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月下無限天~最強の在り方~  作者:
蒼氷の朱雀編
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ミリアルドはビビる

ケヴィンは腕っぷしだけでは無く、言葉も立つと言う所を上手く表現していきたいものです。

「……まぁ良い、貴様がこの学園に入学出来たのは奇跡として……さっさとそこを退くが良い、我の邪魔をするな」


「何故だ?」


「貴様にとって我は上級生に当たる。前回も言ったが、下層の者が我の道を妨げる事は決して許されん事だ!!」


「理由になってねぇな、お前の言っている事が、順番を守らなくて良い理由にはならねぇぞ?」


「我は王太子だぞ!!? 我が愚民共の後ろに並んで良い筈が無い!!」


「王太子だからこそ後ろに並ぶべきだろ。王族が率先して一般市民の目標と成る様に行動するのは当然の事だろうが」


「下層の人間どもは我に従うべきだ! 我が権力に従い続けてれば良いのだ! それが愚民共の使命なのだ!!」


「偉いのはテメェの父親であってテメェではねぇ。少しはエドワードを見習え、テメェとは違って俺の様な混血種ですら同等に扱おうとしてるぞ?」


エドワードとこいつは本当に兄弟なんだろうかと疑いたくなるケヴィン。


「あの様な出来損ないと一緒にするで無い!! あ奴は王族の恥さらしだ!!」


「テメェより百億倍マシだろ」


「えぇい黙れ黙れ!! さっさとそこを退かんか!!」


「ミリアルド様、王族として、貴族の代表としてここは私達に誇れる様な相応の態度を取ってください」


と、そこでマリアが発言する。


全うな意見だが、ケヴィンにしがみ付いて話すその様は全く格好が付かない。


「マリア……何故その様な男の元に……」


「今の貴方様より立派な男性であられるからです」


マリアは強気に発言している。


既に婚約は破棄されている為に、何も臆する必要が無いからであろう。


フィリス家は婚約破棄となった後も没落する事等無かった。


王が上手く立ち回った様で、全ての責任は王族側に有ると断言したらしい。


婚約破棄となり拠り所を失ったフィリス家に、手厚い謝礼を齎しフィリス領の発展が約束された様だ。


確かエドワードがその件に関して一枚噛んでいると言う噂もあったが……ケヴィンにとってはあまり興味の無い話である。


壮大な尻拭いを父親にさせていても尚、ミリアルドはこう言った態度を改めない。


彼がこう言う態度でいる限りは、彼に対してのある程度の反論は全て許すと王は語っているらしく、それもあってマリアは一切躊躇無く発言しているのだろう。


恐らくミリアルドはそれに気づいていない、つまるところ『無能』だと判断出来る。


「くそ……どいつもこいつも……」


「後ろへ並べ。俺はテメェが俺に関係ない所なら何をしようが関係ないと思っている。だが少しでも俺の視界にその行動が見えよう物なら、どれだけ間接的でも俺に影響が有るのなら、テメェを全力で叩き潰す。そうなりたくねぇなら……さっさと後ろへ行け」


「調子に……の――」


辺りから悲鳴が漏れる。


先程まで黙っていたもう一人の取り巻きが、あろう事かこの様な場所で抜剣をしたのだ。


それをケヴィンに対し振り下ろそうとしたのだが、その軌道は途中で止まっていた。


「……連れが食事中なんでな、静かにして貰おうか」


新たな声の乱入が起こり、ケヴィンはその声の主へ視線を送る。


見上げる様な長身と鋭い目つきで、その人物はミリアルドの取り巻きを睨みつけていた。


取り巻きの腕を片手で掴んでいる為に、その取り巻きの腕は微動だにしない。


「何だお前は突然!? 無礼だぞ! その手を放せ!!」


「……」


忠告に従わなかった為か、長身の男の腕に力が込められた様子を感じた。


やがて、男の拳辺りからギシギシと骨が軋む音が聞こえる。


抜剣した取り巻きの身体強化等、まるで意味を為していないかの様に男の指がめり込んでいく様が見える。


「い……いでで!! わ、分かったから離せ! 離せよ!!」


溜まらず持って居た剣を手放し、助けを乞う取り巻き。


体格差、目つき、体つき、更には『腕力』。


その全てで、決して敵わないと錯覚させる様な雰囲気を持つ男に、ミリアルド達は後ろ脚を踏む。


「もう一度言う、後ろに並べ」


「ふ……ふん! 余は優しさも持ち合わす王子であるからな、今日の所は庶民に順番を譲る事にする。お前ら行くぞ」


最後の最後まで無駄口を叩き、ケヴィン達に怯んだ事を認めないミリアルドだったが、渋々と長い列の最後尾へと向かって行く姿を見送った。


「迷惑掛けたな、デュラン」


ケヴィンは形的に助けに入って来た男の名を呼んだ。


「……構わない、少々口は悪いがお前は間違った事を言っているとは思えなかったんでな……」


わざわざ遠くの席からやって来たであろうデュラン。


彼がいたであろう席を見ると、確かにレオンとエマがまだ食事を続けていた。


彼の器が見えない所を見ると、彼はこの短時間でもう食べ終えたのだろうか。


「……何かあったら力になる、いつでも呼べ」


「そりゃぁ心強い」


社交辞令だろうデュランの言葉に返事をすると、彼は片腕を上げて席へと戻って行く。


一悶着の影響で時間がかかり、いつの間にか自分達の注文の順番が近づいた為、ケヴィンとマリアはそれぞれ自分の料理を注文して席に付く。


何故か当たり前の様に隣に座りこんでいるマリアだが、さすがに食事の時はケヴィンから離れ、美味しそうにオムライスをつついていたので良しとした。

寡黙な男性ってカッコいいですよね

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