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月下無限天~最強の在り方~  作者:
蒼氷の朱雀編
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最強対最凶2

上位互換の上位互換??

剣を交えている間に落ち着きを取り戻したレオンが、再び長剣に属性付与を発動し始めた為鍔迫り合いを解除するケヴィン。


レオンが振るう斬撃を紙一重で避けながら様子を伺うケヴィン。


合間合間に追撃する様に放たれる自然魔法も難なく避ける。


「さて、少しだけスピードを上げるか」


言いながらケヴィンは、身体強化を施す為の魔力の供給量を上げる。


途端にレオンの動きがゆっくりと成り始める。


これはレオンの動きが鈍った訳では無い、ケヴィンの反射速度が向上した為だ。


レオンが剣を振り下ろすまでに殴打を十数度叩き込む。


振り下ろした瞬間には背後へ回り再び十数度の殴打。


痛みに堪えながらも後方へ剣を振るったレオンの攻撃を避け、再び背後に回るケヴィン。


連撃に連撃を加え、レオンの周囲をくるくると回転する様に全方位から打撃を与え続けた。


恐らくレオンからはケヴィンの無数の残像が360°全体に存在して居る様に見えている事だろう。


2、3度剣を振るった後、それが無意味だと理解しただろうレオンは両手を勢いよく地面へ着いた。


彼の腕力で地面の土がひび割れ、その後ガイアクラッシャーを発動した。


レオンの周囲の地面が激しく盛り上がるが、足場が悪くなった所でケヴィンの猛攻は止まらない。


その時その場所で姿勢が安定出来る足場を選んでレオンに攻撃を加えているのだから、環境がどうなろうとケヴィンには関係なかった。


そして彼に足払いをかけて転ばせた瞬間に、腹部を蹴り上げ上空へと打ち上げる。


それを追う様にケヴィンも上空へと飛び上がるが、この時レオンは正面へとライトニングブラスターを放つ。


発射位置を上空からでは無く自分の手の先から放つ事で、まっすぐ自分へ向かうケヴィンへ直撃させようとしたのだろう。


物理法則から言って、空中で方向ベクトルを変える事は殆ど出来ない。


それこそ風魔法や爆発魔法で強制的に方向を変えたり、岩魔法で足場を作ったり等しなければケヴィンはそのままレオンの雷魔法の直撃を受けるだろう。


気を失い兼ねない猛攻を受けても尚、瞬時にケヴィンへ攻撃を与える手段を行使したレオン。


その不屈の精神自体大した物だが、彼成りにケヴィンの行動を理解しての雷撃だったのだろう。


レオン自身やはり空中では身動きが取れない物と思って居る筈だ。


彼が此方が自然魔法を使わずに戦うと言う自己満足な縛りを行っている事を理解している筈が無いが、現状で最も効率の良い行動したのは事実だろう。


しかし、その様な一般常識はケヴィンには通用しない。


空中で身動きを取れる筈が無いとケヴィンに伝えた所で、彼からの返事は『そんな訳がない』と言う言葉が飛び出すだろう。


事実、ケヴィンはレオンが放った雷撃をいとも簡単に『回避』したのだ。


物理法則を無視した様に、『横方向』を避けたのだから。


転移などしていない。


敢えてレオンが視認出来る速度で行動し、横へスライドする姿を彼に見せつけたのだから。


レオンは一瞬慌てた様子を見せるが、すぐさま無数の魔法を此方へと放ってくる。


が、その全てをケヴィンは回避してみせた。


ジグザグに移動する様に、只管レオンへと向かう。


勿論風魔法や転移魔法を使って居る訳では無い。


自分のルールを無視してレオンに見えない速度で足場を作り出している訳では無い。


原理は単純である。


『空気を蹴って』いるのだ。


途轍もない速度で空気を蹴り飛ばし、空気抵抗を足掛かりにし、まるで空気を『壁』の様な存在にする事で移動を可能にしている。


ケヴィンが特別な訳では無い。


レオンでもデュランでも、コツを掴めば同等の事が出来る筈だ。


ただその技術を磨く為の機会が無いだけであり、技術的には簡易的な物。


しかし単純であるが故に、非常に応用の効きやすい物。


手の込んだ手段を取らずに行使出来る為、一瞬にしてレオンの元へと辿り着いたケヴィン。


風魔法を操り、空中で体勢を整えながら体を浮かせたレオンが、ケヴィンの到着に合わせて斬撃を振り下ろしてくる。


踏み込んだ足の先に小さなロックウォールを展開させ、そこへ重心を注ぐ事によって確かな速度を放つレオンだが、一つ一つの動作がやはり遅い。


