第32話 そもそも、それは予言ではない
言い出しっぺは、今の時間流で言うと百二十年前ほどだろうか。
どの時代。
どの国。
どの背景。
それらを想定した上で、表と裏の最初を決める儀式があったとされている。
地球とやらの、星ひとつの話ではない。
太陽を含める、銀河系全部を広げても弱いだろうに。
それまで、多くの『カプセル』とやらで星どころか世界の根源を気づいてきたとされている。
現実が表。
異となる次元は裏。
その最初の、きっかけになる『親は二組』が当たり前だと。辿ればば長過ぎて、誰も誰もが覚えていない。
温かな夜。
爽やかな朝。
その組み合わせを勝ち取った、恋人たちの行く末でしかない。
気づいた存在はどれだけ居ようか。
神だ悪魔だと、揶揄しても意味がないのに。
光の速さでは、親子くらいの感覚は何万年でも遠いことに気づいたのは。
この『地球とやらのカプセル』に気づいた、先代の異界の編集長。
外見では流麗な四十代の美女なのに、まだ次世代に引き継ぐ作業が整っていなかった。
それほど、土の成分が表側では脆くなり過ぎていたことを反省するくらい。
なので、実は旦那と『普通の仕事』の休暇を台無しにしてまで、次世代の編集長の前で寄り添っているのだった。
(……どうしようか)
(……純度を意識し過ぎて、表面は脆いのか)
(……やり直し?)
(星の経路組み換えからやり直しだなあ……)
外側はかっこいい女性に見せたが、内面はただの乙女ちっくな普通の女性だとバレないようにも気をつけていたのだった。




