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情報屋

エレン「人間に敵対するか・・・今までなんで気付かなかったんだろう・・・」

エレンは何かから解放された気分になっていた。


エレンは街に戻るとすぐに冒険者ギルドに直行した。

受付嬢「あ、エレンさん」

エレン「どうも。これよろしく」

受付嬢「えっ、もうダンジョンの地図ができたんですか?」

エレン「報酬は?」

受付嬢「あ、はいこれです。一応ですが、デタラメな地図だった場合は冒険者剥奪もありますので・・・」

受付嬢が話終わる前にエレンは報酬を受け取ると、被せるように話をした。

エレン「ここらで情報を集めるにはどうすればいい?」

受付嬢「情報・・・ですか?・・・バーに行くとか、情報屋を尋ねるとかでしょうか」

エレン「情報屋はどこにいる?」

エレンは情報屋の居場所を聞くと冒険者ギルドを後にした。

受付嬢「・・・なんか雰囲気変わってた気がするな・・・」


エレンは言われた通り情報屋の場所に向かった。

エレン「ここか・・・・」

特に看板は出ていなかったが、言われた場所はここのようだった。

エレンは家のドアを開けて言った。

エレン「ここが情報屋の家か?」

奥で物音がした後、少し経って男が出てきた。

ジャッジ「誰だ?」

エレン「俺はエレンだ。冒険者ギルドで聞いて来たんだが、ここが情報屋で合っているか?」

ジャッジ「俺はジャッジだ。何が聞きたい?」

エレン「レアスキルを持っている奴の情報を知りたい」

ジャッジ「ほぉ、どんなのだ?」

エレン「そうだな・・・回復系を持っているやつはいないか?」

ジャッジ「知ってどうする?」

エレン「俺が奪う」

ジャッジ「一人でか?」

エレン「ああ一人でだ」


ジャッジ「ふははははははは」

ジャッジは突然笑い出した。

エレン「・・・何がおかしい?」

ジャッジ「回復系を持っている奴は基本はパーティで活動しているんだぞ」

確かに、エレンが外で見かけた冒険者は皆パーティを組んでいた。

ジャッジ「回復系はクランで重宝されるから必然的に強いパーティに組み込まれるんだ。どうやって戦うつもりだ?」

エレン「・・・一人では厳しいってことか・・・」

ジャッジ「まぁ情報はあるにはあるがな」

エレン「本当か!教えてくれ」

ジャッジ「前金で300、情報提供時に追加で500ってところだな」

エレン「800・・・」

エレンの手持ちは先程稼いだ500だけだった。

エレン「いいだろう。ただし、残りの500は情報が正しかった時に払う」

ジャッジ「商談成立だ。3日後の子の刻、ここに来い」

そう言うとジャッジは地図を書いた紙を渡した。

エレン「これは・・・城外か?」

ジャッジ「ああ、ことがことだけにな。お前も人目につくのはまずいだろう」

エレン「分かった」

そう言うと、エレンは家から出ていった。


ーーー3日後の夜ーーーー


エレンは夜目が効かないほど漆黒の闇の中、指定された場所に来ていた。

エレン「遅いな・・・」

エレンが待ちくたびれていたその時、かすかな風を切る音が聞こえた。

エレン「瞬足!」

エレンは咄嗟にバックステップを踏んだ。

エレンがいた場所にはクナイが投げ込まれていた。

エレン「誰だ!」

クナイを投げた方向を見るが真っ暗闇で何も見えない。

エレン「この暗闇で正確な位置が分かるってことは、<聴音スキル>か<暗視スキル>か・・・」

そう考えている間にもこちらをめがけてクナイが飛んできている。

エレン「瞬足!・・・瞬足!・・・瞬足!」

寸前のところでエレンはクナイをかわしていく。

だが、<瞬足スキル>にも回数制限はある。

このままだとジリ貧になることは、エレンには分かっていた。


エレン「聴音スキルなら俺の負けだな・・・」

そう呟くと、エレンは賭けに出た。

エレン「隠匿!・・・瞬足!・・・瞬足!」

エレンは<隠匿スキル>で姿を消した後、一度目の<瞬足スキル>でクナイの軌道から脱出し、更に二度目の<瞬足スキル>でクナイが飛んできた方向に高速移動した。


「ザシュ!」

エレンが構えた剣が何かに当たった音がした。

エレンには微かにうずくまっている人影が見えた。エレンは近付くと剣を突き立てようとした。


「そこまでだ!」

聞き覚えのある声が聞こえてきた。ジャッジだった。

ジャッジは持っていたランタンに火を灯した。


エレン「どう言うことだ!返答次第では全員あの世行きだぞ!」

エレンは怒ってみせた。

ジャッジ「すまんな。お前の実力を試したのさ」

ジャッジはエレンの怒りの素振りに動揺することなく平然と答えた。


ジャッジ「他人の情報を売るんだ。お前が負けて情報元のことを吐かれたら商売ができなくなるからな」

エレン「俺が弱かったらこの場で殺していた・・・と?」

ジャッジ「まぁそういう世界なんでな、悪く思うな。・・・で情報はいるか?」

エレン「ああ。ただし、前金300、成功報酬200にしろ」

ジャッジ「そうだな・・・得意先になってくれるなら今回はまけてやるぜ」

エレン「商談成立だな」

そう言うとエレンは300を払い、ジャッジから情報を受け取った。


ジャッジ「ターゲットは女で高ランクの回復スキルを持っている」

ジャッジ「通常はAランク以上とパーティを組むんだが、情報だとCランクかDランクのパーティらしい」

エレン「なるほど・・・これはチャンスだな」

ジャッジ「明日、北のダンジョンに来るはずだから、そこで仕留めろ」

エレン「OK」

ジャッジ「明日の夜、同じ時間でここで集合だ」

こうして、手負いの仲間を支えながらジャッジは去っていった。


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