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ノルエアおとぎ王国記  作者: な(考え中)
【せかいのしょうかい】

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≪ぶきをつかおう≫

≪ぶきをつかおう≫


 ここはノルエア王国の城下町──にある武器屋。

 今日は休みなので、タイケとふたりでここにきている。

 兵士はふだんノルエア城の敷地にある兵舎で寝食しているが、任務がおわった後や休日は自由に行動していいことになっているのだ。


「いろいろあるな」

「…………」


 はじめてきた武器屋だが、さまざまな武器が豊富にとりそろえてある。

 タイケは、武器がすきだ。武器を見ているときのタイケはいつもよりほんのすこしだけ目に光がさしてようにみえる。いつもより。若干な。生気を感じる。若干だ。


「(銃はあるかな)」


 俺の所属している『パトロール警備隊』の使用武器は「銃」となっている。ながいやつ。長銃だ。

 所属部隊をパトロール警備隊にした理由はまあ、いろいろあるんだけれど。いや……いろいろ、まあ。なんとなくでもあるのだけど。

「武器が銃だったから」というのも、ある。銃がすきだ。俺は。かっこいいなっておもう。城下町の巡回にはたまに剣を携行することもあるが、だいたい銃だけだ。


「(あ。ケンジュウがあるな)」


 銃の種類のひとつに『ケンジュウ』というのがある。片手でもてる、小型の銃だ。

 これをつかう部隊はないが、俺は銃がすきなのでこのちいさいのもかっこいいよなとおもって、ちょっといいなとおもっている。よく。

 さらにこれを二丁もつ『二丁拳銃』ていうのが、いい。うーん、かっこいい。


(まあ。〝ホンモノ〟はつかう機会なんてないんだけども。………、…ん?)


 ふとタイケの方をみたら、タイケがよくみていた。俺を。

 武器ではなく。なぜか。

 武器をよくみたほうがいいとおもうのだが……。


「タイケ。なんかいいのあったか」

「…………」


 タイケはわずかに首をふっているようにみえるが、なにを考えてるかはよくわからない。なにせとても無口で無表情なやつなのだから……。

 今日ここにきたのは、かれの武器をさがすためだ。

 任務をおこなうためにひつような武器はもちろん国から支給される。が、タイケはあまりにも──〝やばいくらいつよい〟なので、人形あいての訓練などしていてすぐこわれたりこわしたりしてしまうらしい。

 なので、なにかいいのがないかということで、今日は見にきたのだが……。


(……。でも、こいつについてこれる武器ってあるんだろうか?)


 タイケは武器はなんでもつかえる。剣、やり、斧、弓……なんでもよくできるし、めちゃくちゃつよい。なので兵士になるために入るノルエア兵士学校での戦闘訓練の成績もすごくよかった。タイケは近衛兵部隊で、ノルエアの近衛兵の使用武器は「やり」なので、今はやりをよくもっているが。


(すきなものがとくいっていいよな。タイケは〝武器がすき〟っていうのがよくつたわってくるし。

 まさに『武器を意のままにあやつってる』ってかんじがするな。タイケのたたかいかたは)


 ただ。銃はちょっと苦手らしい。いちおうつかえるけれど。

 対人の戦闘訓練で銃を使用することはないので成績にはそこまで影響しなかったのだろう。まあ、ひととの戦闘訓練で銃つかったら、あぶない。というか、しぬからな。ふつうに。それとは別に狙撃の授業はあったけれど。


(……でも。素手でたたかうほうがいいんじゃないか。できたら。

 なんだかんだいって武器つかわないのが一番つよいっぽいからなあ。タイケは。格闘、体術。みたいな。あんなにいろいろつかえるのに)


 武器をつかっている時もそうだが特に素手でたたかっているときのタイケはほんとうににんげんとはおもえない動きをよくしており、一体なにがどうなっているんだとおもうくらいである。

 でも。近衛兵はエリートということもあり全体的に『品がある』っていうような雰囲気なので、格闘でたたかうやつがいたらさすがにめだつだろう。だめだろうな。それは。


(タイケも雰囲気じたいは『品がある』ってかんじをしていて近衛兵部隊にあってるかんじだ。

 育ちはふつうに庶民の家だといっていたけど。貴族っていわれてもべつにおどろかないな。そんなくらいの、上品な感じがある。どことなく。

 ……。なにもしなかったら、だけど。にんげんとはおもえない動きをよくしなかったら、だけど)


 止まっている時と動いている時──ふだんの様子とたたかってるときの様子がだいぶちがうような気がするな。タイケは。

 どっちがほんとうのかれなのだろうか。



(まあ。どっちもタイケだからべつにいいんだけどな)



