≪おもちゃのへいたい(おうじょは9さい☆彡)≫
≪おもちゃのへいたい(おうじょは9さい☆彡)≫
──『ノルエア王国兵士のせいふく』──
まあ。ふだん。俺たちがきているせいふくのことだが。
ちゃんとしたかんじの襟に、肩には肩章があり、胸のあたりから背中にかけてちょっとひらひらした飾りがついている。
いかにも兵隊ってかんじの。ごく、ふつうのせいふく。
これには〝ある特徴〟がある。
それは───
〈じぶんのすきないろをえらべる〉ということ。
兵士になるとき、最初に選べる。かなりさまざまな色があった。
……というか、めちゃくちゃ。やばいくらいおおかった。部屋のおくまでならんでいて、すこしの時間じゃよく見られないくらいだった。
なので。
ノルエアの兵士はみんな自分できめた、ばらばらの色の制服をきているのである。
まあ、かぶっているやつもいるが。びみょうな色合いの差異もあるのでまったくおなじってことはそんなおおくないんじゃないかな。なにせめちゃくちゃ種類がおおかったのだから。俺はだいたいの色でいっているけど。
ピケはきいろ。タイケは深緑のせいふくをきているな。
俺は空色のせいふくにしている。まあ水色、ともいうが。俺は空色っていうのがすきだ。
空がすきだから、これにした。気にいっている。とても。目の色ともおなじだしな。
きっとだいたいの……。いや。
ほぼすべての兵士は『一番すきな色』のせいふくをきているんじゃないかな?
あえてすきじゃない色をえらぶ理由もないだろう。
「すきな色をえらべる」───。
なぜ、そんなことになっているのか?
それはわからない。理由は、あかされていない。
……が。
〝サボり防止のため〟だ、と。兵士たちのあいだではそうささやかれている。
それはたしかにありそうだな、とおもう。カラフルで目立つからな。
この制服をきた状態でサボれるやつは相当ずぶとい、マイペースなやつだろう。
──が。
一説によると。
ノルエア王国には『おうじょ(9さい)』がいるのだが。
そのノルエアの9さいのおうじょがお生まれになったことへのお祝いで変更されただとか。
おうじょ(9さい)にいろとりどりの兵士をみていただき、すこしでもたのしんで公務をおこなってもらえるようにという側近の助言だとか。はたまた王さま直々のごいこう・めいれいだったとか……。
なんかそういったうわさがあるようだ。とピケから聞いた。あいつはいろいろな情報にくわしい。いつもはしりまわっていろんな情報収集しているから。なんかまあすきなのだろう、そういうことするのが。
(たしかに、もっとむかしは今とはちがうかんじだった気がするな。兵士のせいふく)
………ちなみにいま。
この国ノルエアは王と王子が〈ゆくえふめい〉となっており、王妃はすでになくなっているので、その9さいのおうじょがじっしつ最高権力者となっている。
なので、正確には───
「ノルエア王国には『おうじょ(9さい)』しかいない」
のである。
…………。
(王家は、そんなことをするより、ほかにもっと気にすることがあったのでは……?)
