008 私は…逃げたんだ。。
女子として生活する上で
欠かせない相棒となりそうな
久佳姉ちゃん。('ω')
頼れる彼女の献身の理由は?
『(久佳)うん。(*´ω`)
だからさ父さん。。
四月からはミィちゃんと
暮らすことにしたから。』
「(久義)…………」
『(久佳)…でもさ。(´v`;)
電気ガス水道NHKまでほぼ
一人分で済むんだよ。。
家電も新調しないでいいし
家賃も1.5人分くらいで…』
「(久義)…………」
『(久佳)…大丈夫。('ω')و
ミィちゃん男の子だよ。。
いざとなればきっと私を
守ってくれる。。
かもしれないんだし…』
「(久義)…………」
サカ姉…こと久佳姉ちゃんが
交渉してくれてるのは…
ボクとサカ姉の父である
西郷久義(59)、(/・ω・)/
鹿児島では少しは知られた
西郷病院の三代目院長先生
にしてオーナー社長。。
敬愛する父である一方…
跡取り息子には少々重たい
存在でもある、、(ーvー;)
娘二人の後の長男としては
期待が大きいからその、、
こういう時の父との交渉は
いつも姉たちに任せきり
という次第であって、、
『…決まったよ。(・v・)
二人暮らしに向いた部屋に
引っ越すってことで父さんが
了承してくれたから。』
「…ありがとう、サカ姉。。
一緒に住んで欲しいだなんて
我儘を聞いてくれて、(;c;)」
『なんやかや複雑な悩みを持つ
可愛い弟の頼みだ。(´v`)
一肌脱いであげようって。』
「…脱ぎすぎだけどね。(ーωー)
まだブラとパンツだけじゃ
肌寒い季節だろうに、、」
『…それに元々、('ω')
引っ越しは考えてたのよ。
更新料の時期だから…』
「…何それ??(;゜Д゜)
東京ってそんなボッタクリ
やってるの??」
…ちなみに関東では常識と
されている不動産更新料。
東京で賃貸に二年住んだら
一か月分を取られる。
つまり大学四年を過ぎたら
通算で二ヶ月分取られる
ってのが東京の普通だけど…
実はこれローカルルール。
(*´ω`)
更新料なんて日本以外では
聞いたこともない。
国内でも関東以外ではあまり
見られないらしい。。
ボクのように更新料自体を
知らない人も多いくらい。
ちなみに大阪と兵庫には
更新料のある賃貸は一軒も
ないらしいんです。。
(/・ω・)/
大阪商人に比べたら東京…
阿漕な商売してまんな。。
(ーvー;)
って言ってる場合でなく…
(/・ω・)/
条件を整理しよう。
敷金礼金は父が出して
くれることになった。
(^○^)
元からボクにかかる金と
更新料を差し引いたら
むしろ安上がりらしいから。
ただ…家賃の上限は少々
抑えられたらしい。
あとボクの家財は自己負担。
(;´・ω・)
だってボクは学生寮に入る
モノと父は思ってたから。。
そこは…申し訳ない。
(m´ーω—`)m ゴメン
けどやはり部屋は二つ必要
ってことになったので、
セキュリティ面では
今のサカ姉の部屋よりも
少し落とすことになる。。
あと場所。。(・ω・)
二人の通う大学の中間…
でなくサカ姉の大学に少し
寄った地域が希望。(・v・)
だってボクは友人を部屋に
呼べない立場だから。
大学の仲間のたまり場には
させられないから。。
あえて大学から少し離れた
部屋を選ぶことにした。。
だからサカ姉は自転車…
ボクは原付で大学に通う
ことになった。('ω')
合格祝いってことで原付
買ってもらえた。(^O^)/
けど免許取得と維持費は
自己負担に…(;´ーnー)
生活…切り詰めることに
なりそうです。。
それでなくてもボクは…
(;´・ω・)
『さぁ、(; ・`д・´)
出かけるよミィちゃん!』
「…はい。(/・ω・)/」
『今日は不動産屋だけでなく
アクセサリー屋と鞄屋と
下着屋も行くんだから、、
もっと急ぎなさい。。』
「…わかったけど…(・n・;)
そんな店に行くのなら
ちゃんと女装しとかない
と面倒になるから。。」
『だったら…(; ・`д・´)
声もちゃんと作って。。
外で地声を出してたら
変な目で見られるよ。』
『(練習中の女声で)…
……はい。(;´・ω・)』
『…化粧は気にしなくても
大丈夫だから。('ω')
女子と認識されたいだけ
ならもっと簡単だから。』
『…たしかに…(;´・ω・)』
それは…そう。
(;´・ω・)
だってボクらの目的は女と