 ◇


 ところで。

 ノルエアには、武器屋が多い。



 ──というか おおすぎる。

 やばいくらい おおいのだ。武器屋が。

 パン屋くらいある。パンはノルエア国民の主食なのでパン屋もよくある。だから〝ちょっといきたいな〟っておもったときにすぐいける。ってくらいある。武器屋も。

 なので、今日もきたことない武器屋に来てみた。俺は買うわけじゃないけど、いろいろみてるのはたのしい。やっぱりかっこいいしな、銃は。



 そして。今日、買うわけじゃない。のだが。

 ──ノルエアの武器は 安い。

 それも、やばいくらい。破格だ。今見てる店でもふつうに買えそうなものはたくさんある。かわないが。

 それはもう、こどもがはじめてもらったおこづかいでかえるようなものまである。安売りとかもよくしている。よくだ。店先でたたき売りをよくしている。よく。武器のだ。

 だから“ちょっとほしいな”っておもったら、すぐ買えるな。


 まあ。護身用ってやつなのかな。

 もちろん国の決まりなどで規制されてもいない。だれでももてるし、どれだけ沢山もっててもいい。つかまらない。俺もつかまえない。パトロール警備隊だけど。こどもがめちゃくちゃ武器もってあるいてても、つかまえない。

 そういうくにだからな。あ。もちろん武器でひとを傷つけたりころしたりするのは犯罪だ。それは、つかまえる。ちゃんと。なにも異常はないな。



 ◇


 武器屋の窓からは夕暮れの空が見える。

 でてきた時間がおそかったので、そろそろ日が落ちそうだ。懐中時計をとりだしてみると時刻は17時になろうとしていた。


「(ピケはどうしているかな)」


 ちなみに今、ピケはいない。

 俺たちは3人で行動することおおいけど、というか休みの日はだいたいそうしてるが。

 武器屋にいくときはピケはさそわない。一応これから武器屋いくんだけど、と声をかけるが、えんりょする。あいつは。



 あいつは──ピケは 武器がにがて だからだ。



 それも、かなり。そうとう。

 ていうか、だめ。うけつけない、といったかんじだ。

 できたら『みたくない』らしい。

 兵士学校でも武器をつかった戦闘訓練はぜんぜんダメだったのだが、それが理由のようだった。


 (よく兵士になれたとおもうくらい、戦闘訓練はできなかったからな。正直)


 俺も銃がすきなのは「かっこいいから」なので、できたらつかいたくない──というか、そんな機会ないほうがいいに決まってるから、わからないでもないけど。

 ただ、ノルエアのほとんどの人にとって武器は生まれたときからごく身近な存在となっているので、そんなふうに拒否反応示すやつの方がめずらしくはあるのだが。

 ……まあ。武器のいい悪い、っていうのはむずかしいな、とおもう。タイケみたいにすきなやつもいるし、人やじぶんをまもれることもあるからな。

 でも。俺は、あいつには……ピケには、武器はつかってほしくない。ってかんじるな。なんとなく。


(……。武器が苦手なら兵士にはならないほうがよかったんじゃないか? と、おもうんだけど。正直。

 衛生部隊ではつかわなくてよくても兵舎のいたるところに置いてあるしなあ。武器は。いやでも目にはいるだろう。

 いろいろできるんだけど、あえて兵士になるのをえらんだ理由があるのだろうか? ピケは。……)



 ◇


 けっきょく、武器屋であたらしい武器は買わなかった。

 いろいろみたけど、いいのはなかったらしい。まあ、これだけたくさん武器屋があればそのうちタイケにあった、気に入るやりもみつかるんじゃないだろうか。

 店から出ると、もう外は暗くなってきていた。よぞらの色になってきている。空が。ノルエアの城下町が。


「もどって食堂いくか。ピケがまってるかもしれないし」

「…ああ」


(やっとしゃべったな)


 しゃべったというかなんか低くうなったみたいな音なのだが。タイケはいつもこんなかんじである。これでも出会った当初と比べたらだいぶましになったほうだったりする。

 まあ、俺もひとと話すのがすきってわけでもないし(解説やせつめいはすきだが)はなさなくてもべつに気にならない。無言でもおちつくって気を遣わなくていいなっておもう。おちつくな、タイケといるのは。


(……。タイケとは毎日いっしょに夕食を食べている。兵士学校で出会って以来、欠かしたことがない。一日も)


 ピケは勉強していたりどこかいっていたりと自由にしていて一緒ではないことも時々あるけれど(あぶないとおもうので、できたらいっしょに食べるようにしてほしいのだが)

 タイケとは、まあ、なんか毎日そうなっているな。気がついたら。自然と。とくに約束したりして決めてるわけじゃないんだけど。



(…………。まあ。はやく帰ろう。ピケがまってるからな)



 ◇


「………………」


(………………)



(きょうは バスターと『でーと』した)



 すきなひとといっしょにでかけるとそういうらしい。ならば『でーと』だろう。これは。いっしょに武器をみただけだが。たのしかった。


(…。つきあったりしてないけど。まだ)


(「まだ」な)



 銃をみているときのバスターは空色の目がかがやいていて、かわいいっておもう。うーん。


(あぶない)



(【あぶない!】したいなー)



(……。おれは銃はとくいじゃないけど。……)


 武器はすきだ。あぶないが。ちゃんとつかえばあぶなくない。



(…………。こわれるのはくんれんようの人形のほう。だから、もっとよわい武器をさがしにきたんだが。さびてる、とか。……だが。売ってないか、そんなのは)




 バスターといっしょに夕飯を食べるのは絶対にかかさない。

 会ってから一度もかかしていない。

 さい・ゆう・せんだ。

 おれがそばにいてまもらないとあぶないからな。

 バスターは。





 おれがまもらないと ねらわれるかもしれないからな。





 あぶないやつに。な。





        ────≪ぶきをつかおう≫おしまい────

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