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方言だけ最強。機人×魔法の学園で逆転  作者: 黒鍵


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081 壁上疾走、戦場への号砲

 背中から振動が伝わり、目を開く。どうやら他校の機人たちも疑似迷路に入ってきたようだ。これで魔法の妨害はないだろう。


 モニター右下の魔力残量は『79/115』。やはりほとんどの機能を停止していてよかった。魔力残量は五分前と同じだった。


 ――自然と口元が綻ぶ。


 刹那、魔力残量が『80/115』に変わり、驚愕する。さっきまで動かなかった数字が、ゆっくりと『1』だけ増えた。わずかだが、魔力が回復した。


 たしかに休憩することで少しずつ魔力は戻る。だが、武蔵零式を装着した状態でも回復するとは思わなかった。


 平常稼働で三分で『1』を消費する機体だ。燃費を抑えてはいたが、消費より回復が上回るとは――嬉しい誤算だ。


 少しだけ戦術の幅が広がり、楽しくなる。次第に地面から伝わる振動が大きくなり、他校の選手が近づいてきていると分かった。


 俺は地面に膝がつくほど深く腰を落とし、一気に跳躍した。ドンッと地面が抉れ、気づくと壁を見下ろしていた。


 宙に浮いた俺はバランスを取りながら、壁の上に着地すると、すぐに魔力残量を確認する。


 『76/115』


 バックアタック・マッチで使った高速移動と同じ要領で跳んでみたが、消費量は『5』ではなく『4』だった。


 武蔵零式での体の動かし方が分かってきたのか、縦と横――移動する方向の違いなのか、どちらか分からないが、魔力消費が少なかったのは嬉しかった。


 モニターに浮かぶ数値『76』を見て、笑みが零れる。周囲を見渡し、最後の障害――一直線に整地されたバトルフィールドが見えた。


 目指す方向が分かり、視線を落とすと、狭い通路を機人たちが所狭しと走っていた。優越感に浸り、笑みを深め、俺もゴールを目指して走り出した。






 ソウガが空高く舞い、壁の上に着地した。


 相変わらず、私の想像の上を行く。苦笑いを浮かべ、隣を見やると、リュウゾウ先生とナツメさんが目を見開いていた。


 当然だ。武蔵零式の機動力なら可能だが、まず思いつかない。飛行能力を持つ機人は少ない。最上位機種の一式――それを改良したオリジナルの機種だけだ。


 機人をよく知る者ほど、『壁の上まで飛ぶ』――その発想に至らない。機人に乗れなかった彼だからこそ、常識にとらわれず、実行できた。


 想定外の行動に観客はざわめく。騒然とする中、アナウンスが流れた。


<ソ、ソウガ選手の只今の行動は、競技規定に触れるものではありません。このまま競技を続行してください!>


 ノイズが混じる機械音声からでも、動揺が伝わる。


 学生が乗る機人は下位機種の三式となっている。飛行能力はなく、あの高さの壁を跳び越えることはできない。機動力が優れた武導機人でも不可能だ。


 だから、大会本部も壁の上を走ることなど想定していなかったのも無理はない。


 ソウガは壁の上から最後の障害――バトルフィールドを見つけ、颯爽とを走り出した。


 機人がぶつかっても壊れないように設計された壁は、厚さが四メートルほどある。武蔵零式が走るには、十分な幅だ。


 また壁と壁の隙間も、離れていても十メートルしかなく、余裕で跳んでいく。


 時折、跳躍の瞬間を狙い、下にいる機人が魔法を放ってくるが、ソウガも予想しており、フェイントを混ぜながらタイミングを掴ませない。


 さすがに一発でも直撃すれば、武蔵零式でもただでは済まない。もし無事だったとしても、通路に落とされ、深刻なダメージを受ける。


 十分に警戒しながら、ゴールまで一直線で進むソウガ。後続との距離を次第に離していき、気づけば、その差は二十メートルほどになっていた。


 直線距離で二十メートル――複雑に入り組む疑似迷路なら、少なくともその倍は離れていると考えていい。


 やがてソウガは迷路のゴールに着くと、壁から飛び降り、一直線でバトルフィールドに向かった。


 その直後、背後で轟音が響く。視線を向けると、他校の生徒が苦し紛れに魔法を放ったようだ。


 だが、それは狭い通路で撃ったため、砲身はほぼ垂直のまま。魔法は空高く上がり、鋭い放物線を描き、少し先の通路に落下した。


 進行先の通路を塞ぐ結果となり、自らの首を絞める愚行だと気づいた選手たちは、魔法での妨害を諦め、順位を少しでも上げようと走り出した。





 疑似迷路の壁から降りると、すぐに魔力残量を確認する。


 モニター右下には『70/115』。跳躍して壁の上に降りたときが『76』だったから、『6』を消費したことになる。


 ゴールまでかかった時間は八分。平常稼働時が三分で『1』を消費することを考えると、三倍近い消費量だ。


 しかし、途中で何度か十メートル級の跳躍をし、その都度走る速度を上げた。当然の結果だと考える。


 それに、あとは最後の障害――バトルフィールドだけだ。直接接触して妨害することができる戦闘地帯。


 戦う相手のいない無人の草原を見つめ、俺はほくそ笑む。


 かすかに機体同士がぶつかり合う音が響く疑似迷路に背を向けると、クラウチングスタートの姿勢になる。


 妨害する機人も罠もない草原を見つめる。もはや残りの魔力を気にする必要はない。両足に力を込めると、一気に走り出した。


 その瞬間、景色が線となり、音速で流れた。

読んでくださり感謝です<(_ _)>

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