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月下無限天~最強の在り方~  作者:
蒼氷の朱雀編
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バトンタッチ

シャイニングレイでエマを打ち取れない事を理解したのか、ルーチェは魔法を切り替える事で再びクレイウォールを展開し始める。


ルーチェとデュランに降り注ぐ魔法を防ぐ様に発動したクレイウォールの影響で、デュランの手が空き始める。


その瞬間に此方へと突撃し始めるデュランだが、ケヴィンがそれに合わせダイダルウェイブを発動した。


一部が魔封斬によって切り裂かれるが、彼の剣戟だけでは間に合わない程の量の水を出現させ二人にぶつける。


結果、津波に飲み込まれる様にデュランとルーチェは水没し、辺りに蔓延していたエマの雷魔法によっが水へと通電し感電する。


二人が浮かべる悲痛な表情が、相当なダメージである事が予想出来る。


しかしルーチェがその状況下でも回復魔法と転移魔法を強引に発動し、二人は水の中から転移する。


この時、ルーチェはデュランと自分を別々の場所へと転移した様だ。


恐らくケヴィンによる追撃を二人纏めて受けない為に施した策だろうが、既にケヴィンは二人の転移先の両方へメテオストリームを発動していた。


それに合わせる様に、エマも魔法を切り替えて全く同じ位置へメテオストリームを発動し始めた。


おそらく彼女は二人の転移先を把握しきれている訳では無いだろうが、ケヴィンが放った先に何かあると踏んでそれを行使したのだろう。


お陰でケヴィンは連続使用予定だったメテオストリームの追撃を行わずに済む。


ルーチェは転移した先で二人が施した魔法に対し何重にもロックウォールを展開する事でそれを防ごうとするが、質と量に圧されあっけなくその巨大な隕石の直撃を許した。


しかしデュランは、やはり人間ならではの反射神経で魔封斬を発動し、メテオストリームの鎮圧に成功していた。


だがその直後、ケヴィンはデュランへと急接近し彼を蹴り飛ばす。


エマへ瞬時に目配せすると、彼女は頷きを返してきた。


意図としてはルーチェの方を頼むと言う意思表示だが、恐らく伝わっているだろう。


伝わって居なくともどうとでもなるとケヴィンは思い、そのままデュランへと追撃へ向かう。


彼は地面へと剣を突き立てて止まろうとするが、ケヴィンから喰らった蹴りの威力を殺しきれず数メートル後方へと地面を滑る。


やっとの事で止まったデュランに対し、ケヴィンは容赦無く追い打ちを掛ける。


左上段からデュランの右肩目掛け剣を振り下ろす。


デュランは大剣を振り上げそれを弾き飛ばすが、ケヴィンはそのままくるりと体を回転させ、がら空きとなったデュランの左わき腹へ剣を叩きつける。


刃が抜かれているとは言え、ケヴィンの腕力で無防備の部位を攻撃されれば、さすがのデュランも顔を歪める。


しかし、デュランが痛みに反応したのは僅か一瞬であり、ほぼ怯む事なく振り上げた大剣をケヴィンの足元に向け横凪に振るってきた。


ケヴィンはその場で前宙して刃を避けると、両足の踵をデュランの頭部へ叩きつける。


前のめりとなるデュランに対し、着地と同時に再び地面を蹴り飛ばしたケヴィンは、今度は後転を繰り出しその顔面を蹴り上げる。


それと同時に地面に触れた両手から、デュランの足元にアースグレイブを放つ。


仰け反った状態では魔封斬を発動出来る筈も無く、直撃を許したデュランは大きく上空へと弾き飛ばされた。


そしてそれを追う様に飛び上がるケヴィン。


デュランに向け剣を振るうと、空中で体勢を立て直したデュランがそれを防ぐ。


二合、三合と刃を合わせた後、再びケヴィンはデュランに剣を弾かれた反動を利用し体を回転させると、左の踵をデュランの左肩へと叩きつけるが、分かって居たかの様にデュランはそれを受け流す。