遅いと言っても『ケヴィンにとっては』の話である為、常人には早すぎて何をしているかすら捉える事が出来ない程度の速度は出ているだろう。


ケヴィンは直線的にレオンへ向かっていたが、再び空気を蹴飛ばし横方向へ直角に避ける。


思いっきり空振りをしたレオンの脇腹に向け、再び空気の壁を蹴り飛ばすと同時に拳をねじり込む。


痛みを堪えながら、ケヴィンの方向へと斬撃を返すレオンだが、またもケヴィンはそれを避け背中を蹴りぬく。


後はほぼ地上で起こった出来事と似たような展開だ。


攻撃を加えると同時に後方へ横方向へと移動し、空気を蹴り飛ばすとレオンへと攻撃を当てる。


あらゆる角度からレオンへと攻撃を加え、まるで立方体の小さな部屋の中でレオンを目掛けて放たれたケヴィンと言う名の銃弾が永遠と跳弾を繰り返している様子だ。


いよいよケヴィンを捉えきれなくなったのか、レオンは自爆覚悟の爆発魔法を自分中心に起こした。


周囲数メートル以内を範囲にした大きな爆風がケヴィンとレオンを襲う。


当然レオンも被爆したのだが、全身に身体強化を施し致命傷を逃れる。


多少の傷は治療魔法を施す事で直ぐに修復するだろう。


しかし、レオンに出来てケヴィンに出来ない事等存在しない。


同じ様に身体強化を施し殆どダメージを受けていないケヴィンは、爆発魔法で巻き起こった煙の中で手を伸ばしレオンの首を掴んだ。


そして体を回転させ、風圧で周囲を覆った煙を吹き飛ばすと、その遠心力を利用し地面へとレオンを投げ飛ばした。


一瞬にして地面へ叩きつけられたレオン。


彼が接地した瞬間、周囲の地面が広範囲に渡りひび割れを起こし、蜘蛛の巣状に崩壊する。


確か武道館の中の風景を森林にしただけで、地面の土の下には武道館そもそもの床が設置されている筈である事をケヴィンは思い出す。


つまりケヴィンは今正に武道館の床を破壊した事に成るのだが、叩きつけられたレオンが悪いと言い訳を考えながらも、修繕費に頭を悩ますアルベルトの顔を想像しほくそ笑んだ。


ガレオ灰鉄の上にダイヤモンドウッドの板が敷かれたとても硬い床だった筈だが、レオンの体よりは柔らかかったらしい。


なんて呑気な事を考えつつも、追撃を掛ける為にケヴィンは急降下する。


レオンは此方の接近に反応したのか、すぐさま転移魔法を発動すると大きく距離を離した。


一度の踏み込みで届く距離なのだが、それは向こうも認識しているのだろう、こちらの行動を妨害する様に無数の魔法をケヴィンが着地すると共に放って来た。


今度の魔法は抜け出す隙無く放って来たのだろう。


ケヴィンの視界の全てを多くの魔法が埋め尽くす。


努力は認めてやるとケヴィンは笑う。


確かに一見抜け出す隙が無い様に見える魔法の数々だが、一つ一つの魔法に対ししっかりと対処を行えば抜け出す隙等いくらでもあった。


しかしケヴィンは敢えてその魔法を受ける事を選択した。


その後にレオンが起こすだろう何かを期待しての行動だ。


精々楽しませてくれと思いながらケヴィンは長剣に魔力を込め、襲い来る魔法を次々と斬り始めた。


雷撃を切り裂き、氷と岩を弾き飛ばし、大量の水を吹き飛ばし、風すらも貫く。


自然魔法に対して物理攻撃を行っているケヴィンだが、原理は単純。


自然魔法自体が持つ威力を上回る程の威力で剣を叩きつければ、物理的な氷や岩は砕く事が出来る。


水や風も吹き飛ばす事が出来る上に、魔力を纏う事で雷撃すらも通電する事無く消滅させる事が出来た。


あの魔人を名乗る『004』が放ったダイダルウェイブでさえ拳で吹き飛ばしたケヴィンには、この程度朝飯前の事だった。


大量の自然魔法を退け、開けた空間を見渡すケヴィン。


すると、周囲が赤く染まりあがっている事に気付く。


大きな魔力の塊が上空で発生している事には気付いて居たが、成程……先の魔法の数々はそれを作る為の時間稼ぎだったかとケヴィンは納得する。


ケヴィンの視界にはまたもや巨大な炎の塊。


彼が先程フィーネに見せたそれに匹敵する程のクリムゾンノヴァが存在した。


地上では、右手を高く振りかざすレオンの姿。


彼が得意とする炎魔法を、時間が許す限り構築していたのだろう。


確かにこれ程の質の魔力が籠ったクリムゾンノヴァなら、恐らくあのキングドラゴンでさえ燃やし尽くす事が出来るだろう。

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