して見られて疑われない
ことだけ。。
美人に見られたいとか、
女らしい服装をしたいとか
ネットで目立ちたいとか
女性として正当(?)な権利
だとかは要らないから。。
19歳で肌がキレイで小柄な
ボクがそれをするなら…
化粧しすぎないこと。
(・.・;)
飾りすぎず華美にせず
ヒールで背を高くしない。
などに気をつけてかつ…
女性用と分かりやすい
パーツを何箇所かに点在
させるのがコツ。。
つまりサカ姉と共用できる
モノはあるとはいえ、
買うものが沢山ありすぎ。
女物って高いのに、、
なのに……
引っ越しだけでも生活費が
底をつきそうなのに…
『…えっ、なぜ…(・.・;)
そこまでするのかって??』
「……そうだよ。(;´;ω;)
ずっと買い物を引っ張って…
生活費も全部つぎ込んで…
一肌脱いで同居してくれて…
デタラメしたのはボクだ。。
サカ姉に付き合う義理など…」
『な…何言ってんの??( ゜C゜)
弟が困ってるのに突き放せる
姉なんていないでしょ??』
「……本当に、、(・c・;)
それだけ??サカ姉。。
ボクは負担になりたくは……」
…だよな。(;´・ω・)
女子枠だの性別だの…
家族に負担をかけてまでやる
我儘勝手じゃないよな。。
ではなぜサカ姉はそこまで
やってくれるのかというと……
『……だって…(´;ω;`)
私は…逃げたんだから。。』
「…逃げた?(・.・;)何から?」
『私が中三で…アンタ小六の時…
父さんに打診されたんだ。。
医者にならないか??
跡取りを…考えないかって…』
「…えっ??(・.・;)」
それは…初耳。。(/・ω・)/
つまり中学で成績優秀だった
サカ姉に跡取りを期待して
医者になるように言った。。
ボクの控えにと期待して、
進学校の女子高に進むように
父さんが勧めたって??
けど…でも、、
『……イヤだった。(;v;)
医大を目指すとなったら
勉強漬けの毎日になる。。
柔道も続けられないだろうし
友だちとも離れちゃうし…』
「……し??(・.・;)」
『…それ以上に…( ;c;)
耐えられなかったの。。
婿取りして西郷病院の跡取りに
なるかもしれない重圧に…』
「…だけど…(・o・)
サカ姉はずっと薬剤師を志望
してたんだろ??
だったら…逃げたってこと
にはならないだろ??」
『…それは…違う。。(;v;)』
「…えっ、(・.・;)」
『たしかに…まるっきりのウソ
ってわけでもないけどさ、、
薬剤師…志望ではなかった。。
ぼんやりした選択肢の一つを…
夢だと言い切っただけ。。』
「…(・c・;)」
そう…だったんだ。。
(・n・;)
サカ姉は医者になる勉強に…
跡取りの期待を受ける重みに
耐えられなかったから…
医者ではなく薬剤師をずっと
志望してたってウソを、、
あと…当時もう長姉の久恵が
看護師になってたから、、
将来の看護師長候補のイスは
既に埋まっていたから、、
ならば…別の道がいい。。
医師と看護師以外で病院を
支えると言えばきっと
父の期待から逃げられる。
そう考えてサカ姉は、、
けど…
『…ずっと…( ;∀;)
後ろめたかったの、、
重圧を全部背負わせた
ミィちゃんに、、
当時まだ小学生だった弟に
全部押し付けたことに…』
「…サカ姉ェ、、(;´・ω・)」
『……ほんと、、(´;∀;`)
悪いお姉ちゃんだよね。。
…可愛い弟に…
無茶させちゃったのはきっと
私のせいなんだから。。』
「…そ…それは違う。( ゜Д゜)
この件はボクが勝手に…」
『…けど、(;v;)
できるだけの協力はさせて。
こんなことでしか罪滅ぼしを
できない…ダメな姉を助ける
とでも思ってさ、、』
「…(;゜n゜;)」
わかる…よ。
その気持ちは痛いほど。。
(;´・ω・)
こんな優しい姉を泣かした
ボクもダメな弟だと思う。。
長男として跡取りとして…
頼りない男だから、、、
けど…自覚してるから。
長男として跡取りとして…
やるべきことは何か。。
だから本当なら抱き留めて、
慰めてやりたいけど……
なぜその告白を…
風呂で??"(-""-)"
さすがにお互い裸の状態で…
抱き留めにくいなぁ、、、
逃げ出したくなるほどの
跡取りとしての重圧。。
医者になる将来を義務付け
られる覚悟の重さ。。
これから逃げられた姉と、
向き合い続けた弟。。
そういう…お話です。