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月下無限天~最強の在り方~  作者:
蒼氷の朱雀編
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レオン・エルツィオーネ

やばいこれ、題名で対戦相手のネタバレになってる?

「何ニヤついてんのぉ? もしかしてあたしとのエッチな事考えちゃった? いやん、えっちぃ」


アドレットの言葉を無視し、デュランとエマ、どちらと当たるかを模索する。


レオンとデュランは人間であるが、エマはエルフだ。


基本的に今回の模擬戦は人間対人間、エルフ対エルフで組まれてる事も有り、そうなると微妙な立場であるケヴィンは、一人残ったエルフであるエマと当たる可能性が非常に高い様に見える。


混血種である自分ならば、そのどちらと戦っても対処出来る扱いになるだろうからだ。


となれば、恐らくデュランはレオンとぶつかる筈であり、残るエマは自分と対戦する事となる。


デュランの実力を見るチャンスはいつかまた訪れるだろうと思い、エマとの対戦を心待ちにした。


しかし。


「次、ケヴィン・ベンティスカ対レオン・エルツィオーネ!」


「……」


ケヴィンはここぞとばかりに顰め面を見せる。


よもや三分の二の確率がこんな時に外れるとは思っていなかった。


一番大事な時に好敵手を逃した事に、自分の運の無さを呪いながらゆっくりと立ち上がるケヴィン。


「よろしく!!」


この時ばかりは、この無邪気な笑顔も何か煽っているのかと言う様な邪な考えもでてしまった。


全く、こうなってしまえば全力を出す訳には行かない。


とケヴィンは舌打ちをする。


一般人の実力はもう何度も繰り返された模擬戦で既に把握した。


例えレオンがエドワードクラスの実力だとしても、ケヴィンにとっては『その程度』と言わざるを得ないレベルだ。


「両者構えて!」


ルイスの指示通り、レオンとの一定の距離を保ったケヴィンは、支給されている鉄剣を気怠そうに構える。


刃の抜かれたその模擬刀は、殺傷能力を限りなく低くされている。


エルフに支給されている木造の杖も、質の酷い物が使われている為に、大した自然魔法の威力が発揮されないと言った対応がされている。


完全に模擬戦仕様である。


しかしそんな鈍らでも、ケヴィンが振るえば上級の魔物だって一撃で屠る事が出来る。


凶器である事には間違いない。


「えぇと、Bランク相手だったら負けなきゃいけない。Cランクだとどちらでも良い、Dランクは勝っていい。でもどの場合にもそれなりに拮抗しなきゃいけない……だったよなぁ」


独り言の様に呟くレオン、その声は決して周りの生徒達には聞こえていないだろう。


寧ろ、最も近くにいる筈のルイスでさえ反応していない様に見える。


しかし、鍛えられたケヴィンの聴力はしっかりそれを拾い、彼の言葉に耳を傾ける。


「あれ? ケヴィンってギルドランク持ってないよな? じゃぁ勝って良いのか? ……取り敢えず最初は手加減してみるか」


「……」


ケヴィンは少しだけ頭に来た。


まさかここまで来て相手が手加減をしよう等と思っている事に、大人げなくも腹を立ててしまった。


見れば、視界の置くでデュランが何やら苦い表情をしているが、そんな事関係ない。


決めた、一瞬で潰す。


ケヴィンはそう覚悟すると、腰を深く落とし合図を待つ。


手加減されるのはテメェの方だ、とレオンを睨む。


普段は相当におちゃらけな態度ばかり取っている彼だが、同一人物だとは思えない程にレオンが真剣な表情になる。


心の隅の方で、若干の警戒網にレオンの何かが引っ掛かったケヴィンだが、殆ど気にせず集中を続ける。


両者が正面に鉄剣を構えた事を確認した直後、ルイスから試合開始の合図が促される。


「ファイト!!」


ルイスが言い放った瞬間だった。


ケヴィンの踏込は、ルイスが言葉を全てを言い切る前にレオンへと接近するに至った。


「レオンッッ!!」


エマの叫びが耳に届くがもう遅い。


そのまま、ケヴィンが知る中でこの世で最も『早かった』剣速をイメージし、それをレオンへと振りぬく。


もしこれでレオンに深刻なダメージが与えられようとも、己の治癒魔法ならばそれを無かった事に出来る。


その自信が有るからこそのケヴィンの行動だった。


だが……振り切られた剣には、人に触れた感触は感じられなかった。


「……何」


驚く事に……レオンはその剣を回避してみせたのだ。


瞬間、レオンはケヴィンに対し、己の剣で切りつける。


二合、三合と打ち合い、ケヴィンに対し後ろ回し蹴りを放ってきた。


蹴りを防ぎながら、その勢いを利用し遠く離れるケヴィン。


綺麗に着地すると共に、正面のレオンを見据える。


そしてケヴィンは……ニヤりと笑う。


何だ、お前も『そうだったのか』……と。


「レオン! 分かっているの!? 相手はケヴィンなのよ!!?」


「あぁ! 分かってる!!」


「あぁもうっ!」


分かっていない。


エマが言わんとしている事はそう言う事だろう。


エマの言葉は、明らかな実力者に対して己が拮抗すると言う意味を分かっているのか。


と言う問いなのだ。


ケヴィンは、己に対する皆の評価を詳しく知る訳では無い。


しかしミリアルドと言う確かな実力者を一方的に屠った事から、少なくともBランク以上と言う認識を持たれている事を知っている。


混血種であろうと、剣一本を、もしくは魔法一本を極めれば相当な実力を所持する事が出来る可能性が有るだろうと思われている筈だ。


なんとも都合の良い解釈をして貰っている為に、それに(あやか)って今日の今日までケヴィンはこの学園では剣術しか使って来なかった。


その剣術でBランク以上と謳われているケヴィンに対し、レオンは対応して見せた。


Cランクの一般生徒がそれに対応すると言うのは、レオン自身がCランクの規格に収まっていないと言う事を証明してしまう。


レオンはそれを分かっていないのだ。


今までの彼の行動から、決して頭が良い人物で無いのは見て取れた。


手加減も下手くそである。


しかしケヴィンにとっては今、彼が素性を隠している事や己自身の認識が更に規格外であると捉えられる事はもうどうだって良かった。


レオンが『強者』だった。


ただそれだけがケヴィンにとって喜びに感じられた。


ケヴィンは先程、己の生涯で見た『剣術』を扱う者の中で、『最速』の剣速を誇っている人物の剣技を真似た。


ケヴィンからすればこれが最速等と笑わせると言える程度の物だが、オールガイアでは誰もが同じ認識を『かつては』持っていた事だろう。


その人物は双剣を扱っている為に完全に真似た訳では無いが、速度自体は相応の速さを繰り出した。


『元剣聖』である『真空の鎌鼬』の剣速。


つまり『英雄』の剣速だ。


その速さにレオンは反応してみせ、有ろう事か反撃まで繰り出したのだ。


一般人では有り得ない……つまりレオン自身……『英雄』に匹敵する程の実力者だと言う事だ。

居るよね、実力隠ししている人でも手加減へったくそなやつ

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