しかしその瞬間にもケヴィンはデュランの右の脇腹辺りへ爆発魔法をお見舞いすると同時に、彼の左側にロックウォールを発動する。


爆発魔法の威力で吹き飛ばされたデュランだったが、直後に出現したロックウォールへ叩きつけられる形となった。


「がはっ!」


僅かな悲鳴を上げるデュランに対し、受け流された蹴りをケヴィンはもう一度回転して再びお見舞いする。


更に先程アルベルトへ放った時の様に足元へ爆発魔法を展開し威力を上げ、展開していたロックウォールを砕きながらデュランへとそれを直撃させた。


威力に習い、地面へと急降下するデュラン。


ケヴィンは再び空中へロックウォールを展開し、それを足場にして跳ね飛ぶと、落ちていくデュランを追いかける。


受け身を取りながら地面に激突したデュラン。


砂埃を掻き分ける様に剣を振るい、剣風で辺りの塵を吹き飛ばすと、此方を睨みつける様にし大剣を構え直す。


ケヴィンも空中で剣を構え、右手をデュランへと翳しそのまま手の先からヘブンズソードを発動する。


瞬時にデュランへとヘブンズソードが到達すると共に、魔封斬で切り裂かれるがその瞬間にケヴィンはデュランへと接近。


振りかざした剣を彼に叩きつけようとするが、それを予期して居たかデュランも既に剣を振り下ろす体勢に入っている。


そして空中からと地上から、二つの刃が強く振るわれその刃が今正に触れようとした瞬間、デュランの刃は大きく空ぶった。


見ての通り『何もない空間』をただ切り裂いただけだった。


その現象の意味を彼が理解した時は既に遅い、ケヴィンはとっくにデュランの背後へと『転移』しており、既に構築していた爆発魔法を彼の背中へ発動した。


そして前方へ大きく吹き飛ぶデュラン、直ぐに体勢を立て直すつもりか吹き飛びながらも体を此方に向ける。


確かに相手を常に視界に捉えておくのは正しい判断だ。


相手が何をしようとしているのか把握する為には必要な行動だ。


それを証明するかの様に、既にケヴィンは次の行動を起こし、吹き飛ぶデュランを追いかける様に彼へと向かって居るのだから。


しかし今回は、デュランのその行動が仇と成る。


ケヴィンは先程彼に使った技術と全く同じ事を再び行使する。


彼の背後へのロックウォールの展開だ。


吹き飛んだ先に出現するロックウォール。


もし彼がそのまま前方を確認していれば、その展開に気付いて魔封斬を放てたかもしれない。


だとしても後ろから迫るケヴィンの行動を監視出来ないと言うのは死活問題である為、その様な行動が取れないのも当然なのだが。


案の定、デュランはロックウォールへと激突し、突然の衝撃に怯む。


その瞬間、彼の顔の側面に。


正に岩の壁と成っている部位に、ケヴィンは刃が抜かれた剣を深々と突き立てたのだった。


「……降参だ……」


悔しそうに、それで居て満足そうにデュランは呟いた。


「ったく、どうも『反省会は後回し』みてぇだな」


「……その様だ」


意味あり気に発言する二人。


ケヴィンは溜息を吐きながら、左手を上空へと向ける。


「出来る事なら……少しでもあいつに勝機を残してやりたかったが……お前相手にそれは甘い考えだった様だな」


「到着が遅ぇあいつがわりぃんだろ」


デュランは笑みを浮かべながら顔を下す。


「……バトンタッチだ……『レオン』」


彼の言葉と同時に、ケヴィンは自らへ迫る巨大な『クリムゾンノヴァ』に対し、ダイヤモンドダストを発動したのだった。



――――……。

チーム戦だった筈なのにいつの間にか個人戦に……

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