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リベンジ

その日からエレンは洞窟を見つけてその場に居座ることとなった。

足の傷が癒えなかったからだ。

通常であれば、敵からの襲撃に備えて木に登って寝泊まりをしたかったがそれも出来なかった。


エレンの心の中はポッカリと穴が空いたようだった。

何か自分が自分でいられなくなってしまった衝動に駆られていた。

自分の中の何かが壊れてしまった瞬間であった。


一ヶ月ほど経ち、食料も尽きかけていた。

さすがに食べないわけにはいかないエレンはゆっくりと外に出ていった。

足の傷も癒え、普通に歩けるようになっていた。


エレン「ん・・・、明るいな・・・」

暗闇の洞窟で過ごしていたエレンにとって久々な太陽だった。

太陽に当たることでエレンの心のモヤモヤも溶けていくようであった。

エレン「・・・さて、行くか」

そう言うと、エレンはグースのいる家へ歩みを進めていた。


・・・2日後・・・・


エレンはグースのいる家付近までやってきた。

エレン「一瞬でケリをつけてやる」

そうつぶやくと、エレンはゆっくりと足音をたてないように家に近付いていった。


ギィーーーー

家の入り口を開けると音がした。エレンがいた時にはしなかった音だ。


エレン「しまった・・・」

エレンはとっさに周りを見渡したが、特に人影はなかった。

経年劣化でもしていたのだろうか。


エレン「大丈夫か・・・」

エレンは少し安心し、またゆっくりとした足取りで中に入った。


グースのいる場所はおそらく奴隷主がいたあの場所だ。

そう直感で理解したエレンは部屋に向かっていった。


エレン「誰もいないな・・・」

エレンは少しずつ進み部屋の前まで来た。

エレンはドアに耳を当て、部屋の様子を探ろうとしたが、特に物音などはしなかった。

エレンは慎重にドアを開け部屋に入った。

ドアを後ろ手にゆっくり閉め、まわりを警戒した。


エレンは部屋を見渡しながらつぶやいた。

エレン「いないな・・・・」

部屋はエレンが出ていった時と大きくは変わっていなかった。

エレンは緊張感からか、大きなため息を1つした。

そして、少し安心した様子で先程閉めたドアを開けた。


その時だった。

開けたドアの前方から矢が飛んできた。

エレン「ぐはっ」

矢はエレンの左腕に当たっていた。

エレンは不意打ちをくらい、よろけて少し後退した。


グース「よぉエレン、久しぶりだなぁ」

エレンの目の前にはグースが立っていた。

エレン「グース!」

グース「何しにきたんだ?・・・ぁ?」

エレン「お前を倒しにきたに決まっているだろ!」

グース「殺されに来たのか。それはご苦労さん。」

そう言うとグースは弓を構えた。



エレン「隠匿!」

エレンは姿を消した。

グース「瞬矢!」

グースの放った矢はエレンの脇腹を貫いた。


エレン「うぐっ」

エレンの隠匿スキルは消え、エレンは姿を現した。

エレンは痛みのあまり膝をついた。


グース「お前が消えるスキルを持っているのは分かっているんだよ」

エレン「・・・だから何だってんだ」

そう言うとエレンは立ちあがろうとした。だが、体がいうことをきかなかった。


グース「ふははは・・・クラッチェから奪った麻痺スキルが効いてきたみたいだな」

エレン「なに!?・・・お前クラッチェを!?」

クラッチェというのはグースのおよそ半月後に16歳の誕生日を迎える奴隷の一人であった。

しっかり者で、下の者の面倒をよく見る奴だった。


グース「あぁ、そうさ。美味しくいただいてやったぜ!」

エレン「お前、まさか・・・・」

グース「あいつは16歳になる直前だったからな。他の連中は時間がかかるからゴミとして処理しといてやったぜ」

エレン「俺たちは第2の家族みたいなもんだっただろ!」

グース「エレン、お前は甘いんだよ。だから負けるんだよ。さて、そろそろ消えるスキルいただくぜ」

エレン「グース、きさまだけは許さんぞ。」


グースは弓を引き矢を放った。それとほぼ同時に、エレンの痺れが消えた。

エレンは咄嗟に反撃に出ていた。

エレン「俊足!」

エレンは一瞬でグースの懐に入り込んだ。


グース「な、なに!?」

一瞬で間合いに入られたグースは弓で防御することもできず照準を合わせることもできなかった。

エレンはグースの左胸を一突きにした。

グース「麻痺していたはずなのに・・・・なぜ動ける・・・」

エレンは先の戦いで習得していた<麻痺耐性スキル>が発動していたのだ。

そのため、本来であれば10分単位で動けなくなるところを数十秒で解除することに成功していた。

エレン「お前の敗因は油断したことさ」

グース「あそこで瞬矢を使っておけば・・・・」

そう言うとグースは崩れ落ちた。


エレン「クラッチェの形見のスキルか・・・」

エレンはグースから<麻痺付与スキル>を取得した。

そしてエレンは人間関係の全てを失ったことを受け止めきれず、その場で立ち尽くしていた。





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