第1章・プロローグ
第1章・プロローグ
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『(・・・・・・・。はあ)』
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ノルエア兵士学校をそつぎょうして、ついにノルエア王国兵士隊に入隊した。
4がつになって、王都の兵士としての任務がはじまったけれど。
ぼくが入隊したのは『パトロール警備隊』なんだけど。
「………………」
このくにのパトロールするんだったら、そりゃそうだよな。
すっかりわすれていた……。
(まいにち『したい』みるなんて しょうじき きつすぎる)
これじゃあ………
(〝かわいいもの〟でもみないとやってられないな)
「(かわいいものといえばおにんぎょうさんだ髪色はぜったいに黒めずらしいしかわいいからね髪もみじかいほうで髪質はかたくてツンツンしていて目は青っぽい色がいいなちょっといやかなり目つきがわるくてふつうにしててもわるいやつとまちがわれそうなくらい目つきがわるくてかわいいからねおとこっぽいんだけどりぼんとかれーすのついたふわふわのかわいいどれすとかきてるおにんぎょうさんおんなとかおんなっぽいのがどれすとかきるのはふつうだからおとこっぽいのがきるのがいいかわいいからねそんなおにんぎょうがないとね)」
「………………」
あんまりきにしてないのかな? かれは。
あの、黒い髪の。青っぽい色の目の。
「(なんか。……。淡々としてるよな。
ほかの同期とか、裏では泣いたり、もういやだってさけんでる兵士いるけど。
動じてないっていうか。………)」
なんか──〝サイコ〟ってやつなのかな?
(まあそこがかわいいんだけどー……)
感情がうすそうな そう……
──『お人形さん』みたいだな。
(やっぱり そうなんだ)
せっかくおなじ部隊。それもおなじ小隊にもなれたんだし。
そろそろ、はなしかけたりしてもいいかな?
(ずっと みてたからね)
そう
なってほしい
したい
じゃなくて。
にんぎょうに、ね。
したい。
───黒い髪に 水色の目の おにんぎょうに、ね。
(だってそのくらいないと やってられないからな。
こんな壊れた───)
【異常なセカイ】さ。
◇ ────────────────────── ◇
ノルエアのどこかには『ふしぎな泉』があるという。
で、ノルエア王国はおおむかし、ある神秘的なそんざい──まあ、いわゆるカミサマか──が、ひとりのにんげんといっしょにその泉に〝とびこんだ〟ことによって生まれた。らしい。
なにがあったのか。
なぜそんなことをしたのかなどくわしいことは わからない。よく。
なぜなら なんか───
じぶんの名前だとか。姿だとか、したことだとか。そういうのなにもかも。
すべて 隠してしまったのだとか。
そのカミサマは。
相手のにんげんのものも。名前。すがた。せいべつ。生まれ。
どのようなじんぶつで、なにをしていたのかも。
隠してしまったと。
泉にうつったおおきな満月のなかに。
そうしてさいごにはともに泉の底へしずんでいき、その泉のあった場所に初期のノルエアがうまれたという───。
◇
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以上はノルエア王国のおこりにかかわっているとされる伝説───
【《ノルエアのおとぎばなし》】の内容である。
これはゆうめいなおはなしだ。この国に生まれたならだいたいのやつはちいさい頃に一度はふれることになるんじゃないだろうか。としょかんや教会学校などにもよくならんでいる。絵…本が。
国のおこりの伝説にカミサマがかかわっているならそれをしんこうする国になりそうなのだが、きまった名前や姿がないとのことなのでしんこうしようがないのである。
で、このカミサマにかってに名前や姿やオハナシを付加するのがだいたいの新興宗教のセオリーなのだが内容自体がこんなだからかあまり流行らない。名前も姿もかくしたといってるのにあるのはおかしいんじゃないかとか、名前をつけた時点で矛盾してしまうってかんじなのだろうか。
(最近はなんか流行っている宗教もあるようだけど…。俺はよくわからない。興味がないからだ)
このはなしにでてくる「カミサマ」が王家のしんじている≪ゆいいつ主・しんせー神〈+のるのる+〉≫と関係あるのかも、よくわからない(おしえてもらえないからだ。なにも)
……。このおとぎばなしをきいて〝「自分のかんがえた神」をこころのなかでそうぞうする〟みたいなやつも、もしかしたら。いる、かもしれない・が。………。
とにかく。そんなわけで「カミサマ」に関してはふわっとした国となっているのである。ノルエアは。
人それぞれだけど……。このおとぎばなしの影響で「かみさまはいない」っておもってるやつがおおいんじゃないだろうか。俺は『神秘的なもの』がおおよそとくいではないのでそういうはなしも人とよくしないから、よくわからないけど。
(まあ。この≪ノルエアのおとぎばなし≫はおいておくとしても、いないからな。かみさまは)
ただ。なんかむかしからあって だいたいみんなしっている。
そんなおはなし。
なにがあったのかおおくは語られていないのでどう受け取るかはひとによってちがうのかな、とおもうが。まあ、みじかすぎるから当たり前か。
──というか俺自身が、ちいさいころこの話を知ったとき、おもったことがあったんだけど、どうやら俺のおもったのとはちがうようだった。
なんかまあ 〝かなしいおはなし〟らしい と。
(………………)
のるえあおうこくは へいわで なにもいじょうのない くにだ。
9さいのおうじょが おさめている ちいさいかわいい くにだ。
(……でも。このおとぎばなしのえいきょうがあるんじゃないか っておもうときが ときどきある)
なにも いじょうは ないん だけど。
(……。かみさまがやってるなら いいんじゃないか みたいな。………)
カミサマが〝自らいのちをたって〟うまれたとされる国────
───ノルエアは〈自死〉がおおい───。
====第1章・パトロール警備隊の『ジョアン・イ=ノアール』編====




