカイシすル! お部屋までドーコーするたいおーだー!」
「なにいってるんだ。ぴけ。ぴけにしんぱいされるようなことあってはならないだろう、俺は。おまえって ほんとうに──……」
……まあ。昔からそういう国らしいので、しかたないのである。
タイケには酒はさけてもらおう。
さけだけに・な。
「(…………)」
「…………」
◇
(これは あぶない だな。
うーん。あぶない)
(酒は いらない。おれはな。
とくいじゃないからな。すききらいのほうでだ)
(………ていうかきらいだ。
だいきらいだ。よくわからない。
よくわかりたくない)
(べつに。
まわりにめいわくかけないならな。すきにしたらいいが。
きらいなやつにきょうせいとかしないならいいが。すきにしろよっておもうが。
……。………)
(ばすたーがよってるのはちょっとかわいい。からだー・だからだー。これは・ぴけの・まねだ)
────≪おさけをのもうよ≫おしまい────
※この作品は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。




