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月下無限天~最強の在り方~  作者:
蒼氷の朱雀編
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異能力も使いようと言う事

どんな異能力が欲しいですか?

「逆にだ。氷帝派からの勧誘みたいなのが有るんじゃねぇのか? お前らの中の一人でもそっち側に着いたら、今のお前らの努力も水の泡だろ」


「……刀聖派の人間も意思はかなり固い。上に立つ刀聖自身……出来た人間である上に、こちらにはあの『炎帝』が所属しているんでな……奴の存在はかなり大きい」


「成る程、『オールガイア最高』の炎帝か」


「だが……その炎帝自身もまだまだ若いと言う理由で色々と制限を掛けられている……。俺達に残された道は公式な手順で氷帝を叩き落とすしか無い……。自分達で語るのもなんだが……幸いにも俺達刀聖派は粒揃いでな。そう簡単に位を落とす事は無いだろうから、俺達七人の存在と意見が変わる事は無い」


確かにな。


とケヴィンは思う。


少なくとも目の前のこの剣聖は、今まで見てきたどの英雄よりも頭一つ抜きん出ている強さを持っている。


竜騎士とまでは言い過ぎだが、それこそ堕落していると言われている英雄達に比べれば、もはや天地の差だろう。


その彼が認めている刀聖派の者達も、相当な物なのだろう。


「そんなに難しいもんかねぇ、氷帝の位を奪うって言う行為が」


溜息混じりにケヴィンは発言する。


正直に言えばケヴィンは現Xランカーの位等、どの位置でも簡単に奪えると思っている。


それ相応の努力をしてきている上に、今まで目にして来た物の判断の結果だ。


「……氷を操る技術に長けた英雄は確かに存在しているが……問題は氷帝の持つ『異能力』だ」


異能力と簡単に一言で纏められてるが、その種類は様々な物だ。


刀聖や剣聖の様に、己の戦法とマッチした異能力を持つ英雄もいれば、防御専門の異能力を持つ者もいる。


決して無意味な異能力は存在しないが、その能力に優劣が存在するのもまた事実だ。


「……氷帝の二つ名は『温度の番人』……奴の異能力は『温度操作』だ」


「成る程な」


ケヴィンはその異能力が、確かに氷魔法に『向いた』異能力で有る事を理解する。


基本五属性である炎、水、雷、地、風の中で、派生属性が存在している属性が二つ有る。


それが地と水だ。


派生属性と言っているが、その根本的な意味合いは応用魔法の一部である。


炎魔法の応用が熱魔法の様に、地の応用魔法が派生属性である岩魔法。


そして水の派生属性こそがケヴィンが好んで扱う氷魔法だ。


特殊属性で有る光属性と闇属性は、その特殊性から習得が難しいとされている。


それと同等な程に、この派生属性の習得は若干難易度が高い。


基本的にエルフは自然魔法を扱う際には、皆自然エネルギーを利用する。


風魔法なら自然の風を、炎魔法なら熱エネルギーを、地魔法なら大地を。


天候等の状況によって、己の扱う魔法の効力が上昇する場合も有れば下降する場合も有る。


この様に大自然での自然魔法駆使に至っては、太陽光から光エネルギーや熱エネルギーを生み出す事も出来、それによって現れる影から闇エネルギーを抽出する事も出来る。


自然に当たり前に存在して居る風や大地を利用したり、摩擦や静電気によって起こる電気エネルギーも存在する。


湿気も利用する事も有る上、雨天時や川や湖の近い場所での戦いなら、水魔法が大いに有利と成るだろう。


そしてその中での派生属性である。


岩魔法ならば、そのまま大地を利用する事で実質的何処でも大きな恩恵を受ける事が出来る。


しかし氷魔法は時と場合によって、その威力や消費魔力が大きく左右される代表属性だ。


氷魔法を扱う際に必要なのは水と冷気。


季節が冬であったり、比較的温度の低い地方ならばその恩恵も受けられるだろう。


問題は砂漠地帯や真夏での冷気エネルギーの取得だ。


大抵のエルフは元と成るエネルギーを魔力で増幅させ、自然魔法に利用する。


その為元と成るエネルギーが小さければ小さい程、放出する魔力は大きくなる。


特に氷魔法は一度水魔法を作り上げてからその上でそれを凍らせなければならない。


その分詠唱時間も長くなる上、例え詠唱破棄が出来たとしても単純に魔法発動までの時間が二倍掛かってしまう。