とかとは俺はおもわないな。とくにいまは王もおうひも王子もおらずたったひとりの王族となってしまったじょうきょうで9さいのおうじょもたいへんだろうしな。
おうじょ(9さい)のための めいれいなら きかないとな。
なにせ おうじょは9さい、なのだから、な。
◇
(なにもイジョウはない)
◇
ノルエアには四季がある。
春夏秋冬……じゃっかん雨のよく降る時もあるが、きほんてきにはすごしやすい気候をしている。
そしてさむいほうにあるので暑さはそこまできびしくないが、冬はさむい。とくに。雪がよくふる。よく。
なので。せいふくも春用と冬用がある。外見はまったくおなじだけど生地がちがうのか冬用はなんかあったかいな(試着しかしていないけど)
マントもあるのでさむいのがにがてなやつははおるのがいいだろう。が、このマントはきちんとした公式行事やおおきなおまつりなどでは着用不可なことがおおいようだ。そしてむかしは私物でもよかったらしいが、現在は売店で売っている正式なものしか使用できないそうだ。
このせいふくはスペアもあるのでよごれたりしてもだいじょうぶ。
そして、もらったらもう自分のものとなるので、兵士をやめても返さなくていいらしい。
……それだと裏で流通などしてニセモノの兵士があらわれるんじゃないか? とおもわれるかもしれない。
が、その心配はない。兵士の身分証明には〝あるもの〟がひつようだからだ。それはのちほど説明する。
で、せいふくにはおそろいの色の帽子もあるが、これは着用は自由となっている。
まあ。あんまりいない、かぶってるやつは。けっこう動いたりするからかな。帽子がすきなやつはかぶるかもしれないけど。これもちゃんとした式典とか儀式の際は着用強制の時もあるが、そこまでおおくない。
そしてグローブとブーツも自由。色もきまってない。売店でいろいろさまざまなのが売ってるので自分でえらんで着用していいことになっている。私物でもいいようだ。
特にブーツはこのみがでており人によってけっこうちがったりもする。歩きやすさ重視だったり、外見重視だったり。丈がみじかすぎるのはダメだが(まあ、転んだらあぶないからな)長いぶんにはべつにいいらしい。
ヒールの高さもとくに規則できまっていないので、やたらかかとの高いのをはいているやつもいたりするが。それで走れるんだろうか、とおもったりするが。転んだらあぶなくないんだろうか、とおもったりするが。
まあ。いいんだけど。
(いや。いちおう兵士だからみんな機能性重視のほうがいいとおもうのだが。自由だからな、いいんだけど。規則できまってないなら、いいんだろう)
が。
ベルトだけは決められたものがある。黒いベルトだ。これは、全員おなじ。
そして、このベルトをはずすのは、だめらしい。かならず着用することが規則できまっている。
……。なんだかゆるいのか、厳しいのか。よくわからない規則な気もするが……。まあきそくはまもらないといけないからな。
なので、ベルトだけは全員おなじでおそろいなのである。ていうとちょっと気味がわるいか。
◇
(いじょうはないないっ) (わんっ)
◇
で。
せいふくの「色」のはなしの戻るが。そんなだと。
全体の式典や儀式やらで部隊ごとに集合してもいろんな色のやつがいて一体感なんてうまれるはずもなくなにがなにやら。といったかんじとなるわけだが。
どこの隊に所属しているやつなのかはブローチの宝石で判別できるようになっている。ちょっとひらひらした白い飾りもついている、首もとにつけるやつだ。
俺のいるパトロール警備隊はガーネット、赤。衛生部隊はサファイア、青。近衛兵部隊はブラックオニキス、黒。神聖部隊はオパール……まあ、白。
といったぐあいだ。
先ほど「せいふくは自分のものになる」といったが、このブローチはもし兵士をやめる場合には返さないといけない。
せいふくよりもこのブローチのほうがノルエア兵士隊の身分証明としての意義が大きいのである。
なので兵士をやめても身分の偽装はできなくなっている。なにより、偽装するのはかなり重い罪になるので、わざわざニセ兵士になりたいようなやつもまあいないだろう。
そう──このブローチはみずからの所属部隊の証明となる非常にたいせつなもの。
かならず身につけることが定められていて、しんでもなくすなときつくいわれる。
そのため、交換や貸し借りなどするのは規則でかたく禁じられている。身分をいつわることになるからだ。
もしそういう行為をおこなってばれたらどうなるか。
……俺にはわからない。わかりたくない。
◇
……と、まあ。こんなところか。
以上が、なにも やばくない・あぶなくない・異常はない王国──
ノルエア王国の紹介である。
そんなこんなで。
まるでおとぎばなしのせかいのようなおおきいお城があり
絵本のようなかわいい家々がたちならぶ城下町がひろがっており
ぶきがとてもやすくうられていて どこででもいくらでもてにはいり
さけのねんれいせいげんがなく こどもでもあかごでものめて
おくすりやでは たいへんこうかなしあわせなゆめをみるくすりがうっており
おうけは どうどうとしない なぞのおおいかみさまをしんじていて
ふとくてじょうぶなひものみせという なぞのせんもんてんがあり
おうとおうじがゆくえふめいで 9さいのおうじょがくにをおさめておりはかば
いろとりどりなへいしたちが まいにち くにをまもったり、 してしている。
そういう国なのだ。ここは。
これが のるえあおうこく なのだ。
そうだな。
『 なにも異常はない。』
──以上、。 だ。
──≪おもちゃのへいたい(おうじょは9さい☆彡)≫おしまい────
'25/08/06




