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第34話 種子の方法 壱

 親から身売りに掛け合い、花街で色を売る職を得た女の最期。


 例えば、例えば。


 それは客のみならず、身近でごくわずかに関われる男性も含まれていた。


 ある男は、番台。


 ある男は、護衛の浪人。


 ある男は、身支度の帯を締める時の男衆。


 どれもどれも、敢えて粒揃いを選んできたのは店の女たちの最期を知る女主人の役割だ。


 すべての女が愛した男主人に、身請けされるわけがない。


 適当に遊ばれて、体も心もボロボロになった女など多数居てもおかしくない時勢。


 何処の国か。


 何処の時代か。


 分かれば分かるほど、そんな女の『最期』のひとつを知られてはいけない。


 良質な種子を時代のために、そんな女たちに植え付けつけるのが本当の最期。


 館を維持するためだけに、用意された『近しい男』の中から種子を貰うのが最期。いつでも産みの親になれる果実を抱えて、植え付けられたら。


 産んだ直後には、殺されて血はその男が被る。ひとりならずに、ふたりどころか幾人も。そして、男もその腐臭の中で息を引き取ってしまうのは『梅の毒』のせい。まともに食事を与えられず、この毒が体を巡ったら最後……種子を与えた女らと閉じ込めた小屋ごと焼かれるのだ。


 親を知らぬ、子の最期も同じだったと気づいたのは。


 月の蛇と呼ばれた、女が幾つもの記録で気づいたからだった。



「……ワタシがこの場に来るまで、何遍通りもあったのか。よもや、子に病が多いのは……『血の毒』のせいとは」



 自分もあの男と盟約を結び、同じ事を抱えている身ではあっても。民草が同じでは、子孫繁栄も意味がないではないかと思うしかない。


 であれば、現実側どころか異界も同じでは意味がないではないか。


 異父兄弟、異母兄弟ならまだしも。もっと近しい兄弟等の血の濃さでは、歪な生まれ方をしても当然。


 上が良くて、下が良くないと誰が決めたか。


 戦争を終わらせた女となるなら、そこも何とかせねばならない。であれば、この盟約を最後にしよう。子孫繁栄を考える王らとて、幸せを得てもいいじゃないか。


 計画を進めようと、現実側と異界の記録を編纂していく部隊を決める事に決めたのだった。


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