その状態で近場に水場も無く湿気も存在しない、更には冷気も無いと言った状況下に置かれた時、氷魔法を主力として扱って居たエルフは一瞬にして無力と化すだろう。


だからこそ氷帝の『異能力』が氷魔法に多大な恩恵を与える事になる。


氷帝の異能力は例えどれだけ気温が高くとも、自分の周囲の温度を下げる事が出来る能力だ。


つまり自分の好きな時に冷気エネルギーを取得する事が出来る。


殆ど魔力を駆使する必要が無い程に冷気エネルギーを展開する事が出来れば、確かに他のエルフでは氷帝に氷魔法で張り合う事等出来なく成るだろう。


「温度操作……ねぇ」


便利な物だな、と言いながら、ケヴィンは手の平に氷の塊を出現させる。


氷魔法を発動した瞬間に、剣聖が反応を見せたのを視界の端で確認した。


恐らく氷魔法の構築の速さに驚いたのだろう。


自然エネルギーを利用する事で、エルフの自然魔法は強い効果を発揮する……しかしそれはケヴィンにとってただの『一般論』であった。


ケヴィンは自然エネルギー等、一切『利用していない』のだ。


何も自然エネルギーが無ければ自然魔法を扱えないなんて事は無い。


その全ては魔力で賄う事が出来る。


魔力で熱エネルギーや冷気エネルギーを発生させれば良いだけの事なのだ。


勿論それ相応の魔力を使う事となるが、ケヴィンにとってはそれに伴う消費魔力等、『その程度』と言うレベルである。


彼は魔力を込める事で作り出せるのなら、自然エネルギー等態々利用しなくて良いだろうと言う考えを持っている。


氷魔法を好んで扱うのも、単純に扱いが『難しい』と言う理由から来ているのだ。


繊細な、そして幾重にも工程が存在する魔力操作を行う氷魔法を扱う事によって、他の魔法の構築速度の底上げと成る為に、集中的にマスターしていっただけなのだ。


一から魔法を作るのでは無く、零から魔法を作り出す事の出来るケヴィン。


その方が自然エネルギーを取り込んで発動すると言った肯定を抜く分、何倍も早く魔法行使が出来るのだ。


エルフ達が氷魔法を使う際には、態々水魔法を発動させ、そこ冷気エネルギーを注ぎ込み、魔力で増幅させ氷魔法を作り上げると行った工程を組む。


しかしケヴィンの場合は自然エネルギーを使わず全て魔力で補っている為に、水魔法発動する際に、既に冷気エネルギーを『込めながら』構築している為、発動した瞬間から氷が作り上げられているのだ。


様々な工程を吹き飛ばして作り上げたからこそ、剣聖が驚く程の速度で氷を作り上げる事が出来る。


「まぁそれなら確かに、生半可な奴らじゃぁ氷帝の席は奪えないだろうな」


「……あぁ、そこに現れたのが……蒼氷、お前だ」


オールガイア各国の魔物を氷漬けにして放置するケヴィン。


作り上げられた氷は決して自然には溶けず、炎帝の炎を持ってして『時間を掛ければ』初めて解凍が可能だと言われている程のそれ。


「お前が扱う氷は……氷帝には『作れない』……」


「だろうな」


ケヴィンの魔法によって作り出された真水は、不純物の一切を含まない。


その為最高の純度を誇る氷を作り出す事が出来る。


結果、魔力だけで作り上げられた氷は、その魔力が切れない限り決して溶ける事は無い。


その上、魔力の込め方によっては鋼鉄以上の硬度を持たせる事も出来る。


剣聖の魔封斬の前では意味の無い代物では有るが、冷気エネルギーを利用する事に慣れきった氷帝には決して作り上げる事が出来ない氷だろう。


「……俺達の追いかけた蒼氷は、確実に氷帝よりも氷の扱いに長けている。……氷帝自身が蒼氷の存在に怯える程だ……それこそがその事実を証明している」


異能力の恩恵で氷帝の位を司り、その権力でやりたい放題やっている氷帝。


氷魔法に向いた異能力のお蔭で、その地位は決して揺るが無いと思っていたのだろう。


その結果、ケヴィンと言う存在が現れた事によって、氷帝の位置を脅かされる状況となる。


努力を怠った結果なのだ。


あぁ成る程、とケヴィンは思う。


剣聖の言った通り、氷帝は堕落した英雄の代表格で、自分がもっとも嫌うタイプの英雄なんだと言う事に気づく。


と同時に、やはり理不尽な世界なのだなと再認識する。


さて、どうしたものか。

最後までお読みいただきありがとうございます。


誤字脱字等有りましたら報告いただければ助かります。


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