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第29話 その頃の現実側では

 異界の編集部たちが、各々の仕事に取り掛かっている真っ最中。


 現実側ではどれだけの被害が起きているのかを、彼らは誰も知らないと思っているだろう。


 今まで、彼らの居場所を与えてきた警視庁の最奥部の人間たちは、少なくとも思っただろう。


 日本各地が、地震でない地割れを起こして、地底火山の溶岩が地上に溢れ。


 日本を取り囲むように、海上も割れてしまい、境界線の如く滝を生み出した。


 政府が自衛隊に出動命令を出しても遅い。


 飛行機やヘリコプターなど、護送に必要な交通手段はすべて断絶させられてしまった。日本の周囲の大陸が無事なのかどうかもわからない。


 すべて、自分たちは利用されていたと絶望感に陥るのも、当然だと思ってしまうだろうが。


 そのフォローをしないわけがないのも、異界の存在でしかない。


 燃え盛る都内の一画で、必要以上に国民が右往左往しないように誘導していた警察たちは、ひとつの影を見た。


 一見すると、コスプレなのかの格好をしている男女が、こちらを気にせずに立ち向かっているのを。



「あ〜あ。ここまで焼け焦げた臭い、最悪! クーのフレグランスだと余計に臭くなるわね?」

「……やめてくれ。あいつの最高級品をそんな風に使うな」

「だって! 屍肉が焼け焦げて、めっちゃ臭いのよ!? つか、あんたの外見……何それ? 政兄の趣味?」

「だと思ってくれ。こっちもそろそろ向かう」

「いいわよ。こっちはあたしの好きにするから」

「ああ」



 大剣二本も背負った男は、瞬足とも言える速さでそこから去っていった。目で追っても、何処にも見当たらない。しかも、細身の女ひとりで目の前の惨劇をどうするのか。


 止めようと、ひとりの特攻部隊のひとりが手を伸ばせば。女は背負ってた大鎌を地面に突き刺すことで、彼を近づけさせないようにした。



「ふふ。いいわいいわ! 姉様に逢えるように、『望月』としてあたしがここを止めてあげる」



 両手を左右に広げれば、光の帯が広がっていく。中には、さらにゲームかアニメの中にあるような武器やキャラクターたちが描かれていたのだった。



「去れ」



 号令のようなその言葉と共に、自分たちは荒野に近い瓦礫の上へと勝手に移動させられていた。



「魔法?」

「に、思うよな?」

「ラノベやアニメの……夢じゃない、よな?」



 試しに、自分の頬をつねっても痛覚は感じ取れた。なら、あの少女は自分たちを逃してくれたのだろうか。振り返っても、逃げ惑う国民らがわらわらと何処かへ逃げようとしていた。



「! とりあえず、今は!」

「夢でもなんでもない、この現状をなんとかしよう! 生きている人たちを誘導するんだ」



 瞬間移動はともかく、災害で壊れた地上とかはそのままだ。コロニーも何も存在しなくても、闇雲に命を落とすことにはさせたくなかった。

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