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月下無限天~最強の在り方~  作者:
蒼氷の朱雀編
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剣聖・滅殺の刃2

ある程度纏められたので、一度の投稿ページ数は減りますが


本日より出来る限り一日一ページ投稿させていただきます。

ローブで体全体を隠していても身長を隠せる物でも無い上に、立っている時の姿、つまり体勢の癖の様なものはそう簡単に変えられない。


さらに極め付けは彼の声。


本来Aランカー以上に支給されるローブには、変声機能も付いている筈なのだが恐らくデュランはそれをオフにしているのだろう。


学園で聞いた彼の声色その物だった。


それで良いのか英雄さん……とケヴィンは思う。


まぁ彼からすればこのKなる人物が自分の知り合いである可能性は無いと考えているのかもしれないが。


「……失礼する」


それだけ呟くとデュランもとい剣聖は、ケヴィンの隣の席へ座り込む。


今の段階では彼はKがケヴィンだとは気づいていないだろう。


それこそ気付いていれば変声機能を使わない筈がないからだ。


ケヴィンのローブには変声機能は付いていないが、彼はKで居ると決めた瞬間から風魔法を使って常に声色を変えている。


既に習慣となっている為、余程の事が無い限りケヴィンはその魔法を掛け忘れると言う事は無い。


「……今回のお前の昇格試験の査定担当をする事となった剣聖だ。剣聖でも滅殺でも……好きな様に呼ぶが良い」


あくまで彼が剣聖と名乗り続ける限り、こちらから茶々を入れてデュランの名を口にする事は無い。


今この場で彼の名を語るのはルール違反でもある上に、何より彼に対し自分がケヴィンであると語っている様な物だ。


「Kだ。俺も偽名だが今日は宜しく頼むぜ、剣聖さん」


その為にケヴィン自身も自らの正体を明かさず、敢えて剣聖とKと言う立ち位置で関わっていく事を決める。


ケヴィンはメイファに目配せをする。


暫く呆然と二人を見つめていたメイファはハッと気づき、二人に淹れたてのコーヒーを配膳する。


その手は若干震えていた。


「これは……」


「この店のサービスらしい。良いギルド支部だろ」


剣聖はケヴィンの言葉に対して、確かにな……と頷き、メイファへ感謝の言葉を述べると激熱のコーヒーを口にする。


ゆっくりと味わう様にそれを飲む彼を見ながら、ケヴィンもコーヒーを口にするが、途端に舌が火傷しそうな思いを感じた。


馴染みであるケヴィンには少し冷ましたコーヒーをメイファがいつも用意するのだが、今は興奮の為かケヴィンのコーヒーですら淹れたての物を用意されてしまった様だ。


微動だにしなかった剣聖に感心しながらも、彼は質問を投げかける。


「それで、一体全体どうして剣聖様が態々こんな一般人の査定にいらっしゃったんだ?」


確かな嫌味の言葉だが、そこに深い意味は含まれていない。


恐らく剣聖もそれを理解しているだろう。


「一般人……か。その類にお前を置いておくのは、聊か勿体無い気がしてな」


英雄クラスの逸材の発掘にXランカーが躍起になっていると聞いた事が有る。


少しでも腕っぷしの強い者を仲間に迎え、戦力の増強を目指す。


英雄と言えどその人数には限りが有り、オールガイア中隅々まで完璧に守り切れる訳では無い。


だからこそ一般人でも戦える素質の有る者は、英雄から直々に声を掛けられる事が有る様だった。


「ギルドの相談役……白牙の老神に、お前の事を問いただそうとしたが、奴は何も答えてくれなかったのでな……」


「あぁ、あれでも一応俺の素性は匿ってくれてるらしいからな」


「……俺が今日出向いたのは、英雄の活動の一部として……と言う名目上ではあるが、一番は……俺自身がお前に興味があると言う理由が大きい」


「それは光栄だ」


十中八九、蒼氷の朱雀の影を自分に見出しているだろうと言う予想をケヴィンはしながら、淡々と話を進める。


「……担当事務員の、メイファと言ったな? 彼女の報告によって、今日もお前が来るだろうと言う事は聞いていた……。いきなり押しかける形と成ってしまったが、もし試験の日を改めたいと言うのなら遠慮無しに言ってくれ……」


デュランとしてでは無く剣聖としてこの場に居る彼だが、自分が持つ権力を鼻に掛けず、腰の低い態度を見てケヴィンはなんとなくだが彼を気に入る。


気分が良い為に、ケヴィンはその日の内に試験を済ませる事を心に決める。


「今すぐで構わねぇ、メイファ……試験の準備は出来てるか?」


「あ……はい。ですが……もし剣聖様と組まれて試験に臨む形に成るのなら、こちらの依頼で試験をと……」


そう言いながら、メイファは恐る恐る依頼書を差し出す。


ケヴィンはその依頼書を覗き込み、鼻で笑うと席を立つ。


まだ冷めきっていないコーヒーを飲み込み、盛大に咽ると言う締まりのない形と成るが、まるで何事も無かったかの様にケヴィンは剣聖へ声を掛ける。


「準備の必要がねぇならこのまま行くぞ」


「……転移……頼めるな?」


「勿論だ、掴まれ」


言うと、右肩に手を添えた剣聖を確認し、メイファへ一言告げる。


「行ってくる。Bランク昇格祝い、考えといてくれよ」


無茶ぶりをしても、メイファはそれを笑顔で受け止めた。


そしてケヴィンは、目的地を定めると共に転移魔法を発動するのだった。



――――……。

最後までお読みいただきありがとうございます。


誤字脱字等有りましたら報告いただければ助かります。


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