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待ち伏せ

エレンは北のダンジョンに到着していた。

エレン「ここだな」

エレンは躊躇(ちゅうちょ)なくダンジョンに入っていった。


第一層にはスライムなどの弱い敵しかいなかった。

エレンは特に無視をして奥にどんどん進んでいった。

第二層にはゴブリンなどの厄介な敵がいた。

エレンは<隠匿スキル>と<瞬足スキル>を組み合わせてここもスルーしていった。

第三層は、ガイコツが湧くエリアだった。


エレンは<隠匿スキル>でスルーしようとしたが、ガイコツたちは姿の見えないエレンを認識しているようだった。

エレン「生命力を探知しているのか・・・」

そう言うとエレンは弓で攻撃をしたが、肉体のないガイコツには中々当たらなかった。

エレン「仕方ない」

エレンは剣をとり、ガイコツを叩きだした。

エレン「意外と脆いな・・・」

エレンは一時間ほど格闘し、第三層にいるガイコツを一掃した。

エレン「ターゲットが来たら不審に思われそうだが・・・まぁいいだろう」

エレンは最奥にある祭壇の部屋にまで辿り着いた。


エレン「ここがジャッジの言っていたスタンプの祭壇だな」

そう言うと、エレンは祭壇を一望できる場所に身を潜めた。

エレン「さて、本当に来るのだろうか」

エレンは1時間ほど待っていたが、特に誰も現れなかった。


・・・


さらにエレンは1時間ほど待った。

その時、通路の方から声が聞こえてきた。

「あ、祭壇だ」

「結局、第三層には敵がいなかったな」

「んー、そんな情報はなかったけどね」

「まぁこれで楽々クリアだからいいんじゃない」

「カラン、たのむ」

「はいはい」


一人の女が祭壇に近付いてきた。

エレン「こいつだな・・・」

エレンはそう確信すると麻痺を付与した矢を放った。

その矢は女を貫いた。


男A「カラン!」

一人の男が女の元に駆け寄った。

男A「<麻痺付与スキル>か!」

エレン「御名答。せいぜい30分は動くことが出来まい」

そう言いながら、エレンはパーティの前に姿を現した。

パーティは女1人、男3人の情報通りであった。


エレン「待ってたぜ」

男B「何者だ、きさま」

エレン「さぁな」

男B「何の用だ?」

エレン「お前には用はねぇ。その女のスキルに用があるんでね」

男B「なんだと?」

エレン「こいつは高ランクの回復系スキルなんだろ?まさか本当に来るとは思わなかったがな」

エレン「その女を渡すなら、お前らは見逃してやるぜ」


男B「ふざけるな」

そう言うと男Bはエレンに斬りかかってきた。

エレン「瞬足!」

エレンはバックステップを踏んで攻撃をかわした。

男B「距離をとって弓で射抜くスタイル、しかも麻痺のおまけつきか」



男A「気をつけて、そいつランクBだ」

男B「・・・ってことは奥の手がまだあるってことかよ」

この時、エレンは自分のランクを初めて知った。

<瞬足スキル>や<麻痺付与スキル>でもないとしたら、ランクBは<隠匿スキル>であることが容易に推測できた。


エレン「ほぉ、<能力色鑑定>持ちか。こいつはラッキーだな」

<能力色鑑定>とは他人の持っているスキルの最高ランクが色で分かるスキルである。

いわゆるレアスキルの1つだが、戦闘スキルでない分、他の人間から狙われやすいという弱点もある。

特に一人で生きていくにはこういったスキルで情報収集できるかどうかが生死に大きく関わってくるのである。


エレン「気が変わった。全員あの世行きだ」

男Aは女を守っていて手を出してこなかった。そこでエレンは男Bと男Cに弓矢で遠隔攻撃を仕掛けた。

すると男Bと男Cは連携して、エレンに接近戦を仕掛けてきた。

相手の攻撃をエレンは<瞬足スキル>でかわしながら弓を撃っていくスタイルで対抗した。


矢は相手に当たりはするものの、防具などに阻まれて中々動きを止めることができない。

それでもエレンは諦めずに撃っていった。

一進一退のこう着状態が続いたその時、男Cの動きが止まったのが確認できた。

男Cの左足にエレンの矢が命中したのだ。それと同時に男Aが男Cの方が駆け寄っていくのが見えた。


エレン「もらった!」

男Aが持ち場を離れた隙をついて、エレンは女に矢を放った。

矢は女に突き刺さった・・・・はずだった。

だがエレンの目には、女の存在は消え去り、矢は地面に突き刺さっている光景が映し出されていた。


エレン「転移魔法だと!?」

それはエレンが奴隷の時に一度だけ目にしたことがあった転移魔法であった。

エレンの目の前には転移魔法特有の光の輪が広がっていた。


エレンは任務が失敗したことを悟った。

エレン「ふざけるなー!」

この数日の出来事が全て無駄になったことでエレンの怒りは最高潮に達した。


一瞬のエレンの隙をついて、男Bが死角から斬りかかってきた。

エレンは照準を男Bに切り替え、麻痺付与をした矢を放った。

矢は男Bに命中した。それと同時にエレンも左肩に一撃を喰らった。

エレン「な・・・に・・・・」

エレンは吹き飛ばされたと同時に、麻痺ではない衝撃が身体中を駆け巡った。

エレンはスタン攻撃を受け、体の力が抜けていくのが分かった。

だが吹き飛ばされている時に、エレンの目には男Bが麻痺状態になっていることが確認できた。

エレン「よし、倒せる!」

スタン攻撃であれば、徐々に力が戻り数秒で回復するであろうことは知っていた。


男Aはそれほど戦闘経験がないものと見えた。

男Bは麻痺、男Cは重症で動けないことから、エレンは勝ちを確信したのだった。


次の瞬間、男Cは男Bに転移魔法をかけていた。

エレン「しまった・・・」

転移魔法は魔力を大きく消費する魔法であることは知っていた。

特に一人ずつしか転移できないような低レベルの転移であれば1人しか転移できないはずと考えていたエレンの読みが甘かったのだった。


エレンはまだスタンの影響で立ち上がれなかった。

エレン「3回目はないはず。スタンの効果が切れたらやってやる」

そう思ったエレンだったが、目の前の光景を見て驚きを隠せなかった。


男Aは男Cを殺し、奪った転移魔法で逃げていったのだった。

エレン「なんだと・・・・。あいつパーティメンバーを裏切りやがった・・・」

エレンは衝撃を受けた。そして人間に改めて嫌悪感を覚えた。

エレン「やはり人間は自分のことしか考えていない汚い奴らなんだ」

エレンは健闘虚しく、戦果を挙げられないままダンジョンを後にした。



本エピソードは、〜正統権威継承者編〜とリンクしています。

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